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2019年1月

違いが分かる技術用語・特許用語(5)

5       rejectionobjection[拒絶(理由)]

 今月は、法律用語の類義語について説明する。特許の審査過程で、rejectionとobjectionは頻繁に使用される。語源から説明すると、rejectionは動詞reject(投げ返す→拒絶する)の、objectionは動詞object(反対に投げる→反対する)の名詞形である。

 米国の審査実務ではこれらの語は次のように使い分けられている。

rejection: 審査中の発明に特許性がないと判断された場合にはrejection(拒絶理由)が出される。特許性の判断は主に第102条(新規性)と103条(自明性)に基づいて行われる。他に112条(明細書の記載要件)、101条(発明の有用性)に関するrejectionもある。

objection: 明細書の記載にスペルミスなどの不備がある場合や、図面の番号と明細書中の番号の不一致がある場合に出される方式違反通知。

 以上のように、米国ではobjectionは書面の不備などの形式的拒絶を意味し、rejectionは新規性・非自明性などの実体的拒絶を意味する。これらを合わせてoffice action(拒絶理由通知)と呼ぶ。

 下記に、方式違反理由に関する典型的な文を掲げる。

1.    Claim 1-5 are objected because of the following informalities.(クレーム1~5は形式違反により拒絶される)

2.    The drawings are objected under 37 CFR 1.83(a).(図面は37 CFR 1.83(a)の規定により拒絶される)

 実体拒絶理由に関する典型的な文は次の通りである。

1.    Claim 1 is rejected under 35 U.S.C. 101 because the claimed invention is directed to non-statutory subject matter as follows.(クレームされた発明は下記の通り非合法の対象に向けられているのでクレーム1は米国特許法第101条の規定により拒絶される。)

2.    Claim 2 is rejected under 35 U.S.C. 102(b) as being anticipated by (引用例)(クレーム2は引用例により実質的に同一であるので米国特許法第103(b)条の規定により拒絶される)〔新規性違反〕

3.    Claims 1, 8 are rejected under 35 U.S.C. 103 (a) as being unpatentable over {(主引例) in view of (補足引例) / (引例1,引例2,・・・,and 引例n)}.(クレーム1及び8は主引例に補足引例/(引例1から引例n)を組み合わせて特許性がないので米国特許法第103(a)の規定により拒絶される。)〔進歩性違反〕

4.    Claim 5 is rejected under 35 U.S.C. 112, first paragraph, as failing to comply with (Written Description/Enablement/Best Mode) requirement.(クレーム5は明細書の記載要件/実施可能要件/最良の形態要件を満たしていないので米国特許法第112条第1段落の規定により拒絶される。)

5.    Claims 1-7 are rejected under 35 U.S.C. 112, second paragraph, as being indefinite for failing to particularly point out and distinctly claim the subject matter which applicant regards as the invention.(クレーム1~7は出願人が自己の発明であると考える主題を特定的に指示し、かつ明確に主張していないため不明瞭であり、米国特許法第112条第2段落の規定により拒絶される。)

 

 次に、EPC特許庁による実務について述べる。EPC特許庁の拒絶理由通知は方式、新規性、進歩性に関するものを含めてすべてCommunicationと呼ばれる。「拒絶(査定)」はrefusalと呼ばれる。

 日本特許の審査における「拒絶」もEPCと同じく方式・実体ともにrefusalが使用される。動詞はrefuseである。

 以上のように、米国は2種類の用語があり、EPC及び日本とは異なる用語を使用しているので注意が必要である。

 

6       oppositionobjection[異議(日本)]

 特許実務用語和英辞典(日刊工業新聞社)によると、登録異議の場合はoppositionを行政不服審査法上の異議の場合はobjectionを使用するとある。従って、審査過程の異議に関してはoppositionを使用すればよい。EPCの異議もoppositionである。

 ついでに、「異議申立人」はopponent、異議申し立てを受けた「特許権者」はpatenteeである。

 

7       appealtrial[審判(日本)]

 審判には拒絶査定不服審判と無効審判の2種類ある。前者は審査で拒絶査定(Decision of refusal)に対する不服を申し立てるのでAppeal against decision of refusal(略してAppeal)という。用語appealは裁判では地裁判決に不服の場合に、高裁に控訴するときに使用される。特許の場合も審判で再審査を要求するので同じ語が使用されている。この場合の「審判請求人」はappellantという。呼び方が違うだけでapplicantと同一人である。「審決」はappeal decisionという。

