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実戦コラム

違いが分かる技術用語・特許用語(24)

31. by、with、using

 マーク・ピーターセン著の「日本人の英語」(岩波新書)に、『「~で」はいつもbyとは限らない 』というタイトルで、The cranes were observed by binoculars.は間違いで、The cranes were observed with binoculars.が正しいことが書かれている。著者はこの種の間違いは日本人の英語に極めて多いことを嘆いている。特許翻訳においても、この間違いは頻繁に見られ、ベテラン翻訳者でもしばしばミスを犯しているのが実情である。

 そこで、今回はこのような文脈における by と with の使い分けを説明する。

= by = 

 例えば、「ジーニアス英和辞典」の by の項には、前置詞として11の定義がある。各定義はさらに細分化されているので、細かく言うと20を超える定義があることになる。上記の文脈で使用できる by は次の2通りだけである。

(1) 動作主を表す

 受動態では、byの後には行為の主体が来る。

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【用例1】The shielded metal layer (36) is separated from the polysilicon layer (34) by an oxide layer (42), and the upper metal layer (38) is separated from the shielded layer (36) by an oxide layer (44). (USP 5,220,483)
遮蔽金属層(36)は酸化物層(42)により多結晶シリコン層(34)から隔てられており、上部金属層(38)は酸化物層(34)により遮蔽金属層(36)から隔てられている。(特開平5-283614改)

この文で、oxide layer (42)とoxide layer (44)は行為の主体である。従って、これらを主語にして書き換えることができる。

書き換えた能動文:An oxide layer (42) separates the shielded metal layer (36) from the polysilicon layer (34) and an oxide layer (44) separates the upper metal layer (38) from the shielded layer (36).

  著者、作者なども行為の主体なので、この用法に従って by の後に置くことができる。


(2) 手段・方法を表す

 測定手段や製造方法、分析方法などに by を使用する。

【用例2】Exellent agreement was observed between the myofibrillar diameters measured by light diffractometry and electron microscopy.
光散乱法および電子顕微鏡法測定された筋細繊維直径の間には非常によい一致が観測された。

 ここで注意しなければならないのは、測定装置の場合には by を使用しないことである (後述)。

= with =

(1) 道具を表す。

 何らかの動作に使用される道具を示す場合は with が使用される。

【用例3】During the cleaning step, the use of megasonics and/or brush scrubbing with PVA brushes is common. (USP Application No. 20040029494)
洗浄工程中に、一般に、超高周波超音波および/またはPVAブラシを用いるスクラビングを行う。(特開2004-79992)

 「スクラビング」はこすり洗いのことである。この例で、withを「で」とするよりも、「用いる」とする方が繫がりが分かりやすい。つまり、英語の前置詞と日本語の格助詞とは必ずしも一致しない。

 先ほどの、用例2は装置を用いた表現も可能である。その場合の英文は次のようになる。

用例2の書き直し:Exellent agreement was observed between the myofibrillar diameters measured with a light diffractometer and an electron microscope.
光散乱測定装置および電子顕微鏡で測定された筋細繊維直径の間には非常によい一致が観測された。

 用例2と書き直した英文を比較すると、用例2の方が簡潔であることが分かる。

(2) 材料を表す

【用例4】The method includes marking a hand of a user with an easily identifiable substance that can be washed off with a cleaning composition (19) when a soap dispenser is utilized. (WO2005/117672)
この方法は、石けん供給装置の使用時に洗浄組成物(19)で洗い落とすことができる識別の容易な物質、使用者の手に印を付けることを含む。(特表2008-500882改訳)

= using =

 usingは動詞 use の現在分詞形であり、本来は直前の名詞に係るはずだが、そうではない用法が多く見られる。

【用例5】In some embodiments, the crude product of the reaction shown in Scheme 1 may be purified using any means known in the art for that purpose. (WO2017/189534)
実施形態によっては、反応機構1に示される反応の粗生成物を、その目的のために当該分野で知られている任意の手段を用いて精製することができる。

 この例の using は動詞の直後に置かれているので、明らかに前置詞の役割を果たしている。この using は by で置きかえ可能である。

【用例6】Diffraction patterns herein were obtained using a typical laboratory powder diffractometer, utilizing the Kα line of copper. (WO2014/092764)
本明細書における回折パターンは、銅のKα線を利用した典型的な実験用粉末回折計を用いて得られた。

この例の using も前置詞とみなさなければならないが、後に測定装置が来るので with で置きかえ可能である。なお、ulilizingも同じ働きをしているが、恐らく using の重複使用を避けたものと思われる。

 用例5と用例6が示すように、usingは前置詞の by あるいは with の代用に使用されている。この用例がいつからどのようにして広まったのかは定かではないが、宙に浮いた using は前置詞として説明しないといけないにもかかわらず、未だに辞書に登録されていないのが不思議である。

 ただし、この using の用例は極めて広範囲に使用されているので、usingを上手に使うことで英文が読みやすくなる。

 なお、日本語の「用いる」あるいは「用いた」が必ずしも using、by、with のいずれにも該当しない場合が多くある。これについては、次号で詳細に説明する。

= その他の前置詞 =

 以上の説明と同じ機能を持つ前置詞が他にもある。以下はWO2009/153597から拾った用例である。

1. All samples were run on a Bruker D5000 diffractometer.
すべての試料をBrucker社のD5000回折計で分析した

 run onは句自動詞で「動作する」という意味でよく使用される前置詞だが、この用例のように句他動詞としても使用される。

2. A powder X-ray diffraction pattern was recorded using a Bruker D5000 diffractometer (wavelength of X-rays 1.5418 Å Cu source, Voltage 40kV, filament emission 40mA).
粉末X線回折パターンを、Bruker D5000回折計を用いて記録した(X線波長1.5418ÅのCu源、電圧40kV、フィラメント放射40mA)。

 装置につくwithの代わりに先ほど説明したusingが使用されている。

3. Through scanning electron microscope (SEM) topography test, energy dispersive spectrometer, (EDS) element test and X-ray diffractometry (XRD) component test, we characterize the morphology, element distribution and structural characteristics of ZnO/Ag3PO4 core-shell nanocomposite arrays structure.
走査型電子顕微鏡(SEM)トポグラフィーテスト、エネルギー分散分光計、(EDS)元素分析、およびX線回折(XRD)成分分析により、ZnO/Ag3PO4コアシェルナノコンポジットの配列構造の形態、元素分布および構造特性を決定する。

 throughは「により」の意味でよく使用される。この例では手段と測定装置が混ざっているので through が使用されたものと推定されるが、usingでもよい。

 

違いが分かる技術用語・特許用語(23)

30. stripeとstrip

 この2つはどちらも帯状の物を指すため混同されがちであるが、区別が必要である。
 stripeは、隣接する部分と色または質感の異なる線または細長い部分、典型的には、無地の背景に複数の線または帯で構成される布地を意味する語である。日本語はカタカナ語の「ストライプ」が増えてきたが、「縞(模様)」という。The Stars and Stripesは星条旗のことである。星の数はアメリカ合衆国の現在の州の数(50)を表し、縞の数は建国時の州の数(13)を表している。

