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特許翻訳トランスプライムコラム

違いが分かる技術用語・特許用語(20)

27. 穴の種類

 今回は、先月までに説明していない、穴の種類について述べる。

① aperture(開口、光・空気などが通る穴、隙間、レンズの口径)

 もともとは、カメラや望遠鏡に入る光量調節用の穴を意味していたが、技術分野では特定の目的を持った小さな穴や隙間の意味でも用いられている。

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【用例1】Some of the deposition material passes through the apertures 302slots 304 and high aspect ratio openings 308 of the stencil 300 and forms approximately a 2-3 mm layer of material on the surface 210 of the chuck 200 to form the desired features. (USP. NO. 6,214,413)
堆積物質のいくらかは型板300の開き口302スロット304、および縦横比の大きい(=細長い)開口308を通り抜けチャック200の表面210に約2~3μmの材料層を形成し所望の特徴構造を持たせる。

この例で、featuresは微細な凸部のことを意味する。


② bore(きりなどであけた穴、試掘孔、銃や管などの内腔)

 boreは「穴」、「穴などの内径」、「管の口径」、「穿孔機」などの意味を持つ名詞であるが、「掘る」、「くりぬく」、「えぐる」などの意味を持つ動詞としても使用される。日本語でも地中に穴を開ける「ボーリング」というカタカナ語がよく使用されている。このように、boreは穴の形状よりや穴の形成過程に重点が置かれた表現と言える。

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【用例2】 The piston 1104 moves within a bore 1108 of the valve body 1102 with the position of the piston 1104 related to the pressure of a fluid at the inlet port 1112. (WO2006/118924)
ピストン1104は、ピストン1104の位置が入口1112における流体の圧力と関係した状態で、弁本体1102の内部空間1108の中を移動する。(特表2008-542633)

ピストンの内部空間は英語ではboreと呼ばれることが多い。ただし、日本語ではピストンのシリンダーの内径のことを「ボア」と呼んでいるので、この公報の訳では「内部空間」となっている。英語でもboreの代わりにinternal cavityを使用している例が見られる。

 

 

 

③ cavity(空洞、穴、虫歯)

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虫歯の穴のように何かの内部にある穴または空洞を意味する。解剖学では「腔」の文字が割り当てられる。最近では「キャビティ」というカタカナ語が増えている。

【用例3】In such cases, it is not necessary completely to fill the cavity 14 with polymerizable adhesive 24 prior to fixturing. (USP. No. 4,422,891)
このような場合は、固定に先だって重合性接着剤24で空洞14を完全に埋める必要はない。

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【用例4】Cavity enhanced absorption spectroscopy systems (200) and methods for detecting trace gases using a resonance optical cavity (204), which contains a gas mixture to be analyzed, and a laser (201) coupled to the cavity (204) by optical feedback (with the phasor 220). The cavity (204) has any of a variety of configurations with two or more mirrors, including for example a linear cavity, a v-shaped cavity and a ring optical cavity. (WO2014/070952)
キャビティ増強吸収分光法システム(200)、および分析すべきガス混合物を含む共鳴光学キャビティ(204)と光フィードバックにより(フェーザ220を用いて)キャビティ(204)に結合されたレーザ(201)とを用いて微量ガスを検出する方法。キャビティ(204)は、例えば線形キャビティ、V字型キャビティ、およびリング光学キャビティを含む、2つ以上のミラーを有する様々な構成のうちのいずれかを有する。

  上記特許に出てくるoptical cavityは光共振器(optical resonator)のことで、光波の定常波のための共振器を形成するよう配置された鏡を主要素とする光学機器を意味する。


④ inlet, outlet(吸い込み穴・吐き出し穴)

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機械装置の気体や液体が流入あるいは流出する部分を指す。「吸い込み穴・吐き出し穴」などと呼ばれる。形状は限定されない。

【用例5】
The buffer channel 14 includes a chip inlet 141 for inputting buffer solution to the chip 10 and a chip outlet 142 for removing the used buffer solution from the chip. (USP. No. 6,849,459)
緩衝流路14は緩衝溶液をチップ10に送液するチップ流入口141とチップから使用済みの緩衝溶液を吐き出すチップ流出口142を持つ。

 

 

 ⑤ countersink(皿穴)

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ねじやボルトの頭が締結したものの表面と面一になるかあるいはその面より低くなるような、上部が広がった穴を意味する。また、そのような穴を作る道具を指す場合もある。

【用例6】A pinion gear 12 has a throughbore 14 with inclined sides 16 to define a frustoconical configuration and a countersink 18 on its upper surface to frictionally accommodate an inverted bronze clutch cup 20 having a frustoconical configuration. 
 ピニオンギア12は円錐台形状を定義する傾斜側面16を備えた貫通孔14およびその上面にブロンズ製の円錐台形状の逆さクラッチカップ20に擦り合わせではまりあう皿穴18を持つ。

 

違いが分かる技術用語・特許用語(19)

25. 穴と孔

 前々回に日本語では穴(あな)と孔(こう)の区別は必ずしも明確でないと述べたが、特定の専門用語では穴と孔が明確に区別されている場合もある。以下に、それぞれの代表的な用例を掲げる。

➀穴を開ける:
 以前に、この日本語に対しopen a holeという迷訳に遭遇したときは絶句したが、make/create/cut/bore a holeが無難な表現である。ただし、他動詞のpunch, bore, drill, pit, perforate, pierceなどを目的語との相性で適宜選択する方が簡潔な英文に仕上がる。

②穿孔する:
 基本的にこの語も何かに穴を開ける場合に使用される。対応する他動詞としてperforateとpunchがよく使用される。これらの動詞は「穴を開ける」と「穿孔する」で共通なので、2つの日本語は単なる表現の違いと言うことになる。

➂孔食(pitting corrosion)
 孔食は、下図に示すように、金属内部に向かって孔状に進行する局部腐食を意味する語である。

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http://www.chemical-y.co.jp/faq/q2.html

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④マクロ孔(macropore)、ミクロ孔(micropore)

 これらの語は活性炭表面の孔の状態の記述によく使用されている。次の図で明らかなように、マクロ孔といっても500 nm以上なので、非常に小さい孔を意味している。ミクロ孔は2 nm以下となっており、本来のミクロの意味よりはるかに小さい。マクロ孔とミクロ孔の間はメソ孔と呼ばれている。これらの定義はIUPACの触媒の項に定められている。

http://www.sunfield.ne.jp/~hikalo/Kenkyu/HikaloKenkyu06_01_03.html

 

 ⑤ナノ細孔(nanopore):
 バイオ分野では、人工的な細胞膜中の、幅が2 nmにも満たない「ゲート(gate)」のことを「ナノ細孔(nanopore)」と呼んでいる。

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https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0003986116301680

さらに、無機化学の分野では、微細孔をナノ細孔と呼んでいる。例えば、下図に示すgraphene nanoporeはDNA配列決定に使用されている。

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https://mappingignorance.org/2017/01/23/graphene-nanopore-dna-sequencing/