 審決に不服の場合、出願人は知財高裁に審決取り消し訴訟を提起することができる。訴訟を起こす人をplaintiff(原告)といい、起こされる人をdefendant(被告)という。ここでは、plaintiffapplicantと同一人であり、defendantは特許庁長官である。

 これに対して、成立した特許に対して利害関係人が無効審判をを行う場合は、Trial for invalidationという。用語trialは訴訟における裁判・公判あるいは審理の意味で使用される語で、無効審判にもこの語が流用されている。無効審判は上訴事件ではないので「審判請求人は」appellantではなくrequesterと呼ぶ。被請求人はrequesteeであるが、特許権者(patentee)と同一人であり、requesteeはあまり使用されない英語なので、審判請求書を英訳する際には、patenteeを使用しても差し支えない。審決はtrial decisionという。

無効審判の審決で、requesterの主張が認められなかった場合、すなわち特許が維持された場合、requesterは知財高裁に審決取り消し訴訟を提起することができる。この場合は、requesterplaintiff(原告)となり、patenteedefendant(被告)となる。逆に、特許無効の審決が下された場合の訴訟ではpatenteeplaintiff(原告)となり、requesterdefendant(被告)となる。

 審判や審決取り消し訴訟関連の書類を翻訳する際はこれらの関係を正しく理解しておかねばならない。

 

8       仮明細書(provisional specification)と完全明細書(complete specification)

 日本特許法の第41条は国内優先権を規定している。これは、最初に出願した日から12ヶ月以内に発明の内容を補強した出願を最初の出願日を優先権主張して行うもので、1985年に導入された制度である。国内優先制度は他の国でも採用されており、米国では最初の出願を仮出願(provisional application)といい、完全な通常の出願をcomplete non-provisional applicationという。それぞれの明細書をprovisional specification(仮明細書)とcomplete specification(完全明細書)という。

 随分昔のことになるが、英国特許の訴訟事件の翻訳が日本の訴訟事件に使用されたことがある。その中に「不完全明細書」という表現があったので何のことかと思って調べてみるとprovisional specificationのことだった。確かに、complete specificationよりは不完全かも知れないが、あまりよい訳とは言えない。日本の国内優先と異なり、英国の仮明細書ではクレーム(請求項)の記載は不要だったので、翻訳者は書式が不完全という意味に捕らえたのかも知れない。もっともcomplete specificationと称する明細書の中身も、技術的には何がcompleteなのかが判然としないこともよくある。

 

9       おまけ 米国におけるapplicantinventor

 長い間、米国では発明者が特許出願するという建前を貫いてきたため、applicantは日本でいう「出願人」ではなく、「発明者」のことを指していた。米国からのPCT出願の書誌事項にInventor/Applicant (for US)と書いてあるのは「発明者」のことである。しかし、2011年の特許法の大改正に伴い、各国に歩調を合わせ、出願人(applicant)と発明者(inventor)が分離された。英日翻訳で旧法に従う明細書中にapplicantという語が出てきたときは、「発明者」と訳すのが正しい。

        

違いが分かる技術用語・特許用語(4)

4      Inject (injection)eject (ejection)

 語形から容易に推測できるように、この2つの英単語は、先月紹介したsubjectとobjectの仲間である。

 まず、injectは接頭語のin-(中に)に接尾語のject(投げる)がついたもので、物体をある閉鎖系の中に勢いよく入れるという意味を持っている。一方のejectは接頭語のe-(から外に)にjectがついたもので、閉鎖系からある物体を勢いよく出すという意味を持っている。

 これらの語に対応する日本語は、injectに対しては「~を注入する」あるいは「~を注射する」が本来の英語の意味を正しく反映している。一方のejectに対しては「放出する」、「取り出す」などの用語があてはめられているが、筆者にはもう一つピンとこない。飛行機などからパイロットを「脱出させる」という意味でも使用されているが、これは本来の英語の意味をよく反映している。

 これらの動詞の名詞形は、injectionとejectionである。勢いよく入れるか出す行為を示す名詞であることは言うまでもない。まず、injectionの日本語は「注射」あるいは「注入」が挙げられる。これらの日本語は問題ないが、樹脂加工分野では「射出」という日本語があてはめられている。射出成形では、溶融した樹脂をノズルからモールド(これが閉鎖系である)に勢いよく注入するので、本来は、「射出」ではなく「射入」でなければならない。この分野で日本語を決めた人は、ノズルから勢いよく樹脂がでる状況を踏まえてあえて「射出」としたのが実情である。このように英語と日本語では、同じ現象を異なる観点で表現することがあるので注意が必要である。