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 なお、stripeは動詞としても使用される。特に、動詞の過去分詞形のstripedは「縞模様の」の意味でよく使用されている。
 stripは細くて長い材料片あるいは陸地や河川の細くて長い領域を意味する語である。日本語は「条(片)」である。
 2つの語の関係を一言で言うと、下図に示すようにstripestripsが整然と配列された状態ということになる。もちろん、stripは単独でも使用できる。

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【用例1】Referring to FIGS. 1 and 3, traffic stripe applying system 44 is shown applying a continuous traffic stripe to a road. In this instance, the traffic stripe applying system 44 sprays the thermoplastic stripe 10 with a ribbon gun. (WO199/4016149)
図1および図3を参照すると、道路に連続的な交通縞模様を貼り付ける交通縞模様貼付システム44が示される。この場合、交通縞模様貼付システム44は、リボンガンで熱可塑性縞模様10を吹き付けて形成する。

 

 用例1は典型的なstripeの用例である。全体で縞模様10を形成しているので、当然のことだが、stripeは単数である。同様に、模様を意味するpatternも全体で1つと数える。

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【用例2】For the example of Figure 4A, each data stripe A, B and C is divided into four stripe units across the four storage devices. Device 1 includes stripe units A(l), B(l) and C(l). Device 2 includes stripe units A(2), B(2) and C(2). (WO2001/031447)
図4Aの例では、各データストライプA、B、Cは4つの記憶装置にわたって4つの記憶単位に分割されている。装置1は記憶単位A(l)、B(l)、C(l)を含む。装置2は記憶単位A(2)、B(2)、C(2)を含む。

 用例2のようにコンピュータや通信関連の特許では、データのまとまりをstripeと呼ぶ場合が非常に多い。
 なお、英文の中にはstripと呼ぶべき物をstripeと呼んでいる物もあるので注意が必要である。

 次に、stripの用例を挙げる。

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【用例3】A strip 114 of each antenna is located on the other adjacent side of the support 105 with a third leg 116 projects from the strip 114 toward the second surface 109 which is parallel to the first surface 108. The first leg 110, second leg 112, and the strip 114 are contiguous with the patch 106 so as to be electrically connected to the patch. (WO2010/088756)
各アンテナの帯114は、第3の脚116が帯114から第1の表面108に平行な第2の表面109に向かって突出する状態で、支持体105の他の隣接する側に配置される。第1の脚110、第2の脚112、および帯114は、パッチに電気的に接続されるようにパッチ106に隣接している。

 この中でprojectはprojectingの誤りである。

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【用例4】Magnetic strip 22 generally comprises a first end 24 or beginning portion, a middle portion 26, and a second end or end portion 28. (WO2005/021284)
磁気22は一般に、第1の端部24または開始部、中間部26、および第2の端部または端部28を含む。

 

 

 

次にstripeとstripが使い分けられているケースを挙げる。

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【用例5】Data is stored in data stripes that are divided into n substantially equal-sized strips and are distributed across the n disks. Each data stripe has a corresponding parity strip that is generated by including the data strips in the data stripe only once when the parity strip is generated. The data strips of each data stripe, the copy of each such data strip and the corresponding parity strip are distributed across the disks in such a manner that the data strips of each data stripe, the copy of each such data strip and the corresponding parity strip are each on a respectively different disk of the disk array. (WO2004/040450)
データは、n個の実質的に同じサイズのストリップに分割され、n個のディスクに分散されるデータストライプに格納される。各データストライプには、対応するパリティストリップがあり、パリティストリップの生成時にデータストリップにデータストリップを1回だけ含めることで生成される。各データストライプのデータストリップ、そのような各データストリップのコピー、および対応するパリティストリップは、各データストライプのデータストリップ、そのような各データストリップのコピー、および対応するパリティストリップがそれぞれがディスクアレイのそれぞれ異なるディスク上にある。

 この用例では、データの中の1つのまとまりをstripと呼び、データの全体をstripeと呼んでいる。

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【用例6】The user prints onto one or more notes with laser or ink-jet printer or a photocopier. Each note may have an adhesive stripe (284) on the back thereof, with the backing sheet being a strip (286) that covers the adhesive stripe but which is not fully coextensive with the note paper sheet. (WO1996/040518)
ユーザーは、レーザープリンター、インクジェットプリンター、または複写機で1つ以上のノートに印刷する。各ノートは、その背面に接着剤ストライプ(284)を持っていてもよく、裏張りシートは、接着剤ストライプを覆うがノート紙シートと完全に同一の広がりを持ってはいない帯状物(286)である。

 この用例におけるstripは細長い条片だが、それが貼り付けられる部分は同じ形をしているにもかかわらずstripeと名付けられている。用例7のstripesと同じ概念で使用されている。

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【用例7】Each strip 118 has a long dimension and portions of the printed stripes: a front leg band stripe portion 146, a back leg band stripe portion 148, and a waistband stripe portion 149. (WO2011/073810)
各帯118は、長い寸法と、印刷された縞の部分:前脚帯の縞部分146、後脚帯の縞部分148、および腰帯の縞部分149を有する。(図は右カラム上)

 

 これは、紙おむつの特許である。紙おむつは、この用例でstripと呼ばれるロールシートを加工して製造される。従って、このstripeは巻物のことで直接stripeと関連がある訳ではない。長尺シート中の左右と中央の帯状の部分はstripesと呼ばれている。縞部分と訳したがカタカナ語のストライプでもよいのかも知れない。

 以上述べたようにstripは細長い条片で独立した物を意味するが、stripeは縞模様を表し、stripeと呼ばれる部分は独立しては存在していない。また、これらの用例を見る限り平面的である。

 ついでに、stripによく似た語にstrapがある。これは、革紐、つり革、ズボンのベルトなどのように薄くて細長い物を指す語である。stripが形状を表す語に対して、strapは物を表す語と理解してほぼ間違いない。

違いが分かる技術用語・特許用語(22)

28.In general と generally

 この2つは「一般に」、「たいてい」などの意味を持つ同義語だが、ライティングでは、使い分けが行われている。通常、in general は文修飾の場合に文頭に置かれる。名詞を修飾する場合は名詞の後ろに置かれて「一般の」という意味になる。一方の generally は主に一般動詞の前あるいはbe動詞の後におかれて動詞を修飾する。「一般(的)に」、「総体的に、おおむね」、「大抵」「広く(=widely)」、「通例、いつもは(= usually)」などの意味を持つ。

 この法則は、類似の語あるいは句にも応用できる。ライティングでは、文修飾すなわち文頭では、in general, in particular, in practice, in theoryなどが使用され、文中ではgenerally, particularly, practically, theoretically(これらは通常動詞を修飾する)が使用される。この基準に従って使い分けるのがよい。