このように分野によって、細孔の呼び方が異なるので注意が必要である。

【用例1】An object is to improve accuracy of reading a DNA base sequence by lowering a passing speed of a DNA molecule in a nanopore (micropore in the order of nanometer). (US 2016/0153960)
本発明の目的は、ナノ細孔(ナノメートルの大きさのミクロ細孔)内のDNA分子の通過速度を遅くすることによってDNA塩基配列の読み取り精度を向上させることである。

 この用例では、ナノ細孔がミクロ細孔の範疇に入ることを述べている。つまりミクロ(micro)はマイクロメーターという単位ではなく「微細」という意味で使用されている。

【用例2】In a central portion of the insulating support member 110, a micropore 115 that penetrates one side and the other side is formed.  The nanopore film 120 is disposed on the insulating suppert member 110.  The nanopore film 120 may include silicon nitride, and in a central portion of the nanopore film 120, a nanopore 125 is formed. (US 10,075,222)
絶縁支持部材110の中央部には、一方の面と他方の面とを貫通するミクロ細孔115が形成されている。ナノ細孔フィルム120は、絶縁性支持部材110上に配置される。ナノ細孔フィルム120は、窒化シリコンを含み、ナノ細孔フィルム120の中央部分には、ナノ細孔125が形成される。

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 このケースでは、nanoporeは字句通りにmicoporeより小さい。

 

26. 独立気泡と連続気泡

 プラスチックを発泡させたものを発泡体(foam)と呼ぶ。発泡体はプラスチック・マトリックス中に多数の気泡(cell)が分散している。これらは習慣的にporeとは呼ばない。各気泡が独立したものを独立発泡体(closed cell foam)と呼び、各気泡が繋がったものを連続発泡体(open cell foam)と呼ぶ。

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http://nosfico.weebly.com/types-of-spray-foam-insulation.html

 独立気泡発泡体(closed cell foam)は空気や湿気を通さないので断熱性が高い。また、この発泡体は強度が高く、衝撃吸収性に優れ、水に浮きやすい。用途としては、低・常温用断熱材、シーリング材、パッキン、緩衝包装材などに使用されている。
 これに対して、連続気泡発泡体(open cell foam)は密度が低く、スポンジ状で、かつ吸湿/吸水性に優れているが、構造体の強度は高くない。主な用途は、マットレス、吸音材、台所用スポンジ、緩衝包装材などである。

【用例3】"Cell" refers to a cavity contained in foam. A cell is closed when the cell membrane surrounding the cavity or enclosed opening is not perforated and has all membranes intact. Cell connectivity occurs when at least one wall of the cell membrane surrounding the cavity has orifices or pores that connect to adjacent cells, such that an exchange of fluid is possible between adjacent cells. (EP1694752B1)
気泡」とは、発泡体内に含まれる空洞を指す。空洞すなわち囲まれた開口部を囲む気泡膜が穿孔されておらず、すべての膜が無傷の場合、気泡は独立している。気泡の連結性は、空洞を囲む気泡膜の少なくとも1つの壁が隣接する気泡に接続するオリフィスすなわち孔を持つときに起こり、その結果、隣接する気泡間で流体の交換が可能になる。

【用例4】Open cell" refers to any cell that has at least one broken or missing membrane or a hole in a membrane. (EP1694752B1)
連続気泡」とは、少なくとも1つの破損または欠落した膜または膜中にを持つ任意の気泡を指す。

違いが分かる技術用語・特許用語(18)

24. through hole(貫通孔)とvia hole(ビアホール)

前回はthrough holeとblind holeについて説明したが、今回はthrough holeとvia holeの違いを説明する。

 Keyence社のウェブページ(https://detail-infomation.com/pcb-through-hole-land-via/)の情報によると、「電子部品の端子を挿入して半田付けするための穴を電子部品用スルーホール(through hole)と呼び、基板パターンの層間の導通を目的とした穴をビアホール(via hole)と呼ぶ」とある。さらに、「電子部品用スルーホールはビアホールと比較すると電子部品を挿入するため、穴径が大きいのが特徴です」との説明がみられる。また、ビアホールは電子部品を挿入しない穴であると述べている。ビアホールはさらに、スルーホールビア(through via)、ブラインドビア(blind via)、ベリッドビア(buried via、埋め込みビアとも呼ばれている)に分類されている。下図はそれを説明するための図である。

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 この分類だとthrough holeとthrough viaの区別がわかりにくいのだが、他のウェブページ(https://www.researchgate.net/figure/
Four-types-of-via-a-non-plated-through-hole-a-blind-hole-plated-a-buried-hole-and-a_fig1_317843301
)ではthrough viaの概念はなく、through hole、blind hole、buried holeの3種類で区別されている(次図のthrouigh holeはthrough holeの間違いである)。

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 下図では、viaが上位概念になっており、その中にthru holeも含まれている。

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https://server.ibfriedrich.com/wiki/ibfwikien/index.php/Padstack

 このように、用語の使用に関しては、多少の違いがあるが、次のような共通点が認められる。

(1) 基板の全体を貫通する穴をthrough hole, thru hole, またはthrough via(貫通孔または貫通ビア)と呼ぶ。

(2) 表層から内部の層で止まっている穴をblind viaまたはblind hole(止まりビアまたは止まり穴)と呼ぶ。

(3) 両端が内層に閉じ込められた穴をburied via(埋め込みビア)あるいはburied hole(埋め込み穴)と呼ぶ。
 

 以下にこれらの用語の使い分けの実例を挙げる。

【用例1】The various embodiments of coaxial capacitors are self-aligned and formed in a via, including blind vias, buried vias and plated through holes. The coaxial capacitors are adapted to utilize the plating (125) of a plated via as a first electrode. The dielectric layer (130) is formed to overlie the first electrode (125) while leaving a portion of the via unfilled. A second electrode (135) is formed in the portion of the via left unfilled by the dielectric layer (130). (WO2001/050823)
同軸キャパシタの種々の実施例は自己整合型であり、盲ビア埋め込みビア及びめっき通孔を含むビアに形成される。同軸キャパシタは、めっきビアのめっき層(125)を第1の電極として利用する。誘電層(130)を第1の電極(125)上に形成するが、ビアの一部を未充填のまま残す。第2の電極(135)を、誘電層(130)を充填しなかったビアの部分に形成する。(特表2003-522405)

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 この用例では、貫通孔(訳では通孔)をthrough holeと呼び非貫通孔をviaと呼んでいる。不思議なことにこれらの上位概念をviaと呼んでおり、概念が不統一の感じがする。更に英文の下線部分が単数なのも、その後の例示が複数であることをふまえると奇異な感じがする。

【用例2】A via bounded on only one end is often termed a blind via. A via bounded on both ends is often termed a buried via. A via extending through all layers of a substrate 100 is often termed a through hole. A typical through hole may have a diameter of approximately 250 μm and a length of approximately 800 μm.  (WO2001/017321)
一方の端部だけが閉じたビアは、盲ビアと呼ぶことが多い。両方の端部が閉じたビアは、埋め込みビアと呼ぶことが多い。基板100の全ての層を貫通するビア通孔と呼ぶことが多い。典型的な通孔の直径は約250μm、長さは約800μmである。(特表2003-522405)

