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2015年7月

複合修飾語の表記(ハイフネートの原則)

>> 1.複合形容詞
>> 2.複合形容詞の例
>> 2.1 名詞+動詞の過去分詞形
>> 2.2 名詞+動詞の現在分詞形
>> 2.3 名詞+形容詞形
>> 2.4 名詞+名詞形
>> 2.5 形容詞+名詞形
>> 2.6 ~ly型以外の副詞+形容詞形
>> 2.7 形容詞+接続詞+形容詞形
>> 2.8 句動詞形
>> 2.9 計量数+単位
>> 2.10 3つ以上の語で構成される複合修飾語

>> 3. 等位修飾語
>> 4. 等位修飾語の例
>> 4.1 複数の単語からなる等位修飾語
>> 4.2 複数の複合修飾語からなる等位修飾語
>> 4.3 複合修飾語と単語からなる等位修飾語

>> 5.ハイフネートの例外
>> 5.1 化学物質名
>> 5.2 色の表現で最初の修飾語がその次の修飾語を修飾する場合
>> 5.3 percentとその前の数値
>> 5.4 習慣的にハイフネートしない技術用語
>> 5.5 接頭辞(ハイフン無しで繋ぐ)
>> 5.6 接尾辞(ハイフン無しで繋ぐ: like)
>> 6. 独立複合名詞
>> 7. 複合動詞
>> 8. まとめ

1.複合形容詞

2語以上の語が他の語を修飾する場合、その2語以上の語を合わせて「複合修飾語( compound modifier )」と呼びます。
特に、修飾される語が名詞の場合の複合修飾語を「複合形容詞( compound adjective )」と呼びますぶ。
複合形容詞を使用することで英文全体がしまった表現になるという利点があります。

複合形容詞の表記に関しては、2語以上の語が名詞の前に並んで名詞を修飾する場合、それらの語をハイフンで結んで1語とする、という法則があります。
ただし、この法則には多くの例外もあります。
ハイフンは読み手が複合形容詞を構成する語の間の関係を理解しやすくするだけでなく、文法的には2つの異なる解釈が成り立つような場合の疑義を避けるためにも必要です。

2.複合形容詞の例

2.1 名詞+動詞の過去分詞形

この形は、通常の文章だと受動態で書かれる部分が倒置されて複合形容詞となったものです。

a surface-mounted board (表面実装基盤)
= a board on which something is mounted,a board with something mounted thereon

a gear-driven spindle (歯車駆動式スピンドル)
= a spindle driven by a gear orgears

a rsenic-doped germanium (ヒ素ドープゲルマニウム)
= germanium doped with arsenic

2.2 名詞+動詞の現在分詞形

この形は、通常の文章だと能動態で書かれた修飾部分が倒置されて複合形容詞となったものです。

a porous moisture-containing fireproof material (多孔質含水防火材)
= a porousfireproof material containing moisture

an energy-consuming device (エネルギー消費機器)
= a device consuming energy

2.3 名詞+形容詞形

a light-tight box (光を遮断した箱)
= a box light does not enter or from whichlight does not leak

an iron-free alloy (鉄を含まない合金)
= 鉄を含まない合金

2.4 名詞+名詞形

この場合は名詞が連なるために、係り具合を明確にするハイフンを使用します。

voice-recognition software (音声認識プログラム)
= software for voice recognition

【注】voice-recognizing softwareでもよいのですが、名詞を重ねる言い方が定着しています。

lead-lag motion (リードラグ運動)
= motion with lead lag

2.5 形容詞+名詞形

この場合も名詞が連なるために、係り具合を明確にするハイフンを使用します。

real-time control (リアルタイム制御)
= control at real time

high-precision analysis (高精度分析)
= analysis achieving highly precise results

2.6 ~ly型以外の副詞+形容詞形

名詞を修飾する形容詞が~ly型以外の副詞で修飾されるケース。

long-lived waste (長寿命廃棄物)
= control at real time

more-specialized controls (より特化した制御装置)
= controls for more specificpurpose

【注】more specialized controlsとすると「他の専用制御機器」という意味に取られます

【例外】~ly 型の副詞の次に、動詞の現在分詞または過去分詞あるいは形容詞が続く場合は、ハイフネートしません

highly advanced technologies (高度先進技術)

【注】 英辞郎ではhighly-advancedtechnologiesとなっているが、これは間違い。英辞郎のハイフネートに関しては全体に信頼性が低いので注意を要する

2.7 形容詞+接続詞+形容詞形

black-and-white television (白黒テレビ)

2.8 句動詞形

句動詞が名詞化し、それが形容詞的に使用されています。

cut-out portion (切り欠き部)
= portion at which the subject is removed ordeleted

【注】句動詞が一語になってcutout(切り欠き)という名詞が生まれました。従って、cutout portionでもかまいません。

2.9 計量数+単位

計量数( cardinal number )が単位と結びつく場合は、数値と単位をハイフンで繋きます

ten-liter volumetric flask (10リッターの容量フラスコ)
five-centimeter distance (5センチの間隔)
150-gram weight (150グラムの分銅)
10-fold increase (10倍の増加)【注】tenfold increase としてもよい

2.10 3つ以上の語で構成される複合修飾語

複合修飾語を構成する語の数は2つとは限りません。そのような場合、すべての語をハイフンで連結します。

up-to-date knowledge (最新の知識)
super-large-scale integration (super-large-scale integration)【略】SLSI
light-emitting-diode array printer (LEDアレイプリンター)

