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特許翻訳トランスプライムコラム

違いが分かる技術用語・特許用語(1)

特許明細書で使用される頻度の高い類語の使い分けについて述べる。

1   rateとratio
 これらの語はいずれも「割合」などと訳されているので紛らわしいが、rateは普通次元を持つ量や度合いを意味する。rateをa/bで表した場合、aとbは異なる次元(単位)を持っている。
 例えば、流体のflow rateは「流速」あるいは「流量」と呼ばれるが、単位時間あたりに流れる流体の容積を意味する(例えばcm3/min)。化学反応のreaction rateは化学反応の反応物あるいは生成物に関する各成分量の時間変化率を表す物理量のことで、「反応速度」あるいは「反応率」と呼ばれる。通常は、反応速度は単位時間あたり(一般には秒単位)の反応物質濃度の減少量、または生成物質濃度の増加量で表される。
 英日翻訳で、「速度」とすべき箇所が「比率」や「割合」と訳されているケースがかなり多いので注意が必要である。
 これに対して、ratioはa:bという「比」に相当するが、aとbは同じ次元(単位)を持っていなければならない。言い換えれば、ratioは無次元(単位を持たない)の数値でなければならない。

用例1.   A method includes monitoring a variable-rate data communication channel to determine its signal-to-noise ratio, and adjusting the data transmission rate of the variable rate data communication channel based on its signal-to-noise ratio. (WO2003/075503)[(この)方法は可変レートのデータ通信チャネルの信号対ノイズ比を決定するべく可変レートデータ通信チャネルを監視する工程と、当該チャネルの信号対ノイズ比に基づいて、可変レートデータ通信チャネルのデータ伝送レートを調整する工程とを含む。(特表2006-505149改)]

 用例1で、rateは「レート」と訳されているが、「データ転送速度」のことである。インターネット回線の速度を表す単位ではMbps(1秒間に転送できるデータのメガビット数)が多く使われている。

用例2.   A colloidal dispersion for chemical mechanical polishing. The colloidal dispersion is capable of polishing a substrate comprising silicon nitride and silicon oxide with a reverse selectivity ratio of at least about 27, typically at least 50 the reverse selectivity ratio being the ratio of the rate of removal of the silicon nitride to the rate of removal of the silicon oxide. (WO2010/036358)[化学機械研磨用コロイド分散液。コロイド分散液は、少なくとも約27、典型的には少なくとも50の逆選択比で窒化ケイ素及び酸化ケイ素を含む基材を研磨することができ、逆選択比とは、酸化ケイ素の除去速度に対する窒化ケイ素の除去速度である。(特表2012-503880)]
 用例2では、2つのrate(速度)の比(ratio)が定義されている。

用例3.   While these dosages are based upon a daily administration rate, the compounds of the present invention may also be administered at other intervals, such as twice per day, twice weekly, once weekly, or once a month. (WO2010/127330)[これらの投与量は1日1回の投与に基づいているが、本発明の化合物は、1日2回、週2回、週1回、または月1回などの他の間隔で投与してもよい(特表2012-525442改)]
 この用例におけるa daily administration rateは直訳すると「毎日の投与率」だが、特表の訳はしゃれている。

用例4.   All percentages, ratios, and proportions used herein are by weight unless otherwise specified. (WO2010/127330)[本明細書で使用される全てのパーセントおよび割合は、特に明記しない限り重量によるものである。(特表2012-525442)]
 用例4における、percentageとratioについては説明を要しないが、英語のproportionと日本語の「割合」について、さらに用例を検討する。

用例5.   The hot shoe (24) is heated and expands at a greater rate than the cold shoe (28) does during operation. (WO2016/025600)[動作時に、高温シュー(24)は加熱され、低温シュー(28)よりも大きな割合で伸びる。(特表2017-529693)]
 伸び率が大きいという意味と思われるが、rateが「割合」と訳されている。