 用例1と2は同じ特許からの引用だが、blind viaを「盲ビア」としているが、「止まりビア」とすべきである。

【用例3】The substrate 120 includes a plurality of vias. Vias 130 (e.g., through silicon vias (TSVs)) extending completely through substrate 120 are utilized as conductive vias 134 to couple top wires 150 of the interposer 104 to the packaging substrate structure 106 through bottom wires 152 formed on the bottom surface 124 of the substrate 120. Blind-vias 140 not extending completely through the substrate 120 are utilized as decaps 144 to enhance the electrical performance of the interposer 104. In some embodiments, the blind-vias 140/decaps 144 are not electrically coupled to the top wires 150 formed in the interconnect layer 154.  (US20140239444)
基板120は複数のビアを含む。基板120を完全に突き抜けているビア130(すなわちシリコン貫通ビア)は導電ビア134として利用されインターポーザー104の上面配線150を基板120の下面に形成された底部配線152を経て実装基板構造体106に結合している。基板120を完全に突き抜けてはいない止まりビア140デキャップ144として利用されインターポーザー104の電気性能を向上させる。態様によっては、止まりビア140デキャップ144は相互接続層154内に形成された上部配線150に電気的に接続されてはいない。

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 なお、以前、through holeもvia holeも金属を埋め込むとthrough plugおよびvia plugと呼ぶのが正しいと述べたが、実際の特許では、日英いずれにおいても必ずしも正しい呼び方をしているとは限らないので、注意が必要である。

違いが分かる技術用語・特許用語(17)

23.   through hole(貫通孔)とblind hole(非貫通孔)

 英語のthrough holeは日本語では「貫通孔」あるいは「通り穴」と呼ばれるが、半導体や電子部品のプロセスでは「スルーホール」とカタカナ語で呼ばれることも多い。文字通り、板などを突き抜けている穴のことを言う。

 板を突き抜けていない穴は、英語ではblind holeというが、こちらの日本語は複雑な問題を抱えている。直訳すると「盲穴」だが、最近は差別用語として、この語の使用を避ける傾向にある。さらに,日本語表記では「穴」と「孔」の両方が使用されていて、この2つの違いは必ずしも明確になっていない。

 そこで、特許で使用されているこれらの穴(孔)の使用頻度を特許庁のデータベースで検索してみた。(2019年2月のデータ)

 先ず、through holeに相当する語の出現頻度を示すと、次のようになる。

       貫通孔                313345件

       貫通穴                142237件

       スルーホール     113105件

       通り穴                  1099件

       通り孔                   872件

 貫通孔が最も頻度が高く、貫通穴はその約半分である。この使い分けについては、明細書をよく吟味しないとコメントできない。

 次に、blind holeに相当する後の出現頻度を示す。

       盲孔                   6663件

       盲穴                   4455件

       止り孔                3702件

       非貫通孔            3044件

       止まり穴            2801件

       非貫通穴            1550件

       止まり孔            695件

       止り穴                567件

 使用を控えるのが望ましいとされている用語が依然として最も使用頻度が高い状況にあることが分かる。

 これらの結果を見る限り、「穴」と「孔」の違いは明確でない。この考察は後に譲ることにして、through holeとblind holeの使い分けの実例を挙げる。

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用例1.The through holes (82) and the blind drilled holes (84) are arranged in a pattern in which: (a) the through holes (82) are arranged in rows that define an oblique angle relative to a plane that is perpendicular to a longitudinal axis of the cover; (b) the through holes (82) of one row are offset from the through holes (82) of the adjacent row, with the offset between rows defining an angle of approximately 20-40 degrees; (c) the blind drilled holes (84) are arranged in rows located between the rows of through holes (82); (d) the blind drilled holes (84) of one row are offset slightly from the blind drilled holes (84) of the adjacent row, with the offset between rows defining an angle similar to that defined by the through holes (82); and (e) each of the blind drilled holes (84) is located at the substantial center of a triangle defined by the closest three through holes (82). (WO2017/189642)

複数の貫通孔(82)ドリル止まり孔(84)を次のようなパターンで配置する。(a)貫通孔(82)は被覆材の長軸に垂直な面に対して斜角を規定する複数列に配置される。 (b)ある列の貫通孔(82)はその隣の列の貫通孔(82)からずれており、複数列間のずれは約20-40度の角度を規定する。(c)複数列のドリル止まり孔(84)貫通孔(82)の列間に配置される。(d)ある列のドリル止まり孔 (84)はその隣の列のドリル止まり孔 (84) から僅かにずれており、複数列間のずれは貫通孔(82)によって規定される角度と類似の角度を規定する。最後に、(e)各ドリル止まり孔 (84)は3個の至近の貫通孔(82)により規定される三角形の実質的な中心に位置する。

 

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用例2.In making the electrode (10), the front surface is subjected to an etching process to form multiple depressions (21) or blind recesses that do not extend through the metal sheet (11); placing the fluid-permeable layer onto the front surface to form an assembly; and subjecting the assembly to compression such that the fluid-permeable layer (16) bonds to the metal sheet (11) and protrudes into the through-holes (14) and into the depressions (21). (WO2015/033123)

電極(10)の製造に際し、前表面をエッチングして、金属シート(11)を突き抜けない複数の窪み(21)すなわち止まり凹部を形成し、流体透過層をこの前表面に置き組立体を形成し、次に液体透過層(16)が金属シート(11)に結合し、かつ貫通孔(14)と窪み(21)内に突出するようにこの組立体を圧縮する。

 

用例3.A repairable flex circuit (1), comprising: a generally flexible, electrically insulative substrate (2) having a first edge (3) thereof, and a plurality of electrically conductive circuit traces (5) arranged on the substrate. Each circuit trace has an end thereof terminating at a first connector element (8) proximate the first edge (3), and at least one second connector element (13) spaced apart from the first connector element, with each of said first and second connector elements being a plated through hole, a plated blind via, or a solder pad. (WO2001/017321)

修理可能なフレックス回路(1)であって、第1の縁(3)を有する全体的に柔軟な電気絶縁性の基体(2)と、基体上に配列されている複数の導電性回路トレース(5)とを備えている。各回路トレースは、第1の縁(3)の直近の第1のコネクタ素子(8)において終端する端を有し、また第1のコネクタ素子から離間している少なくとも1つの第2のコネクタ素子(13)を有しており、上記第1及び第2の各コネクタ素子は、めっきされたスルーホール、めっきされたブラインドバイア、またははんだパッドである。(特表2003-508929)

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 この特許では貫通孔(through hole)と止まりビア(blind via)という表現が見られる。半導体や回路基板の構造あるいは製造方法の説明では、これらの用語が頻繁に出てくるので、次号に詳しく説明する。

違いが分かる技術用語・特許用語(16)

22. plate, board, slab, panel, baffle(板)
 

 これらの語は、いずれも「板」を表す語だが、使い分けが必要である。

plate

 辞書の定義では、「a thin, flat sheet or piece of metal or other material, esp. of uniform thickness(金属あるいは他の材料でできた、特に均一な厚みの薄くて平らなシートあるいは片)」とある。