【用例1】In general, a sensor is provided for detecting the presence of a gas (e.g., hydrogen) in an area proximate to the sensor component. A composite material is generally associated with the sensor, wherein the composite material comprises a metal hydride material for gas storage. (WO2006/060320)
一般にセンサは、そのセンサ部品の近くの領域の気体(例えば、水素)の存在を検出するために提供される。複合材料は、一般にセンサと関連しており、この複合材料は、気体貯蔵用の水素化金属材料を含む。

 用例1で、文頭の in general は文全体を修飾しており、2文目の generally は動詞の be associated with を修飾している。

【用例2】Extruded shapes, profiles and parts in general based on an ethylene, alpha-olefin elastomeric polymer are manufactured utilizing a tailored approach to polymerization, leading to a polymer that delivers all of the benefits of metallocene based polymers, but without the drawbacks. Additionally, the ethylene, alpha-olefin elastomeric polymer has a broader molecular weight distribution than generally available from metallocene catalyzed elastomeric polymers. (WO2000026296)
エチレン、α-オレフィンエラストマー重合体に基づく一般的な押出形状、輪郭および部分は、重合に応じた手法を用いて製造され、メタロセン系重合体のもつ長所の全てを引き継ぎ、欠点のない重合体となる。さらに、エチレン、α-オレフィンエラストマー重合体は、メタロセン触媒エラストマー重合体から通常入手可能なものよりも広い分子量分布を持っている。

 用例2の in general と generally の使い分けは、語感によるものと思われる。最初の in general は generally に置き換えても違和感がないが、後の generally を in general にするのは不自然である。

【用例3】One exemplary aspect of this invention generally relates to the field of resource and revenue management and pricing, and more particularly to price-sensitive forecasting and optimization for the purposes of dynamic pricing at least in the fields of hospitality, car rental, passenger transport (including passenger air, passenger rail), air cargo and in general any perishable asset industry. (WO2010/068551)
本発明の例示的な側面は、一般に、資源・収益管理および価格設定の分野に関し、具体的には少なくともサービス業、レンタカー、乗客輸送(旅客機、鉄道を含む)、航空貨物、および一般的に任意の消耗資産業界の分野で臨機応変の価格設定をするために価格に敏感な予測および最適化を提供することを目的とする。

 用例3における generally は widely の意味で、more particularly はそれより詳しくはという意味で使用されている。最後の in general は generally の方がすっきりすると思われるが、generally を繰り返さないための手段かも知れない。

 

29.in particularparticularly

 この2つは「特に」、「とりわけ」などの意味を持つ同義語だが、上述のように、前者は文頭で、後者は文頭以外のところで使用する点が異なる。日本人の英語を見ていると、文頭で particularly を使用するケースが多いので注意が必要である。

 より詳しく考察すると、particularly は同じ種類のものの中で際立っている場合に使用される。同じ意味の especially は particularly よりも意味が強い。どちらも修飾する語の直前に置くのが基本である。ただし、文頭には置かないので主語を修飾する場合は主語の後ろに置く。in particularは、意味は particularly と同じだが文頭に置くことができる。

【用例4】The present invention provides compositions and methods of inducing immune response in patients. In particular, it provides compositions useful in inducing humoral responses against desired immunogens, particularly polysaccharides. (WO1997/026784)
本発明は、患者に免疫応答を誘発する組成物および方法を提供する。特に、本発明は所望の免疫原、特に多糖に対する体液性応答の誘発に有用な組成物を提供する。

 用例4は2つの用語の典型的な使い分けの例である。この文で、particularly を in particular に置きかえると冗長になる。

【用例5】Compositions for controlled release of one or more therapeutic agents where the composition is essentially free of excipients are disclosed. In particular, compositions comprising a HMG-CoA reductase inhibitor, particularly simvastatin, and a NSAID, such as a COX-2 inhibitor, particularly celecoxib, in which greater than 90% of the weight of the composition is made up of the HMG-CoA reductase inhibitor and NSAID are provided. (WO2011/094431)
賦形剤を実質的に含まない1種以上の治療剤の制御放出のための組成物を開示する。特に、HMG-CoA還元酵素阻害剤、とりわけシンバスタチンおよびCOX-2阻害剤、とりわけセレコキシブのようなNSAIDを含む組成物が提供される。この組成物の重量の90%超は、HMG-CoA還元酵素阻害剤とNSAIDで構成されている。

 用例5では、一文の中で2つの用語が使い分けてられている。これも particularly を in particular に置きかえると冗長になる。

【用例6】Vaporizable compositions based on specific components in cannabis extracts and in particular comprising cannabinol and optionally sleep inducing terpenes, are provided. Such compositions, comprising low to medium concentration of CBN, are particularly useful in treating sleep disorders such as insomnia. (WO2018/173049)
アサ抽出物中の特定成分に基づく揮発性組成物、特にカンナビノールおよび必要に応じて睡眠誘発性テルペンを含む揮発性組成物を提供する。低濃度から中濃度のCBNを含むこのような組成物は、不眠症のような睡眠障害の治療に特に有用である。

 用例6の in particular は particularly に置き変え可能で、実際の用例も両者の頻度は拮抗している。しかし、particularly useful を in particular useful に変えるのは抵抗がある。事実、後者の用例は前者の用例の1%にも満たない。

【用例7】A new combination cleaning tool construction wherein the same can be utilized for cleaning surfaces, in particular, glass surfaces such as windshields. (WO2016/081007)
表面、特に風防ガラスのようなガラス表面の洗浄に使用することができる新規な組合せ洗浄具構造体。

 用例7では、用例6までだと、particularlyが使用されている箇所にin particularが使用されている。このケースでのin particularの使用は、特に違和感がない。

 

違いが分かる技術用語・特許用語(21)

 前回に続いて、穴の種類について述べる

⑥ opening(開口)

 非常によく用いられている言葉で、空気、光、あるいは何らかの物体が通過できる穴あるいは空間を意味する。この語は、日本語の「穴」、「隙間」、「裂け目」、「開口」などに対応する。開口の形・大きさは特に制限がない。

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【用例7】The clip 100 has a body 102 with a first end terminating in a needle 110 and a second end having an opening 120 thereat. (WO2004/060142)

クリップ100は針110中で終わる第一の端部とその位置に
開口120を有する第二の端部を備えた本体102を有する。 

 

 

⑦ orifice(管などの開口部、口、穴) 

「管などの穴」、「口」、「人体の開口部(口・耳)」などを意味する語である。日本語もそのまま「オリフィス」と呼ばれることが多い。小学館のデジタル大辞泉には、次のような説明がある。
「流体が噴流して出る開口部。また、流量を測定するため、水槽の壁面や管路の途中に設ける小さな流水口。この前後に生じる圧力差から流量を求める。」