用例6.   Systems and methods are provided for determining the age of cellular hemoglobin in individual red blood cells in a blood sample by determining the percentage of HbA1c. (WO2016/040870)[HbA1cの割合を決定することによって、血液サンプル中の各赤血球の細胞ヘモグロビンの年齢を決定するシステムと方法が提供される。(特表2017-528715)]

用例7.   When included in a fabric that also contains yarn having hydrophilic properties in a manner such that a higher percentage of the hydrophobic yarn is present on the back surface of the fabric than on the front surface of the fabric, the fabric has a cooling and moisture-wicking effect. (WO2016/007830)[疎水性糸が生地の表面よりも生地の裏面により高い割合で存在するような方法で、親水性を有する糸も含む生地に含まれると、生地は冷却効果と吸水効果を有する。(特表2017-528622改)]

 用例6と7では、percentageが「割合」と訳されている。

用例8.   The proportion of hemoglobin molecules which are glycated can be used to diagnose pre-diabetes or diabetes. (WO2016/030687)[グリコシル化されたヘモグロビン分子の割合は、糖尿病前症または糖尿病を診断するために使用することができる。(特表2017-525972)]
 この用例ではproportionが使用されているが、用例6などと同じpercentageの意味と推測される。

用例9.   The ability to distinguish between sequences that differ only by one nucleotide and which may be present in very low ratios is essential for such an assay. (WO2016/032947)[1つのヌクレオチドだけが異なり、非常に低い割合で存在し得る配列を区別する能力は、このようなアッセイに不可欠である。(特表2017-525375)]
 この用例のratiosはpercentagesあるいはproportionsが適切と思われる。訳の「割合」は適切である。

用例10.   The present disclosure is directed to a method of making an optical fiber with improved bend performance, the optical fiber having a core and at least one cladding layer, and a chlorine content in the in the last layer of the at least one cladding layer that is greater than 500 ppm by weight. (WO2016/007691)[本開示は、曲げ性能が改善された光ファイバを作製する方法を対象とし、上記光ファイバは、コア及び少なくとも1つのクラッド層を有し、また上記少なくとも1つのクラッド層のうちの最後の層の塩素含有量は、重量割合で500ppm超である。(特表2017-526599)]
 この用例のppmはparts per million(百万分率)を表す単位で、by weightは「重量基準」の意味である。

まとめ
1.  rateは普通次元を持つ量や度合いを意味する。rateをa/bで表した場合、aとbは異なる次元(単位)を持っている。
2.  ratioは次元を持っていない。ratioをa/bで表した場合、aとbは同じ次元(単位)を持っている。
3.  日本語の「割合」は英語ではpercentage, proportionなどいろいろな表現が可能なので訳し分けに注意が必要である。

日英特許翻訳における直訳に関する考察

代表・倉増一の寄稿論文を以下のURLにてお読みいただけます。

https://system.jpaa.or.jp/patents_files_old/201604/jpaapatent201604_105-111.pdf

目次

1.直訳の定義

2.行き過ぎた直訳の弊害

3.PCT 条約及び日本・米国特許法の規定

4.依頼主の様々な要求

5.翻訳に関する基本的な考え方

6.直訳の範囲

7.単語レベルの直訳の範囲

 7.1.適切な訳語の選択

 7.2.日本語独特の表現の処理

 7.3.文頭の接続語句の処理

 7.4.日本語における同じ語句の繰り返し

 7.5.「等」の処理

 7.6.現場用語と非正規表現

8.終わりに

技術翻訳としての特許翻訳

第1回 英日翻訳における技術の理解(1)

 特許翻訳の業界に入って不思議に思ったことがいくつかあるが、そのうちの1つは非技術系経歴の翻訳者の数が非常に多いということである。筆者も多くの翻訳者を知っているが、やはり非技術系の翻訳者の方が多い。統計的にいえば、非技術系翻訳者の英語の方が技術系翻訳者の英語よりは優れているが、非技術系翻訳者の盲点は技術理解力にある。非技術系翻訳者の翻訳を見ていると、技術的な内容の理解が浅いと感じることがよくある。また、翻訳の相談を受けるときに、技術的な把握をよそにしてどう翻訳するかにばかり関心を寄せる人も少なくない。