 つまり、plateを明細書で使用するときは、図面や明細書でさらなる説明がない場合は「薄くて平らな」シートに限定される可能性が高いと言うことである。

 これに関しては、魚釣りリール特許(米国特許第5,120,003号)を巡る訴訟における判決がある。この特許の要素には、「第二の端板(end plate)」という用語があり、図面に記された第二の端板は平板であった。明細書中には、plateについてこれ以上の説明は含まれていなかった。これに対して、訴えられた製品には平板が含まれていなかった。裁判官はWebster’s Ninth New Collegiate Dictionary 901 (1990)を参照して、「用語は特許権者が特別な意味を与えない限りその用語が持つ通常かつ慣例の意味を持つ」として、原告(権利者)の訴えを却下した。

 以上のように、plateは非常に一般的に使用されている語であるが、クレームの要素に含む場合には、形状についても注意を払う必要がある。

board

 辞書の定義では、「木製の長く、薄くて平らなもの。特定の用途に使用される木や厚紙のような材料でできた平らなもの」、となっている。つまり、plateは形状中心の語であるのに対して、boardは形状よりは機能を意味する語である。従って、boardは通常は修飾語と共に使用される。

acoustic board:吸音板
adiabatic board:断熱板
automatic board:《機械》自動盤
back board《建築》水返し、背板
base board:幅木
blindfold board:目隠し板
casing board:枠板
ceiling board:天井板
chalk board黒板
circuit board:《電気》回路基板
composite board:複合板
corrugated board:段ボール
decorated board化粧板
dry-erase board:ホワイトボード
 

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【用例1】The first and second antennas (310, 320) may be placed side by side on a board, located at either the top end or the bottom end of a wireless device, and/or formed on opposite sides (e.g., the front and back sides) of the board. (WO2013/010145)

前記第1および第2のアンテナは、基板上に並べて配置され、無線装置の上端部または下端部に配置され、および/または、前記基板の互いに対向する側(例えば、前側および後側)に形成されてもよい。(特表2014-521268改)

 

slab

この語は、石、材木、コンクリートなどの厚板・平板を意味し、日本語でカタカナ語のスラブと呼ばれることも多い。

【用例2】The height h of the slab 1 of Figure 1 is 100mm, although more generally it may lie between 75mm to 150mm and more preferably between 85 mm and 125 mm.

図1のスラブの高さhは100mmであるが、より一般的には75mmと150mmの間、より好ましくは85mmと125mmの間である。

panel

 辞書の定義では、「壁、羽目板、天井、ドア、シャッター、塀などの特有の部分。特に他の部分から沈んでいるか隆起している表面を持つか、枠または縁に囲まれている。」となっている。これ以外にも木などの比較的薄く平たい部品、例えば合板などもpanelと呼ばれる。日本語は鏡板、羽目板、パネルなどである。

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【用例3】A strengthening panel 228, as shown particularly in Figure 24, is attached to the diagonal back edges 230 of the vertical support panels 222 to improve the rigidity of the lower seat frame 220. (WO2011/060234)

図24に詳しく示すように、垂直支持パネル222の斜め後端230に補強パネル228を取り付けることにより、座席底部枠220の剛性を向上させている。
(特表2013-510767)

baffle

 この語は、流体・光・音の流れを曲げたり規制したりする板・壁・遮蔽物に使用される語で、応用範囲が広い。日本語では、邪魔板、調節板、回り止め、拡炎板などと呼ばれるとおり、機能的な板であることがよく分かる。流体が流入する入り口に設置する冷却板や邪魔板、真空ポンプ入り口で流入ガス成分の中の水分子を吸着させる水冷バッフルなど、非常に多くの用途がある。

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【用例4】Baffle structure 130 may be used to block light 132 that is emitted from light source 126, so that light 132 does not directly reach light detector 128. (USP 9,123,221)

遮蔽構造物130を使用して光源126から発せられる光132をブロックし、この光132が光検知器128に直接届かないようにする。

 

上記の例では、遮蔽構造物130は光源からの直射光が検出器に入らないように配置されている。これによって物質(粒子)によって散乱された光のみが検出器に届くようになっている。

 

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【用例5】The stripping section 44 contains baffles 52 or other equipment to promote contacting between a stripping gas and the catalyst. (WO2010/101686)

揮散部44は調節板52またはその他の機器を含み、ストリッピングガスと触媒との間の接触を促進する。

 

 このbaffleは反応カラムの中のガスの流れを乱すことでガスの触媒への接触を促進している。

違いが分かる技術用語・特許用語(15)

20.  pointとdot(点)
 
 これらの語は、日本語ではどちらも「点」と呼ばれるが、英語では定義が異なる。

 pointは幾何学では、大きさ(dimensions)を持たないが、座標によって規定される位置を持つと定義されている。これが転じて、精密に示された位置を持つ狭い場所を意味する語として一般的に使用されている。この場合は、実際には大きさを持っているが、通常は、その大きさはあまり意識されていない。目盛上のある点もpointで表現する。化学や物理ではmelting point(融点)、boiling point(沸点)など、多くの点に関する表現がある。
 時間的にはpointあるいはtime pointは瞬時を表している。時間に幅があるときはtime intervalあるいはtime zoneなど、幅を意味する語が加えられる。

 dotは「小さな領域」という意味を持つ語で、pointと異なり、それ自体大きさや形状を持っているが、幾何学的座標を持っていない。すなわち、記号としての点を意味する。インターネットのドメインの表示に使用されるフルストップ(.)はdotと呼ばれ、掛け算を意味するいわゆる中黒(·)もmiddle dotと呼ばれる。なお、文の最後のフルストップはperiod(ピリオド、終止符)と呼ばれる。

 小数点は数学ではdecimal pointあるいはpointと呼ぶが、記号として読むときはdotが使用される。なお、ドイツでは小数点にはコンマ(,)が使用されるので、全世界に通用する「小数点」の英語はdecimal separatorあるいはdecimal characterである。ついでに、英語では、コンマは三桁の区切りに使用されるが、ドイツでは、三桁の区切りはスペースが使用される。

【用例1】A set of thinned halftone dot patterns (42) useful in inkjet printing comprises a plurality of halftone cells (40) corresponding to respective shade values. Each of the halftone cells includes a plurality of addressable points (12, 14), with at least some of the points being turned 'on' (14) to define a halftone dot pattern (46), and at least some of the 'on' points (14) defining a core component of the halftone dot pattern being selectively turned 'off' (44), thereby producing a thinned halftone dot pattern (42). The thinned halftone dot patterns enable the use of higher addressability in an inkjet printing system to achieve a wider range of shade values while avoiding undesirable over-inking of printed halftone dot patterns due to excessive overlap (26) between printed ink spots (24). (WO1996/005967)

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 インクジェットプリントに有効な、一組の低濃度ハーフトーンドットパターン(42)は、それぞれのシェード値に対応する複数のハーフトーンセル(40)を有する。各ハーフトーンセルは複数のアドレス可能なポイント(12、14)を含み、これらのポイントの少なくとも幾つかが“オン”(14)されてハーフトーンドットパターン(46)が形成され、ハーフトーンドットパターンのコアコンポーネントを形成する“オン”ポイント(14)の少なくとも幾つかが選択的に“オフ”(44)され、これにより低濃度ハーフトーンドットパターン(42)が作成される。低濃度ハーフトーンドットパターンによれば、インクジェットプリントシステムに高アドレス性を付与して、印刷されたインクスポット(24)の過剰な重なり(2b)による印刷されたハーフトーンドットパターンの望ましくないインクの過剰付着を防止すると共に、広範囲なシェード値を達成できる。(特表平10-504505改)