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【用例8】In one embodiment, the flow restrictors, or orifices, 116 are adjustable orifices that allow varying the flow rate from the cylinders 112. In another embodiment, the flow restrictors, or orifices, 116 are orifices that are fixed, that is, the restrictors 116 are not adjustable. (WO2006/118924)

一実施例では、流量制限器すなわちオリフィス116は調整式オリフィスであり、シリンダ112からの流速を変えることができる。別の実施例では、流量制限器すなわちオリフィス116が固定オリフィスであり、すなわち、流量制限器116は調整式ではない。(特表2008-542633)

⑧ pit(くぼみ、へこみ)

地面の穴やくぼみのほかに、物の表面に刻まれた小さなくぼみを意味する。

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【用例9】In operation of this embodiment, a polysilicon resistor 34 heats a supply of ink located in a pit 42 located above the resistor 34 and separated therefrom by an insulating layer 44 and a tantalum layer 46.  (USP. No. 5,742,307)

この実施例の動作を説明すると、ポリシリコン抵抗器34は、その上に絶縁層44とタンタル層46を介して存在する窪み42の中にあるインク供給源を加熱する。

⑨ slit(切り込み) 

長くて狭くかつ真直ぐな切れ込みまたは穴を意味する。

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【用例10】Also disposed in tubular member 125 is a slit 135 which extends from opening 130 to a point in tubular member 125 just proximal balloon 115. (USP. No. 6,849,077)

また、管状体125には、開口130から管状体125のバルーン115に隣接する点にわたってスリット135が設けられている。

⑩  slot(細長い穴、溝、窪み) 

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何かを供給するためにあるものの表面に設けられた長くて狭い穴・溝・窪みを意味する。特に自動販売機などの硬貨挿入口やDVD、CDやFDを挿入する口に最適の言葉である。

【用例11】A processor 58 receives signals from the input 54, provides suitable signals to the display 52, and dispenses currency notes by dispense means 60 to the dispense slot 56.  (USP. No. 5,929,426)

プロセッサ58は入力端子54から信号を受け取り、適切な信号を表示装置52に発し、供給手段60により紙幣を支払いスロット56へ供給する。

⑪ vent(気体・液体などが出入りする穴、通気孔) 

 流体の出入り口に使用される語で、「穴」、「ベント」、「出口」、「排出口」、「通気口」、「通風口」などの日本語が割り当てられている。

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【用例12】To achieve a moderately elevated temperature in the hydrogen vent 42, a heater 46 in the form of an insulated electrical resistance wire made of, for example, an alloy of 80 weight percent nickel, 20 weight percent chromium (available commercially as "Nichrome V" wire), is positioned around the hollow tube 44.  (USP. NO. 5,916,703)

水素供給孔42の内を緩やかに昇温するために、たとえば80重量%のニッケルと20%クロム(「ニクロムV」線の名で市販されている)の合金のような電気絶縁抵抗線の形態をした加熱装置46が中空管44の周りに設けられている。

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【用例13】Gaseous byproducts, such as hydrogen chloride and chlorine, can be removed from reactor 53 via vent 61 to form stream 79'. (WO2018/009459)

気体副生物(例えば、塩化水素および塩素)を排気口61を介して反応器53から取り出して、流れ79’を形成してもよい。

 

違いが分かる技術用語・特許用語(20)

27. 穴の種類

 今回は、先月までに説明していない、穴の種類について述べる。

① aperture(開口、光・空気などが通る穴、隙間、レンズの口径)

 もともとは、カメラや望遠鏡に入る光量調節用の穴を意味していたが、技術分野では特定の目的を持った小さな穴や隙間の意味でも用いられている。

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【用例1】Some of the deposition material passes through the apertures 302slots 304 and high aspect ratio openings 308 of the stencil 300 and forms approximately a 2-3 mm layer of material on the surface 210 of the chuck 200 to form the desired features. (USP. NO. 6,214,413)
堆積物質のいくらかは型板300の開き口302スロット304、および縦横比の大きい(=細長い)開口308を通り抜けチャック200の表面210に約2~3μmの材料層を形成し所望の特徴構造を持たせる。

この例で、featuresは微細な凸部のことを意味する。


② bore(きりなどであけた穴、試掘孔、銃や管などの内腔)

 boreは「穴」、「穴などの内径」、「管の口径」、「穿孔機」などの意味を持つ名詞であるが、「掘る」、「くりぬく」、「えぐる」などの意味を持つ動詞としても使用される。日本語でも地中に穴を開ける「ボーリング」というカタカナ語がよく使用されている。このように、boreは穴の形状よりや穴の形成過程に重点が置かれた表現と言える。

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【用例2】 The piston 1104 moves within a bore 1108 of the valve body 1102 with the position of the piston 1104 related to the pressure of a fluid at the inlet port 1112. (WO2006/118924)
ピストン1104は、ピストン1104の位置が入口1112における流体の圧力と関係した状態で、弁本体1102の内部空間1108の中を移動する。(特表2008-542633)

ピストンの内部空間は英語ではboreと呼ばれることが多い。ただし、日本語ではピストンのシリンダーの内径のことを「ボア」と呼んでいるので、この公報の訳では「内部空間」となっている。英語でもboreの代わりにinternal cavityを使用している例が見られる。

 

 

 

③ cavity(空洞、穴、虫歯)

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虫歯の穴のように何かの内部にある穴または空洞を意味する。解剖学では「腔」の文字が割り当てられる。最近では「キャビティ」というカタカナ語が増えている。

【用例3】In such cases, it is not necessary completely to fill the cavity 14 with polymerizable adhesive 24 prior to fixturing. (USP. No. 4,422,891)
このような場合は、固定に先だって重合性接着剤24で空洞14を完全に埋める必要はない。

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【用例4】Cavity enhanced absorption spectroscopy systems (200) and methods for detecting trace gases using a resonance optical cavity (204), which contains a gas mixture to be analyzed, and a laser (201) coupled to the cavity (204) by optical feedback (with the phasor 220). The cavity (204) has any of a variety of configurations with two or more mirrors, including for example a linear cavity, a v-shaped cavity and a ring optical cavity. (WO2014/070952)
キャビティ増強吸収分光法システム(200)、および分析すべきガス混合物を含む共鳴光学キャビティ(204)と光フィードバックにより(フェーザ220を用いて)キャビティ(204)に結合されたレーザ(201)とを用いて微量ガスを検出する方法。キャビティ(204)は、例えば線形キャビティ、V字型キャビティ、およびリング光学キャビティを含む、2つ以上のミラーを有する様々な構成のうちのいずれかを有する。

  上記特許に出てくるoptical cavityは光共振器(optical resonator)のことで、光波の定常波のための共振器を形成するよう配置された鏡を主要素とする光学機器を意味する。


④ inlet, outlet(吸い込み穴・吐き出し穴)

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機械装置の気体や液体が流入あるいは流出する部分を指す。「吸い込み穴・吐き出し穴」などと呼ばれる。形状は限定されない。