 これに対して、ejectionの日本語として使用されている「噴出」あるいは「追い出し」は、勢いあるいは強制力が感じられるが、「排出」あるいは「放出」には必ずしもそういう意味はない。昔のカセットレコーダーのejection buttonを押すと、ぽんとカセットが飛び出してきたが、これがejectionの典型的な用法だが、日本語は「取り出しボタン」で勢いが感じられない。さらに、分野によっては「出射」が使用されることもある。これは、injection「射出」と識別できるので許容できる。ところが、ejectionも「射出」と訳されている例を見ると考え込んでしまう。本来はejectionがこの意味で、injectionは先ほども述べたとおり「射入」なのだが、樹脂成形で「射出」が頻繁に使用され、一方のejectionに対する「射出」はそれほど使用されていないので、こちらが誤りのように思えてしまう。何とも悩ましい話である。

 

用例1.      The systems include a restriction element (35) that reduces the backflow of polymer melt in an extruder while polymeric material is injected into a mold (37) or ejected from a die. The restriction element is positioned upstream of a blowing agent injection port (54) to maintain the solution of polymer and blowing agent in the extruder above a minimum pressure throughout an injection or ejection cycle, and preferably above the critical pressure required for the maintenance of a single-phase solution of polymer and blowing agent. The systems can be used in injection molding, blow molding, or in any other processing techniques that include injection or ejection cycles. In some embodiments, the systems utilize reciprocating screws for injection or ejection. In other embodiments, the systems include an accumulator connected to an outlet of the extruder, in which a plunger moves to inject  polymeric material into a mold or eject polymeric material from a die.  (WO2000/059702)[本発明のシステムは、ポリマー物質が金型(37)射出すなわちダイから排出されている間に、押出機中のポリマー溶融物逆流を抑える制限部材(35)を含む。制限部材は発泡剤射出(54)より上流に配置されていて、押出機内のポリマーと発泡剤との溶液を、射出サイクルすなわち排出サイクル全体にわたって最小圧力より高い圧力、かつ好ましくはポリマーと発泡剤との単相溶液を保持するのに必要な臨界圧力より高い圧力に保持する。本発明のシステムは、射出成形、吹込成形、あるいは射出サイクルすなわち排出サイクルを含他のあらゆる処理方法使用することができる。幾つかの実施態様においては、本発明のシステムは射出すなわち排出のために往復運動スクリューを使用する。他の実施態様においては、本発明のシステムは、押出機の出口に連結したアキュムレータを含み、アキュムレータ内をプランジャーが移動して、ポリマー物質を金型中に射出、すなわちポリマー物質をダイから排出させる。(特表2002-540979)下線部は筆者による修正]

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 用例1は射出成形のメカニズムを述べている。金型(37)には溶液が注入されるのでinjectedが使用されている。訳は辞書に従って「射出(され)」となっている。溶液はダイ(70)から吐出されるのでejectedが使用されている。訳は「排出(され)」となっている。この2つの動作は、同じ物を金型から見るかダイから見るかの観点の違いで説明されているので、orは「または」でなく「すなわち」と訳さなければならない(原訳は「または」になっている)。「射出成形」が定訳であるにしても、「射出」と「排出」は区別が付きにくい。動詞のinjectは「注入」でよいと思うのは筆者だけだろうか?

 

用例2.      The injector plate 21 and the injector piston 20 contain a recess 26 to provide clearance to house an ejector cylinder 27 that is mounted via standoffs 28 to the moving platen 12. The ejector cylinder 27 contains an ejector piston 29 that is mounted on an ejector plate 30, to which is mounted an ejector rod 31 that passes through a hole 53 in the moving platen 12 and a hole 44 in the core half of the mold 23, to eject the molded part 32 off the mold core (as shown in Figure 3). (WO2006/063433)[インジェクタプレート21及びインジェクタピストン20は、スタンドオフ28を介して可動プラテン12に取り付けられるエジェクタシリンダ27を収容するクリアランスを与えるリセス26を含む。エジェクタシリンダ27は、エジェクタプレート30に取り付けられるエジェクタピストン29を収容し、エジェクタプレート30には、可動プラテン12内の穴53及び金型23のコア半体の穴44を通るエジェクタロッド31が取り付けられ、それにより、成形品32を金型コア(図3に示す)から突き出す。(特表2008-529824)]

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用例3.      The configuration is such that the injector plate 21 and the ejector plate 30 can be operated independently of each other at the appropriate time in the molding cycle to respectively effect injection of the material and ejection of the part, as will be described below. (WO2006/063433)[この構成は、以下に説明するように、インジェクタプレート21及びエジェクタプレート30が成形サイクル中に適宜互いとは独立して動作して、材料の射出及び成形品の突出しをそれぞれ行うことができるようになっている。(特表2008-529824)]