 この例では、point(ポイント)はアドレス可能(座標に相当する)な位置を示し、dot(ドット)はそのポイント内の小さな点を示している。このpointはpixel(ピクセル)と言い換え可能である。
 さらに、「点」を表すもう一つの語、spot(スポット)が使用されている。spotは小さな領域あるいは点を意味し、通常円形である。周りと異なるところ、表面に付いた染み、汚点、ある特徴を持つ点・場所を意味する。
 これ以外にも、点を表す語に傷や汚れなどの点を表すmarkや、医学の分野では極小領域や突起部尖端などに使用されるpunctum(複数形はpuncta)などがある。


21.  axisとaxle(軸)

 どちらも日本語では「軸」であるが、英語では厳密な使い分けがある。まず、axisは回転する物体の仮想の軸(線)、回転軸、対称軸、座標系の軸、光軸、結晶軸を意味する語なので、実際に人がその軸を見たり触れたりすることはできない。一方のaxleは自動車などの車軸、回転する構造体の軸・心棒を意味する語で、こちらは人が認識できる形状と大きさを持っている。同義語はshaft, spindle, pivot(旋回軸)などである。

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【用例2】Each axle 74 is supported for rotation about an axle axis 82 by a respective bearing 78 adjacent each of the left and right wheels 70 and 72 respectively.(WO2010/148495)


 各車軸74は、それぞれ左及び右車輪70,72のそれぞれに隣接する各ベアリング78により車軸の軸線82周りに回転可能に支持される。(特表2012-530638)

 図から明らかなように、車軸(axle)74は目に見えるが、軸線(axis)82は回転中心を示す線で、目には見えない。この例のaxle axis(車軸の軸線)は言葉の遊びとしてはおもしろいが紛らわしいので、shaft axisとした方がよい。

 なお、押出機(extruder)に、一軸押出機(single-screw extruder)と二軸押出機(double-screw extruder、またはtwin-screw extruder)があるが、この場合の「軸」はaxleではなくscrewと呼ばれる。

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https://ptfe-machinery.com/polymer-screw-extrusion/


 翻訳者の中には、「一軸押出機」を「一軸」と「押出機」に分解してそれぞれを辞書で引いてuniaxial extruderとする人がいるが、適格な訳を見つけ出すには「一軸押出機」で探さないといけない。Google検索で「一軸押出機 英語」と入れるとsingle-screw extruderがすぐに見つかる。

違いが分かる技術用語・特許用語(14)

19. timeとtiming(続き)
 

 先月は英文明細書におけるtimeとtimingの用例について考察した。今月は日本語明細書における「タイミング」の意味とその訳について考察する。

【課題1】図5は、ヒータ装置180のトライアック181の制御動作と電流の発生を示すタイミングチャートである。図5では、インバータ装置200の出力電圧、ヒータ装置180のトライアック181の駆動信号、インバータ装置200の出力電流、の各タイミングについて示している。(特開2018-014821)

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タイミングチャートは電子工学における複数の信号の挙動を時間軸に表した図を意味する専門用語である。後半の「各タイミング」の部分は図面から分かるように全体をtimingと捉えると表現が簡潔になる。

訳例:Figure 5 is a timing chart illustrating the control operation and the generation of current at a triac 181 in a heater 180.  The drawing illustrates the timing between the output voltage from an inverter 200, the drive signal for the triac 181 of the heater 180, and the output current from the inverter 200.

 なお、この例の「トリアック(triac)」はtriode(三極管)とA.C.(交流)の合成語で、三端子を持つ半導体スイッチング素子を意味する。双方向に電流を流せるので交流スイッチとして広く用いられている。


【課題2】ロータリーバルブ36は、逆転可能モータ38が正転するとき冷却用バルブタイミングに従って動作し、逆転可能モータ38が逆転するとき加熱用バルブタイミングに従って動作するよう構成される。(特開2018-151128)

「バルブタイミング(valve timing)」はバルブの開閉の精密なタイミングを意味する専門用語である。

訳例:The rotary valve 36 operates in response to the cooling valve timing during the normal rotation of the reversible motor 38 or the heating valve timing during the reverse rotation of the reversible motor 38.
 

【課題3】検出部92は、被搬送物Xの通過が通過検知センサによって検知された後、所定のタイミングで、光源30に対し、励起光の照射及びその停止を指令する。(特開2018-163568)

この例では、「検知された後の所定の時間間隔で」と読み替えると表現が簡潔になる。

訳例:The detector 92 instructs the light source 30 to start or stop the irradiation of the excitation light at predetermined time intervals after the object sensor detects the transit of the object X.


【課題4】逆止弁4は、気液置換室21と外部の水Waとの圧力差で受動的に弁の開閉動作を行うばかりでなく、制御部80が間欠的に出力する制御信号に基づく適切なタイミングで能動的に開閉動作するシャッタ(不図示)を採用しても構わない。(特開2018-103948)

「適切なタイミングで」はいくつかの表現がある。

訳例:The check valve 4 may include a shutter (not shown) that not only passively gates the valve by a difference in pressure between the gas-liquid substitution chamber 21 and the exterior water Wa but also actively gates the valve at just the right moment based on the control signals intermittently output from the controller 80.


【課題5】この結果、図3のGW202や、GW202とセンサ203とを結ぶネットワークの負荷が増加した場合でも過負荷を抑制することと適切なタイミングでのデータ取得の両立が可能となる。(特開2018-174448)

訳例:Even if the load of the gateway 202 and the load of the network linking the gateway 202 and the sensor 203 in Fig. 3 increase, the suppressed overload is compatible with the data acquisition at an appropriate time.


【課題6】その結果、供給フィーダ24から搬送ドラム31へ、タイミングよく錠剤9の受け渡しが行われる。(特開2018-080049)

「タイミングよく」は副詞のtimelyで表現することができる。

訳例:As a result, the tablets 9 can be timely transferred from the feeder 24 to the transfer drum 31.


【課題7】また、ヘルスチェック結果を表示するタイミングは、ユーザがMFP2に近接したタイミングで表示する。(特開2018-156639)

この例の「タイミング」はどちらも無視できる。すなわち、次のように書き換えることができる。

日本語の書き換え:ヘルスチェックの結果は、ユーザがMFP2に近づいたときに表示される。

訳例:The results of the health checking appears when the user approaches the multifunction peripheral 2.


【課題8】後幕のメカニカルシャッタ200の走行方向に瞳分割された単位画素1を用いて、PD11dの露光開始時刻を時刻差Δt(n)分タイミングを遅らせて露光時間を短縮することができる。(特開2018-121196)

この例の「タイミング」も訳す必要がない。

訳例:The start of the exposure can be delayed by a time difference Δt(n) using a unit pixel 1 after the pupil division in the running direction of the mechanical shutter 200 of the rear curtain to compress the exposure time.

