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実戦コラム

違いが分かる技術用語・特許用語(11)

17. doseとdosage
 

 これらの語は医薬分野では投薬に関する用語として頻繁に使用されている。

 一口に言うと、doseは医薬の一回の投与量を意味し、dosageは投与の量、頻度、あるいは継続期間を決定することを意味する。これら2つの語の違いは分かりにくいが、https://www.enago.jp/academy/dosage-dose/では、違いを次のような用例で区別してる。

The patient has two more doses remaining in the prescribed dosage.(患者は処方された服用量内であと2回分残っている。)

 これら2つの用語に対応する日本語は錯綜している。例えば、英辞郎では、dose薬の一服一回分となっている。さらに、熟語を見ると、dosage adjustmentを「用量(投与量)の調節」、dose dependenceを「用量依存性」というぐあいに「用量」という語が広く使用されている。これに対してdosage薬などの用量投薬量調剤となっている。熟語にはdosage dependence用量依存性)、optimal dosage最適用量)など、やはり「用量」となっているものが多くある。これらの事実から、特に日本語の「用量」は文脈に応じてdoseとdosageのどちらを選択すべきかを判断する必要がある。

 以下に、英日翻訳におけるdosedosageの訳し分けがどのようになっているかを検討する。

【用例1】In the case in which the ultrarapid acting insulin is provided in form that does not allow an exact match to the current dosage one can round down or round to the nearest (that is up or down) dose of the ultrarapid acting insulin to use as the initial dose. (WO2010/021879)

公表公報の訳:超速効型インスリンが現行の用量と完全な一致ができない形で供給される場合には、初回用量として用いる超速効型インスリンの用量に最も近くなるように切捨てまたは四捨五入(つまり増減)する。(特表2012-500201)

 用例1では、dosedosageも「用量」と訳されているが、current dosageを「現行の投与量」として区別した方がよい。


【用例2】The dosage forms provide a substantially immediate dose of methylphenidate upon ingestion, followed by one or more additional doses at predetermined times. By providing such a drug release profile, the dosage forms eliminate the need for a patient to carry and additional dose for ingestion during the day. The dosage forms and methods provided are useful in administering methylphenidate and pharmaceutically acceptable salts thereof, which generally require one or more doses throughout the day. (WO1999/003471)

公表公報の訳:それらの投薬剤形は摂取時に実質的に即時の服用量のメチルフェニデートを提供し、続いて、前もって決定された時間に1回以上の追加服用量を提供する。そのような薬物放出特性を提供することにより、それらの投薬剤形は患者が1日の間に摂取のための追加服用量を携帯する必要を省く。提供される投薬剤形及び方法は通例1日を通して1回以上の服用量を必要とするメチルフェニデート及びその製薬学的に許容しうる塩類の投与に有用である。(特表2002-510318改)
 

【用例3】The dosage regimen in carrying out the method of this invention is that which insures maximum therapeutic response until improvement is obtained and thereafter the minimum effective level which gives relief. (WO2003/039528)

公表公報の訳:本発明の方法を実施するための投与計画は、改善が得られるまでは最大限の治療応答を保証するものであり、ついで緩解を与える最低限の有効レベルである。(特表2005-511590改)]


【用例4】The containers employed can depend on the exact dosage form involved, for example a conventional cardboard box would not generally be used to hold a liquid suspension. (WO2003/011282)

公表公報の訳:使用される容器はそれと関連する正確な投与形態により決めることができる。例えば、在来型の段ボール箱は一般に液体懸濁物を入れるのには使用されない。(特表2005-504032改)]

 放射線の分野ではdosedosageは「線量」と呼ばれており、前者は「一回の線量」、後者は放射線の「被曝量」あるいは「吸収量」の意味で使用される。


【用例5】A dosage of radiation sufficient to ensure sterilization without damaging the object is determined by determining the bioburden upon one or more samples of the objects, determining an estimate of the dose that results in a probability of 0.01 of a surviving microorganism by testing a quantity of samples of the objects at varying dosage levels of radiation, confirming the estimate by testing a quantity of samples of the objects at the dose that was estimated; and calculating a dosage for the sterility assurance level of 10-6 by adding a factor to the dose that was confirmed to result in a probability of 0.01 of a surviving microorganism and wherein the factor is proportional to the dose that yields a probability of 0.01 of a surviving microorganism and inversely proportional to a log of the bioburden. (WO2008/154209)

公表公報の訳:対象物に損傷を与えずに殺菌を確実にするのに十分な放射線線量は、対象物の1つ以上の試料に関するバイオバーデンを決定する工程と、異なる放射線量水準で前記対象物のある量の試料を試験することで残存微生物の確率が0.01になる線量の推定値を決定する工程と、推定された前記線量で対象物のある量の試料を試験することで推定値を確認する工程と、残存微生物の確率が0.01になることが確認された線量に係数を加えることにより、10-6の無菌性保証レベルに対する放射線量を計算する工程により決定され、前記係数は、残存微生物の確率が0.01になる線量に比例し、かつバイオバーデンのlogに反比例する。(特表2010-528771改)

 用例5では、doseは「線量」、dosageは「放射線量」と訳し分けられているが、doseは「一回あたりの線量」、dosageは「総線量」の意味で使用されている。なおbioburdenは試料に混入している汚染微生物の数を意味する技術用語である。
 

 次に、日本語明細書の英訳例を示す。

【課題1】好ましい用量プロトコルは、重大な望まれない副作用を避ける最大用量または投薬頻度を含むものである。
訳例:A preferred dosage protocol involves a maximum dosage or administration frequency to avoid serious adverse side effects.

【課題2】全体の週用量は少なくとも約0.05μg/kg体重である。
訳例:The total dosage per body weight is at least about 0.05 μg/kg.

課題1と2は、投薬の頻度あるいは割合を述べているのでdoseではなくdosageが正しい。

【課題3】医薬組成物は、その投与経路に応じて適宜剤形することができる
訳例:The pharmaceutical composition may be provided in any dosage form depending on the administration route.

 

=まとめ=

  1. doseは1回の投与量を表す語である。
  2. dosageは投薬の頻度を表す語である。
  3. 日英翻訳ではdosageの方が使用頻度が高い。

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