【用例5】
The buffer channel 14 includes a chip inlet 141 for inputting buffer solution to the chip 10 and a chip outlet 142 for removing the used buffer solution from the chip. (USP. No. 6,849,459)
緩衝流路14は緩衝溶液をチップ10に送液するチップ流入口141とチップから使用済みの緩衝溶液を吐き出すチップ流出口142を持つ。

 

 

 ⑤ countersink(皿穴)

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ねじやボルトの頭が締結したものの表面と面一になるかあるいはその面より低くなるような、上部が広がった穴を意味する。また、そのような穴を作る道具を指す場合もある。

【用例6】A pinion gear 12 has a throughbore 14 with inclined sides 16 to define a frustoconical configuration and a countersink 18 on its upper surface to frictionally accommodate an inverted bronze clutch cup 20 having a frustoconical configuration. 
 ピニオンギア12は円錐台形状を定義する傾斜側面16を備えた貫通孔14およびその上面にブロンズ製の円錐台形状の逆さクラッチカップ20に擦り合わせではまりあう皿穴18を持つ。

 

違いが分かる技術用語・特許用語(19)

25. 穴と孔

 前々回に日本語では穴(あな)と孔(こう)の区別は必ずしも明確でないと述べたが、特定の専門用語では穴と孔が明確に区別されている場合もある。以下に、それぞれの代表的な用例を掲げる。

➀穴を開ける:
 以前に、この日本語に対しopen a holeという迷訳に遭遇したときは絶句したが、make/create/cut/bore a holeが無難な表現である。ただし、他動詞のpunch, bore, drill, pit, perforate, pierceなどを目的語との相性で適宜選択する方が簡潔な英文に仕上がる。

②穿孔する:
 基本的にこの語も何かに穴を開ける場合に使用される。対応する他動詞としてperforateとpunchがよく使用される。これらの動詞は「穴を開ける」と「穿孔する」で共通なので、2つの日本語は単なる表現の違いと言うことになる。

➂孔食(pitting corrosion)
 孔食は、下図に示すように、金属内部に向かって孔状に進行する局部腐食を意味する語である。

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http://www.chemical-y.co.jp/faq/q2.html

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④マクロ孔(macropore)、ミクロ孔(micropore)

 これらの語は活性炭表面の孔の状態の記述によく使用されている。次の図で明らかなように、マクロ孔といっても500 nm以上なので、非常に小さい孔を意味している。ミクロ孔は2 nm以下となっており、本来のミクロの意味よりはるかに小さい。マクロ孔とミクロ孔の間はメソ孔と呼ばれている。これらの定義はIUPACの触媒の項に定められている。

http://www.sunfield.ne.jp/~hikalo/Kenkyu/HikaloKenkyu06_01_03.html

 

 ⑤ナノ細孔(nanopore):
 バイオ分野では、人工的な細胞膜中の、幅が2 nmにも満たない「ゲート(gate)」のことを「ナノ細孔(nanopore)」と呼んでいる。

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https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0003986116301680

さらに、無機化学の分野では、微細孔をナノ細孔と呼んでいる。例えば、下図に示すgraphene nanoporeはDNA配列決定に使用されている。

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https://mappingignorance.org/2017/01/23/graphene-nanopore-dna-sequencing/

このように分野によって、細孔の呼び方が異なるので注意が必要である。

【用例1】An object is to improve accuracy of reading a DNA base sequence by lowering a passing speed of a DNA molecule in a nanopore (micropore in the order of nanometer). (US 2016/0153960)
本発明の目的は、ナノ細孔(ナノメートルの大きさのミクロ細孔)内のDNA分子の通過速度を遅くすることによってDNA塩基配列の読み取り精度を向上させることである。

 この用例では、ナノ細孔がミクロ細孔の範疇に入ることを述べている。つまりミクロ(micro)はマイクロメーターという単位ではなく「微細」という意味で使用されている。

【用例2】In a central portion of the insulating support member 110, a micropore 115 that penetrates one side and the other side is formed.  The nanopore film 120 is disposed on the insulating suppert member 110.  The nanopore film 120 may include silicon nitride, and in a central portion of the nanopore film 120, a nanopore 125 is formed. (US 10,075,222)
絶縁支持部材110の中央部には、一方の面と他方の面とを貫通するミクロ細孔115が形成されている。ナノ細孔フィルム120は、絶縁性支持部材110上に配置される。ナノ細孔フィルム120は、窒化シリコンを含み、ナノ細孔フィルム120の中央部分には、ナノ細孔125が形成される。

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 このケースでは、nanoporeは字句通りにmicoporeより小さい。

 

26. 独立気泡と連続気泡

 プラスチックを発泡させたものを発泡体(foam)と呼ぶ。発泡体はプラスチック・マトリックス中に多数の気泡(cell)が分散している。これらは習慣的にporeとは呼ばない。各気泡が独立したものを独立発泡体(closed cell foam)と呼び、各気泡が繋がったものを連続発泡体(open cell foam)と呼ぶ。

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http://nosfico.weebly.com/types-of-spray-foam-insulation.html

 独立気泡発泡体(closed cell foam)は空気や湿気を通さないので断熱性が高い。また、この発泡体は強度が高く、衝撃吸収性に優れ、水に浮きやすい。用途としては、低・常温用断熱材、シーリング材、パッキン、緩衝包装材などに使用されている。
 これに対して、連続気泡発泡体(open cell foam)は密度が低く、スポンジ状で、かつ吸湿/吸水性に優れているが、構造体の強度は高くない。主な用途は、マットレス、吸音材、台所用スポンジ、緩衝包装材などである。

【用例3】"Cell" refers to a cavity contained in foam. A cell is closed when the cell membrane surrounding the cavity or enclosed opening is not perforated and has all membranes intact. Cell connectivity occurs when at least one wall of the cell membrane surrounding the cavity has orifices or pores that connect to adjacent cells, such that an exchange of fluid is possible between adjacent cells. (EP1694752B1)
気泡」とは、発泡体内に含まれる空洞を指す。空洞すなわち囲まれた開口部を囲む気泡膜が穿孔されておらず、すべての膜が無傷の場合、気泡は独立している。気泡の連結性は、空洞を囲む気泡膜の少なくとも1つの壁が隣接する気泡に接続するオリフィスすなわち孔を持つときに起こり、その結果、隣接する気泡間で流体の交換が可能になる。

【用例4】Open cell" refers to any cell that has at least one broken or missing membrane or a hole in a membrane. (EP1694752B1)
連続気泡」とは、少なくとも1つの破損または欠落した膜または膜中にを持つ任意の気泡を指す。

違いが分かる技術用語・特許用語(18)

24. through hole(貫通孔)とvia hole(ビアホール)

