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実戦コラム

違いが分かる技術用語・特許用語(7)

  1. resilient, elastic, flexible

 resilient (resilience), elastic (elasticity), flexible (flexibility)は物体が損傷を起こすことなく歪みに耐えうることを意味する形容詞(名詞)です。

 resilientは変形力あるいは圧力を除いたときに速やかに元の形状に回復する能力を意味する形容詞です(名詞:resilienceまたはresiliency、副詞:resiliently)。対応する日本語は「回復力のある」、「反発性のある」、「弾力的な」などです。例えば、a resilient innersoleは「反発性の靴の中敷き」のことです。

用例1.In the embodiment shown, the body 19 includes a protrusive resilient flap 22, which extends between the vanes 21 and is repeatedly struck by the vanes 21 as the ball 20 rotates. (2013/093469)[図示の実施態様では、本体19は突き出た弾性片22を備える。弾性片22は羽根板21の間にあり、球20が回転すると羽根板21に繰り返し叩かれる。(特表2015-502172)]

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 elasticは引っ張ったときの変形に抵抗する性質、すなわち元に戻る性質を意味する形容詞です(名詞:elasticity、副詞:elastically)。対応する日本語は「伸び縮みする」、「伸縮する」、「弾力性のある」などです。resilientは「回復力」に主眼が置かれているのに対し、elasticは力による伸縮に主眼が置かれています。例えば、an elastic waistbandは「伸縮性ウェストバンド」のことです。

用例2.Movement of the movable member 72 is transmitted via the elastic supports 74 and causes vibration of the component 69. (WO2013/093469)[可動部材72の動きは弾性支持部74を介して伝達され、要素69を振動させる。(特表2015-502172)]

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 elasticの反対語はinelastic(弾力性のない)です。また、elasticと対比してよく使用される語はplastic可塑性)で、名詞形はplasticityです。

 高分子化学の分野ではelastomerplasticがよく使用されます。elastomerは「弾性体」すなわち「ゴム」のことで、伸びたり縮んだりします。また、elastomer 製品は一般に高いresilienceを持っています。

 これに対して、plasticは「プラスチック」あるいは「樹脂」などと呼ばれていますが、その性状は複雑です。例えばplastic sheetは後で述べるflexible(柔軟な)なものもあれば、rigid(剛直な)なものさらには変形に対してfragile(壊れやすい)ものまで、多岐に渡っています。

 resiliencyelasticは境界領域が明確でないことが多くあります。そのために、英文ではこれらがor接続で使用されることがあります。

用例3.A measuring apparatus for measuring a semiconductor wafer, or a coating or a film on it, includes a conductive wafer chuck 4 and a probe 6 having a probe body 12 defining an internal cavity 14 in fluid communication with a conductive membrane 16 having elasticity or resilience. [半導体ウエハ、またはウエハ上のコーティングや膜を測定する測定装置であって、導電性ウエハチャック4と、弾性のまたは復元力のある導電膜16と流体接続した内部キャビティ14を画成するプローブ本体12を有するプローブ6とを含む。(特開2005-045216改)]

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 flexibleは破損なしに曲げるか折りたたむことができるがresilientでもelasticでもないものを意味する形容詞です(名詞:flexibility、副詞flexibly)。flexible plastic tubingは「可撓性プラスチック管」のことです。同義語にfloppyがあります。

 余談ですが、今や死語同然の「フロッピーディスク」は日本では商標登録されているため、特に特許請求の範囲でこの語を不用意に使用すると「公序良俗違反」という拒絶理由が発せられました。そのため、日英翻訳でfloppy diskとすると外国でも拒絶されるという都市伝説が生まれましたが、floppy diskしなやかなディスク)は一般名詞なので外国では商標登録されないはずなので、使用に問題ないのですが、それでも心配という方にはflexible diskを使用するように指導していました。つまり、同義語の言い換え技術を応用すればよいのです。ちなみに、diskette(ディスケット)も同じ物を指します。

用例4.The present invention relates to a pump (10) comprising a shaft (15) supported for rotation by a bearing (38) carried by a bearing carrier (48), said bearing carrier having a generally outer radial portion (52) which is fixed relative to a pump housing (12) and a generally inner radial portion (54) which is fixed relative to the bearing, wherein the carrier is stiff in a radial direction between said inner and outer portions and flexible in an axial direction for restraining radial movement of the bearing and allowing axial movement. (WO2012/004579)[本発明は、ベアリング担持体(48)により担持されるベアリング(38)によって回転支持される軸(15)を備えたポンプ(10)に関し、該ベアリング担持体が、ポンプハウジング(12)に対して固定される全体的に半径方向外側部分(52)と、ベアリングに対して固定される全体的に半径方向内側部分(54)とを有し、該ベアリング担持体が、該ベアリングの半径方向の移動を抑制し、軸方向の移動を可能とするために、該半径方向内側部分と半径方向外側部分との間で、半径方向に対しては剛直で、かつ軸方向に対しては柔軟である。(特表2013-531763改)]

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 この例に出てくるstiffrigidとともにflexibleの反意語で、「曲げにくい」あるいは「剛直な」という意味を持っています。名詞形はそれぞれstiffnessrigidityです。

 これらと類似の他の語にsupplespringyがあります。

 suppleは破損の兆しなしに簡単に曲げ、ねじり、または折りたたみ可能なものに使用する形容詞です。対応する日本語は「柔軟な」、「しなやかな」、「曲げやすい」などですが、力を除いても必ずしももとには戻らない点がflexibleと異なります。例えば、supple leatherは「しなやかな革」という意味です。

 springyはばねを表す名詞springから派生した形容詞で、圧力によるたわみやすさと元の形状への回復しやすさの両方を強調する語です。対応する日本語は「ばねのような」、「弾力(性)のある」などです。例えば、the cake is done when the top is springyは「上部に腰があればケーキはほどよく焼けている」という意味です。

 

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