 一方で、特許翻訳業界にも、技術的な観点よりは表現上の技法を優先した教え方が主流のように思われる。言うまでもなく、特許は技術思想をクレーム(特許請求の範囲)に表現するものであるから、翻訳者はその技術の裏付けをしっかりと理解していなければならない。特許は、通常公開公報の形で公になるので、第1国出願明細書と翻訳された外国出願明細書を容易に対比することができる。そのような対比を行う過程で技術的に理解度が浅いと思われる表現にであうことがよくある。

 そこで、このシリーズでは、特許翻訳も技術翻訳の一ジャンルであるという意識を高めることを目的に、具体例に基づいて考察する。

<例1>  The present invention relates to a container with telescope-type closure, e.g. a telescope-type capsule for pharmaceuticals, and in particular to a telescope-type closure with prelock and closure for fully closing the container.

【公開された訳】本発明は、入れ子式蓋を備えた容器、たとえば、薬剤用の入れ子式カプセルに関するものであり、特に、容器を完全に閉鎖するためのプリロック・閉鎖手段を備えた入れ子式蓋に関するものである。

blog01_diagram01.png

 図に示されるとおり、これは医薬品を充填するカプセルに関する記述である。太字で強調した部分を比較して間違いに気付かない人は、技術の理解ができていない人である。カプセルを工場で製造する場合、本体と蓋は別々に作られるが、2つを一緒にして、即ち、カプセルを仮止めして製剤工程に運搬される。製剤工程では、一旦蓋を取り外して中に薬の成分を充填して、今度は蓋を完全に閉める。

 ここまで説明するとprelockが「仮止め」であるということが理解できる。しかし、公開された訳では「容器を完全に閉鎖するための」が「プリロック」と「閉鎖手段」の両方にかかっている。「容器を完全に閉鎖」したら「プリロック」すなわち「仮止め」ではなくなり、簡単に蓋を外すことができなくなる。

 prelockについてはこの公報の別の箇所に次のような記載がある(括弧内は公表公報の訳)

<例2>   Moreover, it is problematic to suitably maintain the prelock condition. On the one hand, it is necessary for the capsule parts to be readily separable in the filling machine (low prelock force desired). On the other hand, the preclosed capsules must withstand the transport to the filling unit without separation of the capsule parts. This requires not only to set a specific prelock force, but also to keep the prelock force variation of individual capsules as low as possible.(さらに、プリロック状態を適切に維持することが問題である。一方、カプセル部分が充填機械で容易に分離できる必要がある(プリロック力が低いことが望ましい)。他方、予め閉じたカプセルは、カプセル部分が分離することなく充填ユニットまでの移送に耐えなければならない。これには、特殊なプリロック力を設定する必要があるばかりでなく、個々のカプセルのプリロック力変化をできるだけ低く保つことも必要である。)

<例3>   The prelock mechanism of the container consists of protrusions 20 on the hollow-cylindrical inner wall 5 of the first connection unit 3, serving in the present case also as a first prelock unit, said protrusions 20 being capable of being slid on an indentation 21 provided as taper on the cylindrically shaped outer wall of the connection unit 4, serving in the present case also as second prelock unit to thus ensure the prelock position of the two container parts. Preferably, 4 to 6 protrusions 20 are provided around the circumference of the hollow-cylindrical inner wall 5.(容器のプリロック機構は、第1連結ユニット3の中空円筒形内壁5上に設けた、本ケースでは第1プリロック・ユニットとして役立つ突起20からなる。これらの突起20は、連結ユニット4の円筒形外壁上にテーパとして設けたくぼみ21上で摺動することができ、本ケースでは第2プリロック・ユニットとして役立ち、2つの容器部分のプリロック位置を確保する。好ましくは、4ないし6つの突起が中空円筒形内壁5の円周に沿って設けてある。)