前回はthrough holeとblind holeについて説明したが、今回はthrough holeとvia holeの違いを説明する。

 Keyence社のウェブページ(https://detail-infomation.com/pcb-through-hole-land-via/)の情報によると、「電子部品の端子を挿入して半田付けするための穴を電子部品用スルーホール(through hole)と呼び、基板パターンの層間の導通を目的とした穴をビアホール(via hole)と呼ぶ」とある。さらに、「電子部品用スルーホールはビアホールと比較すると電子部品を挿入するため、穴径が大きいのが特徴です」との説明がみられる。また、ビアホールは電子部品を挿入しない穴であると述べている。ビアホールはさらに、スルーホールビア(through via)、ブラインドビア(blind via)、ベリッドビア(buried via、埋め込みビアとも呼ばれている)に分類されている。下図はそれを説明するための図である。

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 この分類だとthrough holeとthrough viaの区別がわかりにくいのだが、他のウェブページ(https://www.researchgate.net/figure/
Four-types-of-via-a-non-plated-through-hole-a-blind-hole-plated-a-buried-hole-and-a_fig1_317843301
)ではthrough viaの概念はなく、through hole、blind hole、buried holeの3種類で区別されている(次図のthrouigh holeはthrough holeの間違いである)。

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 下図では、viaが上位概念になっており、その中にthru holeも含まれている。

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https://server.ibfriedrich.com/wiki/ibfwikien/index.php/Padstack

 このように、用語の使用に関しては、多少の違いがあるが、次のような共通点が認められる。

(1) 基板の全体を貫通する穴をthrough hole, thru hole, またはthrough via(貫通孔または貫通ビア)と呼ぶ。

(2) 表層から内部の層で止まっている穴をblind viaまたはblind hole(止まりビアまたは止まり穴)と呼ぶ。

(3) 両端が内層に閉じ込められた穴をburied via(埋め込みビア)あるいはburied hole(埋め込み穴)と呼ぶ。
 

 以下にこれらの用語の使い分けの実例を挙げる。

【用例1】The various embodiments of coaxial capacitors are self-aligned and formed in a via, including blind vias, buried vias and plated through holes. The coaxial capacitors are adapted to utilize the plating (125) of a plated via as a first electrode. The dielectric layer (130) is formed to overlie the first electrode (125) while leaving a portion of the via unfilled. A second electrode (135) is formed in the portion of the via left unfilled by the dielectric layer (130). (WO2001/050823)
同軸キャパシタの種々の実施例は自己整合型であり、盲ビア埋め込みビア及びめっき通孔を含むビアに形成される。同軸キャパシタは、めっきビアのめっき層(125)を第1の電極として利用する。誘電層(130)を第1の電極(125)上に形成するが、ビアの一部を未充填のまま残す。第2の電極(135)を、誘電層(130)を充填しなかったビアの部分に形成する。(特表2003-522405)

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 この用例では、貫通孔(訳では通孔)をthrough holeと呼び非貫通孔をviaと呼んでいる。不思議なことにこれらの上位概念をviaと呼んでおり、概念が不統一の感じがする。更に英文の下線部分が単数なのも、その後の例示が複数であることをふまえると奇異な感じがする。

【用例2】A via bounded on only one end is often termed a blind via. A via bounded on both ends is often termed a buried via. A via extending through all layers of a substrate 100 is often termed a through hole. A typical through hole may have a diameter of approximately 250 μm and a length of approximately 800 μm.  (WO2001/017321)
一方の端部だけが閉じたビアは、盲ビアと呼ぶことが多い。両方の端部が閉じたビアは、埋め込みビアと呼ぶことが多い。基板100の全ての層を貫通するビア通孔と呼ぶことが多い。典型的な通孔の直径は約250μm、長さは約800μmである。(特表2003-522405)

 用例1と2は同じ特許からの引用だが、blind viaを「盲ビア」としているが、「止まりビア」とすべきである。

【用例3】The substrate 120 includes a plurality of vias. Vias 130 (e.g., through silicon vias (TSVs)) extending completely through substrate 120 are utilized as conductive vias 134 to couple top wires 150 of the interposer 104 to the packaging substrate structure 106 through bottom wires 152 formed on the bottom surface 124 of the substrate 120. Blind-vias 140 not extending completely through the substrate 120 are utilized as decaps 144 to enhance the electrical performance of the interposer 104. In some embodiments, the blind-vias 140/decaps 144 are not electrically coupled to the top wires 150 formed in the interconnect layer 154.  (US20140239444)
基板120は複数のビアを含む。基板120を完全に突き抜けているビア130(すなわちシリコン貫通ビア)は導電ビア134として利用されインターポーザー104の上面配線150を基板120の下面に形成された底部配線152を経て実装基板構造体106に結合している。基板120を完全に突き抜けてはいない止まりビア140デキャップ144として利用されインターポーザー104の電気性能を向上させる。態様によっては、止まりビア140デキャップ144は相互接続層154内に形成された上部配線150に電気的に接続されてはいない。

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 なお、以前、through holeもvia holeも金属を埋め込むとthrough plugおよびvia plugと呼ぶのが正しいと述べたが、実際の特許では、日英いずれにおいても必ずしも正しい呼び方をしているとは限らないので、注意が必要である。

違いが分かる技術用語・特許用語(17)

23.   through hole(貫通孔)とblind hole(非貫通孔)

 英語のthrough holeは日本語では「貫通孔」あるいは「通り穴」と呼ばれるが、半導体や電子部品のプロセスでは「スルーホール」とカタカナ語で呼ばれることも多い。文字通り、板などを突き抜けている穴のことを言う。

 板を突き抜けていない穴は、英語ではblind holeというが、こちらの日本語は複雑な問題を抱えている。直訳すると「盲穴」だが、最近は差別用語として、この語の使用を避ける傾向にある。さらに,日本語表記では「穴」と「孔」の両方が使用されていて、この2つの違いは必ずしも明確になっていない。

 そこで、特許で使用されているこれらの穴(孔)の使用頻度を特許庁のデータベースで検索してみた。(2019年2月のデータ)

 先ず、through holeに相当する語の出現頻度を示すと、次のようになる。

       貫通孔                313345件

       貫通穴                142237件

       スルーホール     113105件

       通り穴                  1099件

       通り孔                   872件

 貫通孔が最も頻度が高く、貫通穴はその約半分である。この使い分けについては、明細書をよく吟味しないとコメントできない。

 次に、blind holeに相当する後の出現頻度を示す。

       盲孔                   6663件

       盲穴                   4455件

       止り孔                3702件

       非貫通孔            3044件

       止まり穴            2801件

       非貫通穴            1550件

       止まり孔            695件

       止り穴                567件

 使用を控えるのが望ましいとされている用語が依然として最も使用頻度が高い状況にあることが分かる。

 これらの結果を見る限り、「穴」と「孔」の違いは明確でない。この考察は後に譲ることにして、through holeとblind holeの使い分けの実例を挙げる。

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用例1.The through holes (82) and the blind drilled holes (84) are arranged in a pattern in which: (a) the through holes (82) are arranged in rows that define an oblique angle relative to a plane that is perpendicular to a longitudinal axis of the cover; (b) the through holes (82) of one row are offset from the through holes (82) of the adjacent row, with the offset between rows defining an angle of approximately 20-40 degrees; (c) the blind drilled holes (84) are arranged in rows located between the rows of through holes (82); (d) the blind drilled holes (84) of one row are offset slightly from the blind drilled holes (84) of the adjacent row, with the offset between rows defining an angle similar to that defined by the through holes (82); and (e) each of the blind drilled holes (84) is located at the substantial center of a triangle defined by the closest three through holes (82). (WO2017/189642)