 この例で、「後幕(あとまく)」はストロボ撮影でシャッター幕が閉じるときに発光する設定を意味する。反対語は「先幕(先幕)」で、シャッター幕が完全に開いたときにストロボを発光させる設定を意味する。先幕シンクロと後幕シンクロの違いを説明した写真がキヤノンの写真用語集に記載されている。https://ptl.imagegateway.net/contents/original/glossary/index.html


【課題9】このようなワイパシステム1では、ウォッシャ液噴射動作のタイムラグを考慮し、ワイパ動作に対する噴射タイミングの遅れを防止するため、次のような制御形態が実施される。(特開2017-170961)

ここでも、「噴射タイミングの遅れ」は単に「噴射の遅れ」とすればことが足りる。

訳例:Such a wiper system 1 involves the following control mode to prevent the delay of spraying relative to the wiping operation in view of the time lag of the spraying operation of the washer solution.


以上のように日本語の「タイミング」はかなり広い意味を持っているので、一律にtimingにするのではなく、状況によって適切な語を選択して表現することが好ましい。全く無視してもよいケースも少なくない。

技術翻訳としての特許翻訳 第14回

第14回 「被処理基板」の意味

日英特許翻訳で気をつけるべきことのひとつに訳語選定がある。次の例で、訳語選定の問題について述べる。
 

【例1】被処理基板を処理室に入れ加熱する。次に被処理基板の上に半導体層を積層し、処理室から取り出して熱処理室に移す。
<ある訳例> The substrate to be treated is placed to be heated in a treating room.  Then, a semiconductor layer is laminated on the substrate to be treated and is removed from the treating room to transfer the heat-treating room.

最初の「被処理基板」は日本語自体が間違っている。これから処理される基板なので「処理対象基板」とでもいうべき語である。訳例はthe substrate to be treatedとなっているので、この部分は正しい。2番目の「被処理基板」は既に加熱処理されて次の処理中なので、正しくは「処理中の基板」でなければならない。従って、訳例のthe substrate to be treatedは正しくない。つまり、「被処理」という語自体が二重定義になっている。上記の訳例はこのような実情を無視して一律に訳語を割り当てたためにちぐはぐになってしまったのである。

この訳例には別の問題がある。処理室から半導体層が取り出されたことになっているが、実際には積層体が取り出されている。つまり、半導体層が積層された後に基板が取り出されている。このように、日本語は文の途中で主語が変わっていることがあるので、英訳に当たっては細心の注意を払う必要がある。

さらに、日本語は「処理室」と「熱処理室」と2つの室を区別しているが、不完全である。そこで、この日本語は次のように書き換えると論理的になる。

<日本語の書き換え> 処理対象基板反応室で加熱し、この基板の上に半導体層を積層する。次いで、この基板を反応室から熱処理室に移す。

<修正訳例> The substrate of interest is heated and a semiconductor layer is deposited on the substrate in a reaction chamberThe resulting substrate is then transferred from the reaction chamber to an annealing chamber.

以上のように、プロセスを翻訳する場合は、機械的に訳語を選択して翻訳するのではなく、何処で何が行われているのかを頭の中に浮かべながら翻訳することが重要である。

「被処理基板」は明細書でしばしば使用される問題の語である。次の特許請求の範囲の記載でその問題点を考える。
 

【例2】処理室内の被処理基板に対して所定のプラズマ処理を実行するプラズマ処理方法であって,
前記処理室の排気口に設けられた圧力制御弁の開度を調整しながら真空ポンプで排気することによって前記処理室内を所定の第1設定圧力に減圧し,前記処理室内にエッチングガスを導入してプラズマを励起することによって,前記被処理基板上に形成された被エッチング膜をパターニングされたレジスト膜をマスクとしてエッチングするエッチングステップと,
前記圧力制御弁の開度を調整しながら前記真空ポンプで排気することによって前記処理室内を所定の第2設定圧力に減圧し,前記処理室内にアッシングガスを導入してプラズマを励起することによって,前記レジスト膜をアッシングするアッシングステップと,
前記エッチングステップが終了すると,前記アッシングステップ実行前に,前記圧力制御弁を全開にして前記処理室内を所定時間だけ前記真空ポンプで真空引きすることによって,前記処理室内に残留したエッチングガスを排出する残留ガス除去ステップと,を有し,
前記各ステップを同一処理室内で前記被処理基板を搬出せずに連続して実行することを特徴とするプラズマ処理方法。

ここでも、「被処理基板」が二重定義になっている。最初は「これから処理される基板」だが、二度目以降は「処理中の基板」の意味で使用されている。次に、「被エッチング膜をパターニングされたレジスト膜をマスクとして」が分かりにくい。さらに、この方法クレームは前の工程を引用しているため表現が煩雑になっており、しかも工程の順序が時系列になっていないので、理解が困難である。これらの問題点を解消するために、次のように請求項を書き換える。

<書き換えた請求項> 同一処理室内の基板に対して所定のプラズマ処理を実行するプラズマ処理方法であって、
a)前記処理室の排気口に設けられた圧力制御弁の開度を調整しながら真空ポンプで排気して前記処理室内を第1設定圧力に減圧し,前記処理室内にエッチングガスを導入してプラズマを励起してレジストマスクパターンを経て前記基板上に形成された対象膜をエッチングするステップ
b)前記圧力制御弁を全開にして前記処理室内を所定時間だけ前記真空ポンプで真空引きして,前記処理室内に残留したエッチングガスを排出するステップ、および
c)前記圧力制御弁の開度を調整しながら前記真空ポンプで排気することで前記処理室内を所定の第2設定圧力に減圧し,前記処理室内にアッシングガスを導入してプラズマを励起して,前記レジスト膜をアッシングするステップを含み、
前記各ステップを前記処理室内で前記基板を搬出せずに連続して実行するプラズマ処理方法。

<書き換えた日本語に基づく訳例A> A method of plasma-processing a substrate in a single processing chamber, comprising:

              a) etching a target film on the substrate through a patterned resist mask in an excited plasma field generated by evacuating the chamber with a vacuum pump up to a first pressure while controlling the extent of opening of a pressure valve provided at an outlet of the chamber and then introducing an etching gas into the chamber;

              b) discharging the etching gas remaining in the chamber by evacuating the chamber with the vacuum pump for a predetermined time while fully opening the pressure valve; and

              c) ashing the resist mask in an excited plasma field by evacuating the chamber with the vacuum pump to a second pressure while controlling the extent of opening of the pressure valve and then introducing an ashing gas into the chamber,

              steps a) to c) being continuously performed in the chamber without discharge of the substrate from the chamber.
 

<書き換えた日本語に基づく訳例B> A method of continuously plasma-processing a substrate in a single processing chamber without discharge of the substrate therefrom, comprising the steps of:

              a) etching a target film on the substrate through a patterned resist mask in an excited plasma field generated by evacuating the chamber with a vacuum pump to a first reduced pressure while controlling the extent of opening of a pressure valve provided at an outlet of the chamber and then introducing an etching gas into the chamber;

              b) discharging the etching gas remaining in the chamber by evacuating the chamber with the vacuum pump for a predetermined time while fully opening the pressure valve; and

              c) ashing the resist mask in an excited plasma field by evacuating the chamber with the vacuum pump to a second reduced pressure while controlling the extent of opening of the pressure valve and then introducing an ashing gas into the chamber.