 実はこの特許は、カプセルのprelock(あえて英語で記す)機構の改良に関する特許である。prelockの機能としては、①prelockしてから薬を充填するまでの間に蓋が勝手に外れないようにすること、②薬を充填する際に蓋を外しやすくすること、③薬を充填した後、蓋をスムースかつ完全に閉めることができること、の3つがあり、上記の図と明細書の記述はその根幹部分の説明である。ここまで書けば技術的な常識のある読者はprelockがいかなるものであるかは容易に理解できるはずである。にもかかわらず、この翻訳者は誤訳をしていることが重大な問題なのである。

 この種の誤訳は始末が悪いが、かなり頻繁に遭遇する。そこで、このような誤訳をどのようにして防ぐべきかについて述べる。

 まず、prelockを安易に「プリロック」とした点にある。prelockが辞書に登録されていないためにカタカナ語をあてはめたと思われるが、これが誤訳の根本原因である。現在はカタカナ語が氾濫しており、本来の日本語があるにもかかわらずカタカナ語で済ませる安易な風潮があるが、それがこのような誤訳を招いている。接頭辞のpreは時間又は空間的な「前」を意味する。従って、「予備止め」ということになるが、それよりは「仮止め」の方がピンと来る。辞書は万能ではないので言葉の意味を正しく理解して、後は日本語の作文能力で読み手に伝わる翻訳に徹すればよい。

 第二は技術常識の欠如である。公開された訳はもっともらしいが意味の通じない文の典型例である。技術の把握の弱いあるいは無関心な翻訳者が陥りがちな訳と言える。2つの並列要素のprelockとclosureの技術的意味の違いを追求すればclosure以下の修飾語句がprelockにはかからないことは容易に理解できるはずである。英語を日本語に置き換えることに一生懸命になるとこのような結果になってしまう。

 第三に、危険予知能力の欠如である。並列要素を含む文の係り受けを間違えることによる誤訳はかなり多い。このような並列要素の後につく修飾語句がその前の要素すべてにかかるのか、直前の要素だけにかかるのかは常に気をつけないといけない。係り受けの間違いを指摘された人は、よほど注意をしないと必ず間違いを繰り返すといっても過言ではない。重点項目として自己管理を徹底する以外に解決策はない。何度も同じ間違いをする人は、プロ翻訳者としての自覚に欠けている。より客観的な見方をするなら、プロ翻訳者に向いていないといえる。

 改訂訳例をここに示す。

【改訂訳例】本発明は、入れ子式蓋を備えた容器、たとえば、薬剤用の入れ子式カプセルに関するものであり、特に、仮止め部および容器を完全に閉鎖する閉鎖部を備えた入れ子式蓋に関するものである。

 なお、細かいことをいうと、例3の部分の訳には他にも問題がある。on the hollow-cylindrical inner wall 5が「中空円筒形内壁5」と訳されているが、図面からも明らかなように「中空円筒形内壁」とすべきである。丸いものだから上下関係は存在しない。また、first prelock unitがそのまま「第1プリロック・ユニット」になっているが、これも「第1仮止め部」とした方が分かりやすい。安易なカタカナ語は読者に余分な負担を与える。

教訓

  1. 並列要素の修飾語句の係り受けに注意すること
  2. それには技術の正しい理解と論理が必要。時には常識がものをいう
  3. 技術的理解と適切な訳語の選定は明細書全体から判断すること(全体と部分の整合性、言い換えれば一貫性)
  4. 安易なカタカナ語は誤訳に繋がる
  5. 辞書依存型翻訳から脱却すること
  6. 翻訳文の読み直しは、技術的意味が通じているかを中心に行うこと

次のURLから本記事のPDFファイルをダウンロードできます:201892595340.pdf


 