複数の貫通孔(82)ドリル止まり孔(84)を次のようなパターンで配置する。(a)貫通孔(82)は被覆材の長軸に垂直な面に対して斜角を規定する複数列に配置される。 (b)ある列の貫通孔(82)はその隣の列の貫通孔(82)からずれており、複数列間のずれは約20-40度の角度を規定する。(c)複数列のドリル止まり孔(84)貫通孔(82)の列間に配置される。(d)ある列のドリル止まり孔 (84)はその隣の列のドリル止まり孔 (84) から僅かにずれており、複数列間のずれは貫通孔(82)によって規定される角度と類似の角度を規定する。最後に、(e)各ドリル止まり孔 (84)は3個の至近の貫通孔(82)により規定される三角形の実質的な中心に位置する。

 

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用例2.In making the electrode (10), the front surface is subjected to an etching process to form multiple depressions (21) or blind recesses that do not extend through the metal sheet (11); placing the fluid-permeable layer onto the front surface to form an assembly; and subjecting the assembly to compression such that the fluid-permeable layer (16) bonds to the metal sheet (11) and protrudes into the through-holes (14) and into the depressions (21). (WO2015/033123)

電極(10)の製造に際し、前表面をエッチングして、金属シート(11)を突き抜けない複数の窪み(21)すなわち止まり凹部を形成し、流体透過層をこの前表面に置き組立体を形成し、次に液体透過層(16)が金属シート(11)に結合し、かつ貫通孔(14)と窪み(21)内に突出するようにこの組立体を圧縮する。

 

用例3.A repairable flex circuit (1), comprising: a generally flexible, electrically insulative substrate (2) having a first edge (3) thereof, and a plurality of electrically conductive circuit traces (5) arranged on the substrate. Each circuit trace has an end thereof terminating at a first connector element (8) proximate the first edge (3), and at least one second connector element (13) spaced apart from the first connector element, with each of said first and second connector elements being a plated through hole, a plated blind via, or a solder pad. (WO2001/017321)

修理可能なフレックス回路(1)であって、第1の縁(3)を有する全体的に柔軟な電気絶縁性の基体(2)と、基体上に配列されている複数の導電性回路トレース(5)とを備えている。各回路トレースは、第1の縁(3)の直近の第1のコネクタ素子(8)において終端する端を有し、また第1のコネクタ素子から離間している少なくとも1つの第2のコネクタ素子(13)を有しており、上記第1及び第2の各コネクタ素子は、めっきされたスルーホール、めっきされたブラインドバイア、またははんだパッドである。(特表2003-508929)

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 この特許では貫通孔(through hole)と止まりビア(blind via)という表現が見られる。半導体や回路基板の構造あるいは製造方法の説明では、これらの用語が頻繁に出てくるので、次号に詳しく説明する。

違いが分かる技術用語・特許用語(16)

22. plate, board, slab, panel, baffle(板)
 

 これらの語は、いずれも「板」を表す語だが、使い分けが必要である。

plate

 辞書の定義では、「a thin, flat sheet or piece of metal or other material, esp. of uniform thickness(金属あるいは他の材料でできた、特に均一な厚みの薄くて平らなシートあるいは片)」とある。

 つまり、plateを明細書で使用するときは、図面や明細書でさらなる説明がない場合は「薄くて平らな」シートに限定される可能性が高いと言うことである。

 これに関しては、魚釣りリール特許(米国特許第5,120,003号)を巡る訴訟における判決がある。この特許の要素には、「第二の端板(end plate)」という用語があり、図面に記された第二の端板は平板であった。明細書中には、plateについてこれ以上の説明は含まれていなかった。これに対して、訴えられた製品には平板が含まれていなかった。裁判官はWebster’s Ninth New Collegiate Dictionary 901 (1990)を参照して、「用語は特許権者が特別な意味を与えない限りその用語が持つ通常かつ慣例の意味を持つ」として、原告(権利者)の訴えを却下した。

 以上のように、plateは非常に一般的に使用されている語であるが、クレームの要素に含む場合には、形状についても注意を払う必要がある。

board

 辞書の定義では、「木製の長く、薄くて平らなもの。特定の用途に使用される木や厚紙のような材料でできた平らなもの」、となっている。つまり、plateは形状中心の語であるのに対して、boardは形状よりは機能を意味する語である。従って、boardは通常は修飾語と共に使用される。

acoustic board:吸音板
adiabatic board:断熱板
automatic board:《機械》自動盤
back board《建築》水返し、背板
base board:幅木
blindfold board:目隠し板
casing board:枠板
ceiling board:天井板
chalk board黒板
circuit board:《電気》回路基板
composite board:複合板
corrugated board:段ボール
decorated board化粧板
dry-erase board:ホワイトボード
 

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【用例1】The first and second antennas (310, 320) may be placed side by side on a board, located at either the top end or the bottom end of a wireless device, and/or formed on opposite sides (e.g., the front and back sides) of the board. (WO2013/010145)

前記第1および第2のアンテナは、基板上に並べて配置され、無線装置の上端部または下端部に配置され、および/または、前記基板の互いに対向する側(例えば、前側および後側)に形成されてもよい。(特表2014-521268改)

 

slab

この語は、石、材木、コンクリートなどの厚板・平板を意味し、日本語でカタカナ語のスラブと呼ばれることも多い。

【用例2】The height h of the slab 1 of Figure 1 is 100mm, although more generally it may lie between 75mm to 150mm and more preferably between 85 mm and 125 mm.

