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実戦コラム

違いが分かる技術用語・特許用語(15)

20.  pointとdot(点)
 
 これらの語は、日本語ではどちらも「点」と呼ばれるが、英語では定義が異なる。

 pointは幾何学では、大きさ(dimensions)を持たないが、座標によって規定される位置を持つと定義されている。これが転じて、精密に示された位置を持つ狭い場所を意味する語として一般的に使用されている。この場合は、実際には大きさを持っているが、通常は、その大きさはあまり意識されていない。目盛上のある点もpointで表現する。化学や物理ではmelting point(融点)、boiling point(沸点)など、多くの点に関する表現がある。
 時間的にはpointあるいはtime pointは瞬時を表している。時間に幅があるときはtime intervalあるいはtime zoneなど、幅を意味する語が加えられる。

 dotは「小さな領域」という意味を持つ語で、pointと異なり、それ自体大きさや形状を持っているが、幾何学的座標を持っていない。すなわち、記号としての点を意味する。インターネットのドメインの表示に使用されるフルストップ(.)はdotと呼ばれ、掛け算を意味するいわゆる中黒(·)もmiddle dotと呼ばれる。なお、文の最後のフルストップはperiod(ピリオド、終止符)と呼ばれる。

 小数点は数学ではdecimal pointあるいはpointと呼ぶが、記号として読むときはdotが使用される。なお、ドイツでは小数点にはコンマ(,)が使用されるので、全世界に通用する「小数点」の英語はdecimal separatorあるいはdecimal characterである。ついでに、英語では、コンマは三桁の区切りに使用されるが、ドイツでは、三桁の区切りはスペースが使用される。

【用例1】A set of thinned halftone dot patterns (42) useful in inkjet printing comprises a plurality of halftone cells (40) corresponding to respective shade values. Each of the halftone cells includes a plurality of addressable points (12, 14), with at least some of the points being turned 'on' (14) to define a halftone dot pattern (46), and at least some of the 'on' points (14) defining a core component of the halftone dot pattern being selectively turned 'off' (44), thereby producing a thinned halftone dot pattern (42). The thinned halftone dot patterns enable the use of higher addressability in an inkjet printing system to achieve a wider range of shade values while avoiding undesirable over-inking of printed halftone dot patterns due to excessive overlap (26) between printed ink spots (24). (WO1996/005967)

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 インクジェットプリントに有効な、一組の低濃度ハーフトーンドットパターン(42)は、それぞれのシェード値に対応する複数のハーフトーンセル(40)を有する。各ハーフトーンセルは複数のアドレス可能なポイント(12、14)を含み、これらのポイントの少なくとも幾つかが“オン”(14)されてハーフトーンドットパターン(46)が形成され、ハーフトーンドットパターンのコアコンポーネントを形成する“オン”ポイント(14)の少なくとも幾つかが選択的に“オフ”(44)され、これにより低濃度ハーフトーンドットパターン(42)が作成される。低濃度ハーフトーンドットパターンによれば、インクジェットプリントシステムに高アドレス性を付与して、印刷されたインクスポット(24)の過剰な重なり(2b)による印刷されたハーフトーンドットパターンの望ましくないインクの過剰付着を防止すると共に、広範囲なシェード値を達成できる。(特表平10-504505改)


 この例では、point(ポイント)はアドレス可能(座標に相当する)な位置を示し、dot(ドット)はそのポイント内の小さな点を示している。このpointはpixel(ピクセル)と言い換え可能である。
 さらに、「点」を表すもう一つの語、spot(スポット)が使用されている。spotは小さな領域あるいは点を意味し、通常円形である。周りと異なるところ、表面に付いた染み、汚点、ある特徴を持つ点・場所を意味する。
 これ以外にも、点を表す語に傷や汚れなどの点を表すmarkや、医学の分野では極小領域や突起部尖端などに使用されるpunctum(複数形はpuncta)などがある。


21.  axisとaxle(軸)

 どちらも日本語では「軸」であるが、英語では厳密な使い分けがある。まず、axisは回転する物体の仮想の軸(線)、回転軸、対称軸、座標系の軸、光軸、結晶軸を意味する語なので、実際に人がその軸を見たり触れたりすることはできない。一方のaxleは自動車などの車軸、回転する構造体の軸・心棒を意味する語で、こちらは人が認識できる形状と大きさを持っている。同義語はshaft, spindle, pivot(旋回軸)などである。

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【用例2】Each axle 74 is supported for rotation about an axle axis 82 by a respective bearing 78 adjacent each of the left and right wheels 70 and 72 respectively.(WO2010/148495)


 各車軸74は、それぞれ左及び右車輪70,72のそれぞれに隣接する各ベアリング78により車軸の軸線82周りに回転可能に支持される。(特表2012-530638)

 図から明らかなように、車軸(axle)74は目に見えるが、軸線(axis)82は回転中心を示す線で、目には見えない。この例のaxle axis(車軸の軸線)は言葉の遊びとしてはおもしろいが紛らわしいので、shaft axisとした方がよい。

 なお、押出機(extruder)に、一軸押出機(single-screw extruder)と二軸押出機(double-screw extruder、またはtwin-screw extruder)があるが、この場合の「軸」はaxleではなくscrewと呼ばれる。

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https://ptfe-machinery.com/polymer-screw-extrusion/


 翻訳者の中には、「一軸押出機」を「一軸」と「押出機」に分解してそれぞれを辞書で引いてuniaxial extruderとする人がいるが、適格な訳を見つけ出すには「一軸押出機」で探さないといけない。Google検索で「一軸押出機 英語」と入れるとsingle-screw extruderがすぐに見つかる。

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