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2021年9月

違いが分かる技術用語・特許用語(18)

24. through hole(貫通孔)とvia hole(ビアホール)

前回はthrough holeとblind holeについて説明したが、今回はthrough holeとvia holeの違いを説明する。

 Keyence社のウェブページ(https://detail-infomation.com/pcb-through-hole-land-via/)の情報によると、「電子部品の端子を挿入して半田付けするための穴を電子部品用スルーホール(through hole)と呼び、基板パターンの層間の導通を目的とした穴をビアホール(via hole)と呼ぶ」とある。さらに、「電子部品用スルーホールはビアホールと比較すると電子部品を挿入するため、穴径が大きいのが特徴です」との説明がみられる。また、ビアホールは電子部品を挿入しない穴であると述べている。ビアホールはさらに、スルーホールビア(through via)、ブラインドビア(blind via)、ベリッドビア(buried via、埋め込みビアとも呼ばれている)に分類されている。下図はそれを説明するための図である。

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 この分類だとthrough holeとthrough viaの区別がわかりにくいのだが、他のウェブページ(https://www.researchgate.net/figure/
Four-types-of-via-a-non-plated-through-hole-a-blind-hole-plated-a-buried-hole-and-a_fig1_317843301
)ではthrough viaの概念はなく、through hole、blind hole、buried holeの3種類で区別されている(次図のthrouigh holeはthrough holeの間違いである)。

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 下図では、viaが上位概念になっており、その中にthru holeも含まれている。

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https://server.ibfriedrich.com/wiki/ibfwikien/index.php/Padstack

 このように、用語の使用に関しては、多少の違いがあるが、次のような共通点が認められる。

(1) 基板の全体を貫通する穴をthrough hole, thru hole, またはthrough via(貫通孔または貫通ビア)と呼ぶ。

(2) 表層から内部の層で止まっている穴をblind viaまたはblind hole(止まりビアまたは止まり穴)と呼ぶ。

(3) 両端が内層に閉じ込められた穴をburied via(埋め込みビア)あるいはburied hole(埋め込み穴)と呼ぶ。
 

 以下にこれらの用語の使い分けの実例を挙げる。

【用例1】The various embodiments of coaxial capacitors are self-aligned and formed in a via, including blind vias, buried vias and plated through holes. The coaxial capacitors are adapted to utilize the plating (125) of a plated via as a first electrode. The dielectric layer (130) is formed to overlie the first electrode (125) while leaving a portion of the via unfilled. A second electrode (135) is formed in the portion of the via left unfilled by the dielectric layer (130). (WO2001/050823)
同軸キャパシタの種々の実施例は自己整合型であり、盲ビア埋め込みビア及びめっき通孔を含むビアに形成される。同軸キャパシタは、めっきビアのめっき層(125)を第1の電極として利用する。誘電層(130)を第1の電極(125)上に形成するが、ビアの一部を未充填のまま残す。第2の電極(135)を、誘電層(130)を充填しなかったビアの部分に形成する。(特表2003-522405)

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 この用例では、貫通孔(訳では通孔)をthrough holeと呼び非貫通孔をviaと呼んでいる。不思議なことにこれらの上位概念をviaと呼んでおり、概念が不統一の感じがする。更に英文の下線部分が単数なのも、その後の例示が複数であることをふまえると奇異な感じがする。

【用例2】A via bounded on only one end is often termed a blind via. A via bounded on both ends is often termed a buried via. A via extending through all layers of a substrate 100 is often termed a through hole. A typical through hole may have a diameter of approximately 250 μm and a length of approximately 800 μm.  (WO2001/017321)
一方の端部だけが閉じたビアは、盲ビアと呼ぶことが多い。両方の端部が閉じたビアは、埋め込みビアと呼ぶことが多い。基板100の全ての層を貫通するビア通孔と呼ぶことが多い。典型的な通孔の直径は約250μm、長さは約800μmである。(特表2003-522405)

 用例1と2は同じ特許からの引用だが、blind viaを「盲ビア」としているが、「止まりビア」とすべきである。

【用例3】The substrate 120 includes a plurality of vias. Vias 130 (e.g., through silicon vias (TSVs)) extending completely through substrate 120 are utilized as conductive vias 134 to couple top wires 150 of the interposer 104 to the packaging substrate structure 106 through bottom wires 152 formed on the bottom surface 124 of the substrate 120. Blind-vias 140 not extending completely through the substrate 120 are utilized as decaps 144 to enhance the electrical performance of the interposer 104. In some embodiments, the blind-vias 140/decaps 144 are not electrically coupled to the top wires 150 formed in the interconnect layer 154.  (US20140239444)
基板120は複数のビアを含む。基板120を完全に突き抜けているビア130(すなわちシリコン貫通ビア)は導電ビア134として利用されインターポーザー104の上面配線150を基板120の下面に形成された底部配線152を経て実装基板構造体106に結合している。基板120を完全に突き抜けてはいない止まりビア140デキャップ144として利用されインターポーザー104の電気性能を向上させる。態様によっては、止まりビア140デキャップ144は相互接続層154内に形成された上部配線150に電気的に接続されてはいない。

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 なお、以前、through holeもvia holeも金属を埋め込むとthrough plugおよびvia plugと呼ぶのが正しいと述べたが、実際の特許では、日英いずれにおいても必ずしも正しい呼び方をしているとは限らないので、注意が必要である。

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