図1のスラブの高さhは100mmであるが、より一般的には75mmと150mmの間、より好ましくは85mmと125mmの間である。

panel

 辞書の定義では、「壁、羽目板、天井、ドア、シャッター、塀などの特有の部分。特に他の部分から沈んでいるか隆起している表面を持つか、枠または縁に囲まれている。」となっている。これ以外にも木などの比較的薄く平たい部品、例えば合板などもpanelと呼ばれる。日本語は鏡板、羽目板、パネルなどである。

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【用例3】A strengthening panel 228, as shown particularly in Figure 24, is attached to the diagonal back edges 230 of the vertical support panels 222 to improve the rigidity of the lower seat frame 220. (WO2011/060234)

図24に詳しく示すように、垂直支持パネル222の斜め後端230に補強パネル228を取り付けることにより、座席底部枠220の剛性を向上させている。
(特表2013-510767)

baffle

 この語は、流体・光・音の流れを曲げたり規制したりする板・壁・遮蔽物に使用される語で、応用範囲が広い。日本語では、邪魔板、調節板、回り止め、拡炎板などと呼ばれるとおり、機能的な板であることがよく分かる。流体が流入する入り口に設置する冷却板や邪魔板、真空ポンプ入り口で流入ガス成分の中の水分子を吸着させる水冷バッフルなど、非常に多くの用途がある。

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【用例4】Baffle structure 130 may be used to block light 132 that is emitted from light source 126, so that light 132 does not directly reach light detector 128. (USP 9,123,221)

遮蔽構造物130を使用して光源126から発せられる光132をブロックし、この光132が光検知器128に直接届かないようにする。

 

上記の例では、遮蔽構造物130は光源からの直射光が検出器に入らないように配置されている。これによって物質(粒子)によって散乱された光のみが検出器に届くようになっている。

 

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【用例5】The stripping section 44 contains baffles 52 or other equipment to promote contacting between a stripping gas and the catalyst. (WO2010/101686)

揮散部44は調節板52またはその他の機器を含み、ストリッピングガスと触媒との間の接触を促進する。

 

 このbaffleは反応カラムの中のガスの流れを乱すことでガスの触媒への接触を促進している。

違いが分かる技術用語・特許用語(15)

20.  pointとdot(点)
 
 これらの語は、日本語ではどちらも「点」と呼ばれるが、英語では定義が異なる。

 pointは幾何学では、大きさ(dimensions)を持たないが、座標によって規定される位置を持つと定義されている。これが転じて、精密に示された位置を持つ狭い場所を意味する語として一般的に使用されている。この場合は、実際には大きさを持っているが、通常は、その大きさはあまり意識されていない。目盛上のある点もpointで表現する。化学や物理ではmelting point(融点)、boiling point(沸点)など、多くの点に関する表現がある。
 時間的にはpointあるいはtime pointは瞬時を表している。時間に幅があるときはtime intervalあるいはtime zoneなど、幅を意味する語が加えられる。

 dotは「小さな領域」という意味を持つ語で、pointと異なり、それ自体大きさや形状を持っているが、幾何学的座標を持っていない。すなわち、記号としての点を意味する。インターネットのドメインの表示に使用されるフルストップ(.)はdotと呼ばれ、掛け算を意味するいわゆる中黒(·)もmiddle dotと呼ばれる。なお、文の最後のフルストップはperiod(ピリオド、終止符)と呼ばれる。

 小数点は数学ではdecimal pointあるいはpointと呼ぶが、記号として読むときはdotが使用される。なお、ドイツでは小数点にはコンマ(,)が使用されるので、全世界に通用する「小数点」の英語はdecimal separatorあるいはdecimal characterである。ついでに、英語では、コンマは三桁の区切りに使用されるが、ドイツでは、三桁の区切りはスペースが使用される。

【用例1】A set of thinned halftone dot patterns (42) useful in inkjet printing comprises a plurality of halftone cells (40) corresponding to respective shade values. Each of the halftone cells includes a plurality of addressable points (12, 14), with at least some of the points being turned 'on' (14) to define a halftone dot pattern (46), and at least some of the 'on' points (14) defining a core component of the halftone dot pattern being selectively turned 'off' (44), thereby producing a thinned halftone dot pattern (42). The thinned halftone dot patterns enable the use of higher addressability in an inkjet printing system to achieve a wider range of shade values while avoiding undesirable over-inking of printed halftone dot patterns due to excessive overlap (26) between printed ink spots (24). (WO1996/005967)

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 インクジェットプリントに有効な、一組の低濃度ハーフトーンドットパターン(42)は、それぞれのシェード値に対応する複数のハーフトーンセル(40)を有する。各ハーフトーンセルは複数のアドレス可能なポイント(12、14)を含み、これらのポイントの少なくとも幾つかが“オン”(14)されてハーフトーンドットパターン(46)が形成され、ハーフトーンドットパターンのコアコンポーネントを形成する“オン”ポイント(14)の少なくとも幾つかが選択的に“オフ”(44)され、これにより低濃度ハーフトーンドットパターン(42)が作成される。低濃度ハーフトーンドットパターンによれば、インクジェットプリントシステムに高アドレス性を付与して、印刷されたインクスポット(24)の過剰な重なり(2b)による印刷されたハーフトーンドットパターンの望ましくないインクの過剰付着を防止すると共に、広範囲なシェード値を達成できる。(特表平10-504505改)


 この例では、point(ポイント)はアドレス可能(座標に相当する)な位置を示し、dot(ドット)はそのポイント内の小さな点を示している。このpointはpixel(ピクセル)と言い換え可能である。
 さらに、「点」を表すもう一つの語、spot(スポット)が使用されている。spotは小さな領域あるいは点を意味し、通常円形である。周りと異なるところ、表面に付いた染み、汚点、ある特徴を持つ点・場所を意味する。
 これ以外にも、点を表す語に傷や汚れなどの点を表すmarkや、医学の分野では極小領域や突起部尖端などに使用されるpunctum(複数形はpuncta)などがある。


21.  axisとaxle(軸)

 どちらも日本語では「軸」であるが、英語では厳密な使い分けがある。まず、axisは回転する物体の仮想の軸(線)、回転軸、対称軸、座標系の軸、光軸、結晶軸を意味する語なので、実際に人がその軸を見たり触れたりすることはできない。一方のaxleは自動車などの車軸、回転する構造体の軸・心棒を意味する語で、こちらは人が認識できる形状と大きさを持っている。同義語はshaft, spindle, pivot(旋回軸)などである。

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【用例2】Each axle 74 is supported for rotation about an axle axis 82 by a respective bearing 78 adjacent each of the left and right wheels 70 and 72 respectively.(WO2010/148495)


 各車軸74は、それぞれ左及び右車輪70,72のそれぞれに隣接する各ベアリング78により車軸の軸線82周りに回転可能に支持される。(特表2012-530638)

 図から明らかなように、車軸(axle)74は目に見えるが、軸線(axis)82は回転中心を示す線で、目には見えない。この例のaxle axis(車軸の軸線)は言葉の遊びとしてはおもしろいが紛らわしいので、shaft axisとした方がよい。

 なお、押出機(extruder)に、一軸押出機(single-screw extruder)と二軸押出機(double-screw extruder、またはtwin-screw extruder)があるが、この場合の「軸」はaxleではなくscrewと呼ばれる。

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https://ptfe-machinery.com/polymer-screw-extrusion/


 翻訳者の中には、「一軸押出機」を「一軸」と「押出機」に分解してそれぞれを辞書で引いてuniaxial extruderとする人がいるが、適格な訳を見つけ出すには「一軸押出機」で探さないといけない。Google検索で「一軸押出機 英語」と入れるとsingle-screw extruderがすぐに見つかる。

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