訳例Bで下線部は省略できる。また、この訳例では工程の引用がないのでa)~c)の記号も省略できる。


最後に、「被~」についてまとめると次のようになる。

① 本来、「被」は既に何かを受けたものに使用する。
② 実際には、「被」が「未」の意味で誤用されていることが多い。
③ 「被」の意味が途中で変わっている場合がある。
④ 従って、「被」にとらわれずに、適切な英語をあてはめる。安易にan element to be treatedなどとすると新たな誤解を生む。「未」に対しては問題ないが、文字通り「被(既)」の場合はthe treated elementでなければならない

なお、「被処理物」という日本語に対しては、workあるいはworkpiece(仕掛品)という訳語がふさわしい場合が多い。   

違いが分かる技術用語・特許用語(13)

19. timeとtiming 

 辞書によるこれらの語の区別は次の通りである。

time
① 連続した時間、時を表す
② 区切られた時間あるいは期間、間隔を表す
③ 特定の時点や時刻を表す
④ (動詞)時間を計る

 つまり、時に関するあらゆる状況に使用される。

timing
① タイミング(カタカナ語)、適時選択
② 時間を計ること(計時)

 つまり、timingの意味②は動詞timeの名詞形の意味を持っている。

 次に、日本語の「タイミング」は次のような意味を持っている。
① 物事を行うのにちょうどよい折りのこと。これは、上記のtimingの①の意味、すなわち「適時選択」と一致している。日本語では、他に「機会」、「折」、「都合」、「拍子」、「時宜」、「機」、「時機」などの意味に類している。
② 何かが起こるときのこと。すなわち「時期」、「瞬間」の意味に類している。

 以上のことから、英語のtimingを日本語にする場合、カタカナ語の「タイミング」以外にどのような訳を当てはめるのがよいかを実例で検討する。

用例1: The digital wireless link introduces substantial time variable delay. In order to pass time sensitive messages over the link, time sensitive messages are recognized and translated into time insensitive messages for transmission over the wireless link. The time insensitive messages indicate the information contained in the time sensitive messages and in the timing of the time sensitive messages. At the receiving end, the time insensitive messages are recognized and the time sensitive messages reconstructed with the appropriate timing. (WO1995/014356)

公表公報の訳: デジタル無線リンクは実質的に時間可変遅延を導入する。リンク上で時間感応性メッセージを伝送するため、時間感応性メッセージは認識され、無線リンク上での送信のために時間不感応性メッセージに変換される。時間不感応性メッセージは時間感応性メッセージおよび時間に不感応メッセージのタイミング中に含まれる情報を示す。受信端では時間不感応性メッセージは認識され、時間感応性メッセージは適切なタイミングで再構成される。(特表平2008-505995改)

 用例1におけるtimingはカタカナ語で「タイミング」と訳されているが、これが「適時選択」の意味なのか否かは明細書全体を読んでも筆者はよく理解できなかった。

用例2: In an ad hoc peer-to-peer communications network, timing synchronization can be facilitated between two or more nodes based on respective timing adjustments. A sequence of timing synchronization time intervals can be determined based on a first timing reference received from a source. A symbol timing can be determined and included in a first signal transmitted during a dedicated time interval, which can be a chosen fraction of one of the timing synchronization time intervals. In the remaining portion of the time interval, such as a non-chosen fraction, a second signal that includes a second timing reference can be received. Based on the symbol timing and the second timing reference, a timing adjustment can be determined and timing of each node adjusted accordingly. (WO/2009/009363)

公表公報の訳: アドホックピアツーピア通信ネットワークにおいて、それぞれのタイミング調整に基づいて、2つ以上のノード間のタイミング同期を容易にすることができる。一連のタイミング同期時間間隔を、ソースから受信した第1のタイミング基準に基づいて決定することができる。シンボルタイミングを決定し、専用の時間間隔(タイミング同期時間間隔のうちの1つの選択された小部分であり得る)中に送信された第1信号中に含めることができる。非選択小部分のような、時間間隔の残りの部分において、第2のタイミング基準を含む第2信号を受信することができる。そのシンボルタイミングと第2のタイミング基準に基づいて、タイミング調整を決定することができ、したがって、各ノードのタイミングを調整することができる。(特表2010-533431改)

 通信分野の特許はカタカナ語の連発で、技術の理解が容易でない。「アドホック(ad hoc)」は「特定の目的のための」、「その場限りの」という意味を持つラテン語で英語のfor thisに相当する。「ピアツーピア(peer-to-peer)」はP2Pと表記されることもあるが、サーバとクライアントという特定の関係を持たない対等の立場で通信を行う形態を意味する語である。

 問題の「タイミング」であるが、明細書全体を読んでみるとどうやら「時間合わせ」の意味で使用されているようだが、通信分野に精通していない筆者にとっては、本当のところはよく分かっていない。

 以下に示すように、英語のtimeがしばしば日本語では「タイミング」と訳されている。

用例3: The method also includes controlling movement of a detector carriage including a plurality of drop detectors of a drop detector array with respect to the printhead device by a control module to align each one of the drop detectors with the respective firing paths corresponding to the respective nozzles at a predetermined time. (WO2014/092678)

訳例: この方法は、複数の液滴検出器を含む検出器キャリッジのプリントヘッド装置に対する動きを制御モジュールにより制御して、所定のタイミングで各ノズルに対応する点火経路に各液滴検出器を位置合わせすることも含む。(特表2015-536852改)

 用例3の訳はtimeの部分を除いて、修正してある。そのtimeだが、「所定のタイミングで」と訳されているが、あえて、「タイミング」を使わなくとも、「所定の時間に」で十分に意味は通じる。

用例4: The announcements may be at times unknown to consumers. (WO2013/163397)

訳例: 当該告知は、消費者らに知られていないタイミングで行なわれうる。(特表2015-523618)

 用例4のat timesは「時々」の意味で、従ってこの文の意味は「この告知は時には消費者に知られていないことがあるかもしれない」の意味ではないかと思われる。

 英文ではtimingが使用されていないにもかかわらず、日本語訳が「タイミング」となっているケースも多くある。

用例5: The insertion tool can then be removed at the surgeon's convenience allowing compression on the two bones. (WO2015/130609)

公表公報の訳: 次いで、外科医は都合のよいタイミングで挿入用具を取り外して、それら2つの骨に圧縮力がかかるようにする。(特表2017-510341改)

 用例5のconvenienceは「好都合」という意味合いで使用されているが、確かに「都合のよいタイミング」とするとぴったりはまっている感じになる。「適切なときに」と言い換えてもよい。なお、もとの訳はcompressionを「コンプレッション」とカタカナ語にしているが、骨に圧縮力がかかることを意味しているので修正した。

 

 以上の通り、英語のtimingは真意がつかめないことがあり、訳語のタイミングも安易に使用されている。

技術翻訳としての特許翻訳 第13回

第13回 電気化学的に卑な金属

 

ある英文特許を読んでいたところ、次のような表現が見つかった。

The material constituting the sacrificial layer is preferably a metal electrochemically less base than Cu.  Examples of such preferable metals include Cu-Zn alloy, Cu-Sn alloy, Cu-Mn alloy, Cu-Al alloy, Cu-Mg alloy, Fe metal, Zn metal, Co metal, Mo metal and oxides thereof, and a combination thereof, and particularly preferably a Cu-Zn alloy.