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3. 等位修飾語

複数の修飾語が並んでいてもそれらの間に関係がない場合は、複合修飾語ではないのでハイフネートしません。
これらの語をcoordinate modifier(等位修飾語)と呼びます。

4. 等位修飾語の例

4.1 複数の単語からなる等位修飾語

2つの形容詞が並んでいるだけでお互いの間に修飾関係がありません。

low hourly rate (低時給)
a red flashing signal (赤の点滅信号)

4.2 複数の複合修飾語からなる等位修飾語

複数の複合修飾語が等位修飾語として並列されることがあります。

a super-resolution near-field structure (超解像近接場構造)

【解説】2つの複合修飾語super-resolutionとnear-fieldがそれぞれ等位修飾語として並んでいます

4.3 複合修飾語と単語からなる等位修飾語

複合修飾語を含む等位修飾語の場合、特にハイフンの位置に注意が必要です。

a high-frequency radio signal (高周波電波信号)
a three-terminal photon-assisted tunneling device (三端子光子支援トンネル装置)
= a tunneling device having three terminals and assisted by photons

【解説】2つの複合修飾語three-terminalおよびphoton-assisted、ならびに形容詞のtunnelingが等位修飾語となっています

a light- to moderate-intensity walking program (軽度~中等度の歩行プログラム)
light-absorbing green plant pigment (光吸収性緑色植物色素)

【解説】greenはplant ではなく pigment にかかっています

light-activated silicon-controlled rectifier (光起動式シリコン制御整流器)

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5.ハイフネートの例外

次のような複合形容詞は、ハイフネートしません。

5.1 化学物質名

2語以上の化学物質名を修飾語として用いる場合

sodium chloride solution rectifier (塩化ナトリウム溶液)
benzene sulfonate additive (スルホン酸ベンゼン添加剤)

5.2 色の表現で最初の修飾語がその次の修飾語を修飾する場合

reddish orange sunset (赤橙色の夕日)
emerald green water (鮮緑色の水)

【例外】blue-green algae(藍藻)

【解説】blue green(青緑)が修飾語として用いられているにもかかわらずハイフネートされている

5.3 percentとその前の数値

percentの前の数値はpercentとハイフネートしません。

twenty-six percent gain (26%の利益)

5.4 習慣的にハイフネートしない技術用語

weight average molecular weight (重量平均分子量)

【注】かつてはweight-averagemolecular weightと綴られていたが、最近ではハイフネートしなくなりました。しても間違いではありません。

secondary ion mass spectroscopy (二次イオン質量分析)

【注】secondary-ionとする方がよいのですが、ハイフンがない方が多いです。

【参考】time-of-flight secondary ion mass spectrometry(飛行時間型二次イオン質量分析)

5.5 接頭辞(ハイフン無しで繋ぐ)

接頭辞を伴う複合名詞、複合動詞、複合形容詞、及び複合副詞は通常ハイフン無しで繋がれる。
nonsteroid (非ステロイド)
【注】かつてはweight-averagemolecular weightと綴られていたが、最近ではハイフネートしなくなった。しても間違いではない

electrocardiogram (心電図)
nonsteroid (非ステロイド)
【例外】接頭辞の最後の文字とそれに続く文字が同じ場合はハイフンで繋ぐ
electro-optics (電気光学)

5.6 接尾辞(ハイフン無しで繋ぐ: like)

接尾辞 like を伴う複合語は通常ハイフン無しで繋がれます。

gridlike (格子状)

【例外1】直前の文字と接尾辞の最後の文字が同じ場合、つまり同じ文字が2つ続く場合はハイフンで繋ぎます

bell-like (鐘状の)

【例外2】3語以上の複合語の場合はハイフンで繋ぎます
vacuum-bottle-like (真空容器のような)

【注】likeについては、この規則に従っていない例も多く見られます
nitrogen-doped diamond-like carbon (DLC) thin film (窒素でドープされたダイアモンド様カーボン薄膜)
【解説】diamondlikeとすべきところがハイフネートされている。diamondlikeも見られるが、diamond-likeより少ない

6. 独立複合名詞

独立した語でハイフンを必要とする名詞も数多くあります。以下に代表例を列挙します。

6.1 分数表示
three-fourth (3/4)

6.2 習慣的にハイフンで結ばれているもの
light-aircraft (軽飛行機)

6.3 動詞+副詞から派生した複合名詞
light-off (着火、点火)

6.4 複合名詞として独立して使用されるもの
state-of-the-art (最新技術、最先端技術)

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7. 複合動詞

名詞 とハイフンで結ばれた動詞を複合動詞と呼びます。
複合動詞を上手に使用すると簡潔な表現が可能です。

heat-treat (熱処理する)= treat at high temperature
RF-couple (高周波結合する)= couple in a radiofrequency manner
feedback control (フィードバック制御する)= control through feedback

8. まとめ

名詞 以上、複合語とハイフネートの原則についてまとめましたが、これ以外にも多くの例があります。
より詳しく知りたい方は、たとえば、The Chicago Manual of StyleのCompoundsand Hyphenationの項をお読みください。
特許では機能的表現による名詞の修飾が非常に頻繁に行われていますが、
その際に、ここに述べた複合形容詞の法則で新しい語を創成することが可能です。
現在は、ここに述べたハイフネートの法則を無視した英語が多数ありますが、特許が法律文書であることを念頭に置いて、
誰が読んでも疑義を生じない確かな文書にするために、ハイフネートをしっかり守ることを勧めます。

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