 

 用例2と3は同じ特許からの引用だが、injector plateとejector plateがカタカナ語になっている。前者を(材料の)「注入板」、後者を(成形品の)「取り出し板」とした方が分かりやすい。「突き出し」も「取り出し」の方が自然である。

 

用例4.      A hypodennic injection system particularly for use in mass immunizations having a handpiece (14) with a grasping mechanism (172) for holding ampules (21) filled with injectate, a plunger (15) for driving into the ampule (21) to discharge the injectate in an injection process, an injection spring mechanism (152) for driving the plunger (15), a motor (19) and/or manual mechanism for cocking the injection spring mechanism (152), and an ampule ejection mechanism (170) for ejecting ampules (21) after use under control of a release mechanism. Ampules (21) can be loaded, used and ejected without contact by the user of the system or the patient being injected. Also disclosed are a filling station (990) for filling ampules (21) through their injection orifices, and an arming device (48) for setting the injection spring (152). Ampules (21) are disclosed having a piston (718) which is drivable towards an orifice to discharge injectate through the orifice. Ampules (21) are also disclosed having enlarged proximal portions (717) for easy grasping by the grasping mechanism (172) of the injector (400). (WO2003/015846)[特に大量の予防接種において使用される皮下注射システムであって、注射液で満たされたアンプル(21)を保持するための把持機構(172)と、注射工程において注射液放出させるためアンプル(21)内へと駆動されるプランジャ(15)と、プランジャを駆動するための注射ばね機構(152)と、注射ばね機構(152)を蓄勢するためのモータ(19)および/または手動の機構と、解放機構の制御の下で使用後のアンプル(21)を排出するアンプル排出機構(170)とを有する手持ち用具(14)を備えている。本システムのユーザ、あるいは注射を受ける患者は、手で触れることなくアンプル(21)を装填し、使用し、排出することができる。アンプルへ(21)の注入をアンプル(21)の注射用オリフィスを通して行うための注入設備(990)、および注射ばね(152)の蓄勢を行うための蓄勢設備(48)もここに開示される。ここに開示のアンプル(21)は、オリフィスを通して注射液放出するためオリフィスに向かって駆動されるピストン(718)を有している。またここに開示のアンプル(21)は、注射器(400)の把持機構(172)で容易に把持できるよう手前側の部分(717)が大きくなっている。(特表2005-508214)]

 

 用例4はもとの図面が不鮮明なので、省略したが、注射システムに関する特許である。アンプルを「排出する」とあるが、このejectも「取り出すの方が自然である。また、dischargeを「放出」としているが、「吐出」の方がよいと思われる。

 

用例5.      A balloon for injecting material into a wall of a hollow organ of a human, comprising: an expandable balloon body having a surface and having an axis; at least one predefined ejection port on said body adapted for ejection of fluid therefrom, in a transaxial direction; and an impulse source configured for and adapted to eject material out of said point at a velocity and shape suitable for mechanically penetrating tissue adjacent said port. (WO2006/006169)[材料を人間の中空器官の壁内に注入するためのバルーンであって、表面を有しかつ軸を有する、膨張可能なバルーン本体と、流体を体軸横断方向に噴出するように適応された前記本体上の少なくとも1つの予め定められた噴出ポートと、前記ポートに隣接する組織を機械的に貫通するのに適した速度および形状で前記から材料を噴出するように構成されかつ適応されたインパルス源と、を含むバルーン。(特表2008-506447)]

 

 用例5では、ejectを「噴出」としているが、大げさである。これも「吐出」がよいと思われる。なお、下線部のpointはportの間違いで、対応する訳の「点」も「ポート」の間違いである。

 以上のように、injection (inject)とejection (eject)は同じ状態を別の観点で説明している。

          

 

違いが分かる技術用語・特許用語(3)

3    subjectobject(被写体)

 この2つの英単語は、類義語である場合と対比語である場合がある。具体的な説明の前にこれらの語の原義を説明する。

 まず、subjectは接頭語のsub-(下に)に接尾語のject(投げる)がついたもので、下の立場において制御あるいは支配するという意味を持っている。一方のobjectは接頭語のob-(に反対して)にjectがついたもので、反対に投げるという意味を持っている。