英文の太字の部分が理解できないので、対応する日本特許を当たったところ、次の通りであった。
「犠牲層を構成する材料はCuよりも電気化学的に卑な金属が好ましく、そのような好ましい金属の例としては、Cu-Zn合金、Cu-Sn合金、Cu-Mn合金、Cu-Al合金、Cu-Mg合金、Fe金属、Zn金属、Co金属、Mo金属及びこれらの酸化物、並びにこれらの組合せが挙げられ、特に好ましくはCu-Zn合金である。」

「電気化学的に卑な金属」という表現は特許明細書でも非常に少なく、しかも日本からの出願に限られている。言い換えれば、これは日本語固有の表現なので、翻訳に際しては技術的な意味を正しく理解する必要があることを意味している。上記の翻訳のbaseは「卑金属」をbase metalと呼ぶことから引き出されたものである。そこで、baseの意味を形容詞の「劣った(=卑)」と読みとった場合、less baseは日本語と逆に「卑でない」という全く逆の意味になってしまうことを翻訳者は気付いていない。原語の技術的意味を理解せずに、自分の知っている単語を組み合わせただけの翻訳がいかに危険であるかを示している。

以前なら、電気化学に関する書籍で調べないと分からないことが、今はGoogle検索で簡単に見つけることができる。「電気化学的に卑な金属」を検索すると、いくつかの関連ページが見つかるが、《YAHOO!知恵袋》に「卑」の意味を質問している人がいる(https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1458380044)。回答は、次のように、非常に要を得ている。
「各種金属の標準電位の序列を,電気化学系列,俗にイオン化傾向と呼び,その序列の中で高い電位に位置するものを「貴」,低い電位に位置するものを「卑」な金属と呼びます。 電位の極性は、酸化方向(貴)をプラス、還元方向(卑)をマイナスとするように統一されています。(電気化学測定マニュアル基礎編より)」

さらに、《コトバンク》には「卑な金属」の説明として世界大百科事典の次の部分が引用されている
「元素の化学的性質の一つである水溶液中での標準電位系列(イオン化傾向序列の逆)で水素よりも高い電位にある金属を一般に貴な金属といい,金,銀,白金,水銀,銅などが含まれる。他の多くは卑な金属である。」
https://kotobank.jp/word/%E5%8D%91%E3%81%AA%E9%87%91%E5%B1%9E-1399762

以上から、「Cuよりも電気化学的に卑な金属」は「Cuよりも低い電位にある金属」と読み替えればよいことが分かる。この電位は正確には、「酸化還元電位(redox potential)」と呼ばれている。修正訳例は次の通りである。

The material for the sacrificial layer is preferably a metal having a redox potential less than that of Cu.  Examples of such preferable metals include Cu-Zn, Cu-Sn, Cu-Mn, Cu-Al, and Cu-Mg alloys; elemental Fe, Zn, Co, Mo and oxides thereof; and combinations thereof.  Cu-Zn alloys are particularly preferred.

 

以下に、同様の表現の実例を特許から拾ってきたので、試訳とともに示す。

【例1】 自己放電反応抑制剤に含まれる、上記カチオンは、鉄よりも電気化学的に卑な金属のカチオンである。そのため、上記カチオンは、電解液中で負極金属である鉄とは反応し難い。(特開2018-078084)

試訳:Cations in the self-discharge reaction inhibitor are cations of metal with a lower redox potential than that of iron.  These cations barely react with iron of the negative electrode in the electrolytic solution.

【例2】 前記エッチング処理においては、前記除去対象粒子が、水素よりも電気化学的に卑な金属を含有することが好ましい。そうすることで、エッチング液に溶解しやすく、除去が容易になる。そのような金属としては、例えば、Zn、Al、Fe、Ni、Co、Snなどが挙げられる。また、前記導電体は、水素よりも電気化学的に貴な金属を含有することが好ましい。そうすることにより、前記エッチング処理において、前記エッチング液に溶解しにくい。  そのような金属としては、例えば、Au、Ptなどが挙げられる。

試訳:Preferably the particles to be removed in the etching treatment contain metal with a redox potential lower than that of hydrogen.  The particles can be readily dissolved in the etching solution.  Examples of such metal include zinc, aluminum, iron, nickel, cobalt, and tin.  Preferably the conductor contains metal with a redox potential higher than that of hydrogen.  Such metals are barely dissolved in the etching solution.  Examples of the metal include gold and platinum.

例2で、「電気化学的に貴な金属」は「高い酸化還元電位にある金属」と読み替えられている。

【例3】 従来から、端子と電線の芯線とが互いに異なる材料で形成された端子付電線が知られている。概して、このような端子付電線の芯線はアルミニウム(電気化学的に卑な金属)で形成され、端子は銅(電気化学的に貴な金属)で形成される。(特開2018-014313)

試訳:Cables provided with cores and terminals are known.  Usually cores and terminals are composed of different materials.  The cores are made of aluminum, which is electrochemically base metal, and terminals are made of cupper, which is electrochemically noble metal.

例3で、「電気化学的に貴な金属」と「電気化学的に卑な金属」は通常の「貴金属」と「卑金属」の概念と同じ使い方をしている。従って英文も比較級で書く必要はない。

【例4】 しかしながら、アルミニウム芯線と銅端子とを電気的に接続する場合、この接続部分に雨水や洗車、結露などによって水等の電解液が付着すると、電解液を介してアルミニウム芯線と銅端子との間に電池回路が形成され、電気化学的に卑な金属であるアルミニウムが電解液中に溶出して腐食される現象(ガルバニック腐食)が生じる。(特開2017-220294)

試訳:If electrolyte, such as rain water, car washing water, or dew condensation water, adheres to the electric connection between the aluminum core and the copper terminal, a cell circuit formed between the aluminum core and the copper terminal through the electrolyte causes erosion of the electrochemically base metal aluminum into the electrolyte (referred to as galvanic corrosion).

下図は例4に出てくる、「ガルバニック腐食(電界腐食)」の模式図である。

https://aluminumsurface.blogspot.com/2009/04/corrosion-between-anodized-aluminum-and.html

2020122215924.jpgのサムネイル画像

ガルバニックはイタリアの物理学者Luigi Galvaniの名にちなんでいる。トタン板(亜鉛メッキ鉄板)をgalvanized plateと呼ぶのは、電池反応で亜鉛が腐食することで鉄の腐食を防ぐからである。検流計(galvanometer)も彼の名に由来する。彼は、死んだ蛙の筋肉が電気火花でけいれんすることを発見したので、galvanicには「けいれん的な」、「電気刺激の」という意味もある。実際の電池の発明は同じイタリア人のIl Conte Alessandro Giuseppe Antonio Anastasio Voltaである。電圧のボルト(volt)は彼の名にちなんでいる。

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