 この2つの語は撮影の「被写体」という意味で使用されている。翻訳者がしばしば迷うのは、「被写体」に対してsubjectとobjectのどちらを選ぶのがよいか、ということである。一言で言うと、subjectは被写体をテーマとしてとらえた言い方、objectは被写体をものとしてとらえた言い方のようである。インターネットでnative writersの意見を調べても、この2つの用語の使い分けは必ずしも明確ではない。強いて言えば、subjectは人や生物に対して使用し、objectは無生物に対して使用するという区別があるという人もいる、ということくらいである。

 そこで、特許明細書で「被写体」がどちらの語で表現されているかを検証する。まず、subjectの用例を挙げる。

 

用例1.      The support 102 may support the sensor(s) 104 in relation to the head 110 of a subject (e.g., a medical patient).  (WO2014/165022)

 

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[支持体102は、被写体(例えば、医療患者)の頭110との関連でセンサ104を支持してもよい。(特表2016-517307改)]

 

 用例1は人の能を検査する光断層撮影システム装置に関する特許の記述である。被写体は人でありsubjectが使用されている。

 

用例2.      A live-subject verification module 21 can also be stored in the storage device 4. As will be described in more detail herein, the live-subject verification module 21 can include computer-implemented instructions for identifying live-subject portions in an image. For example, the live-subject verification module 21 can include instructions for identifying live human skin, e.g., live-skin portions, of an image that includes the live subject 1. (WO2014/133844)[生身の被写体検証モジュール21もまた、記憶装置4に保存することができる。本明細書でより詳細に説明するが、生身の被写体検証モジュール21は、画像中の生身の被写体部分を識別するためのコンピュータによって実行される命令を含むことができる。例えば、生身の被写体検証モジュール21は、生身の被写体1を含む画像の生身の人間の肌、例えば生身の肌部分を識別するための命令を含むことができる。(特表2016-514305改)]

 

 用例2は人の肌を検証しており、subjectが使用されている。

 

 次にobjectの用例を挙げる。サンプリングの数が少ないので決定的ではないが、被写体という意味ではsubjectよりはobjectの方が多い。

 

用例3.      A biconvex lens 664 receives light from the object-side lens 662, and is physically coupled to a negative meniscus lens 666, which focuses the light onto the curved surface 668.  (WO2014/204998)[両面凸レンズ664は被写体側レンズ662から光を受け取り、負のメニスカスレンズ666と物理的に結合していて、湾曲面668に集光している。(特表2016-523382改)]

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 用例3は純粋に光学系の記述で、被写体(明細書には立体的とのみ記載されている)が何であるかについては無関心である。従ってobjectが使用されている。

 

用例4.      The singular point detecting and tracking is used to identify objects such as the head and hands of an imaged individual. Such objects are usually considered highly important features for the recognition layer 116. (WO2014/143154)[特異点検出及び追跡を用いて、撮影された人物の頭部及び手のような被写体を識別する。これらの被写体は通常、認識層116にとって非常に重要な特徴と考えられる。(特表2016-513842改)]

 

 用例4は画像処理の特許である。具体的な被写体は人の特に頭部であるが、subjectではなくobjectが使用されている。

 

用例5.      This invention concerns a method of inspecting an object 6 comprising locating an object 6 on a machine vision apparatus1, attaching a light panel 10 to the object 6 to backlight a region of the object 6, obtaining an image of the region when backlit by the light panel 10 and identifying a geometric property of the object 6 from the image. (WO2014/122438)[本発明は、被写体6を検査する方法に関し、マシンビジョン装置1に被写体6を位置づけることと、被写体6の領域を後方から照らすために光パネル10を被写体6に取り付けることと、光パネル10で後方から照らされたときに前記領域の画像を取得することと、この画像から被写体6の幾何学的特性を識別することと、を含む。(特表2016-513248改)]

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 用例5はマシンビジョンで使用する装置に関するものである。マシンビジョンは、人の目の代わりに画像を認識し、位置決めや種別、計測、検査を行うシステムのことである。 製造業では電子部品や半導体、自動車、食品や医薬品などの検査工程で、デジカメやスマートカメラ、画像処理ソフトで構成されるシステムが、人間の検査者の代わりに製品検査を行う。従って被写体6は工業製品あるいは仕掛品である。

 

まとめ

1. 「被写体」に相当する英語にsubjectとobjectがある。

2. subjectとobjectの使い分けは必ずしも明確ではないが、subjectは被写体が人の場合に使用されるという説がある。ただし、この説は英英辞典などではよく確認できていない。

3. 特許明細書の事例では、subjectは人に対して使用されている。一方objectは物と人の両方に使用されている。

4. 撮影の主題として見るときはsubject、撮影の対象として見るときはobjectとするという、観点の違いで説明する人もいる。

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