オートコレクトを徹底的に活用する

1.はじめに

顧客から信頼される品質とスピードを保つには、翻訳は自分自身に常に投資をしなければな
りません。質の向上と翻訳能率の向上は同時に取り組むべき事柄です。

今回は、その具体策を順次紹介します。まずは、Microsoft Word にとって身近なオートコレクト機能により翻訳
能率の向上を図りましょう。

2.オートコレクトとは

オートコレクト機能は、本来 Microsoft Word における入力ミス、スペル・ミス、文法上の誤り、大文字と小文字の使い分けの間違いを自動的に検出し、修正するためのものですが、この機能を利 用して文字列、グラフィックス、記号を簡単に挿入することもできます。

3.特許翻訳におけるオートコレクトの利点

許翻訳においては、同じ用語、同じ表現が繰り返して使用されます。これらの入力にオートコレクト機能を利用することで、入力操作に要する時間が短縮されます。
短縮率は明細書のページ数や分野によって異なりますが、私(倉増)自身の経験ではオートコレクトをまったく使用しない場合に比べて25%から30%と推定されます。それ以外にも、本来のオートコレクト機能を利用して入力ミスを減らすことも可能です。

4.オートコレクトの実際

私が推奨するのは、オートコレクトを徹底的に活用することです。
何事も中途半端がよくないように、オートコレクトも中途半端に利用するとかえって能率低下になる場合があります。
オートコレクト中毒から抜け出すことができないくらいに、徹底的に利用すると能率向上と質の向上が見事に両立します。

とはいっても、使いこなすにはそれなりのノウハウと経験が必要です。
いくつかのレベルに分けて利用方法を説明します。

オートコレクトの徹底的活用方法の続きを読む(PDF、11ページ)

 

クレームにおける先行詞の欠落 ( Lack of Antecedent Basis)

大阪のセミナー(2010.2.13)でクレームの冠詞に関する議論(審査官から通常の文法ならtheのところをaに補正する拒絶理由が発せられること)の中で、受講者の方から関連するMPEPの条文をご連絡いただきました。
関連する条文は次の通りです。

2173.05(e) Lack of Antecedent Basis [R-5]
A claim is indefinite when it contains words or phrases whose meaning is unclear.The lack of clarity could arise where a claim refers to “said lever” or “thelever,” where the claim contains no earlier recitation or limitation of a leverand where it would be unclear as to what element the limitation was makingreference. Similarly, if two different levers are recited earlier in the claim,the recitation of “said lever” in the same or subsequent claim would be unclearwhere it is uncertain which of the two levers was intended. A claim which refersto “said aluminum lever,” but recites only “a lever” earlier in the claim, isindefinite because it is uncertain as to the lever to which reference is made.


この部分では、「レバー」を例にとって、クレームの不明確さを説明しています。
初出の「レバー」を said/the lever とした場合は、この限定がどの要素のことを述べているのか不明瞭ならばクレームは明確さを欠いていることになる、としています。
また、two levers を述べた後に said/the lever とすると、どちらの「レバー」を指しているのか不明になるのでやはり、クレームは不明確となる、としています。
さらに、単に a lever としておいて said/the aluminum lever とした場合も、初出の a lever に対する限定かどうかが不明瞭である、としています。

Obviously, however, the failure to provide explicit antecedent basis for termsdoes not always render a claim indefinite. If the scope of a claim would bereasonably ascertainable by those skilled in the art, then the claim is notindefinite. Energizer Holdings Inc. v. Int’l Trade Comm’n, 435 F.3d 1366, 77USPQ2d 1625 (Fed. Cir. 2006)(holding that “anode gel” provided by implication theantecedent basis for “zinc anode”); Ex parte Porter, 25 USPQ2d 1144, 1145 (Bd.Pat. App. & Inter. 1992) (“controlled stream of fluid” provided reasonableantecedent basis for “the controlled fluid”).

この部分では、用語に対して明示的な先行基礎(antecedent basis)がないからと言って常にクレームが不明確になるとは限らない、としています。

当業者がクレームの範囲を合理的に確定できる場合は不明確でないということで、判決例が紹介されています。

nherent components of elements recited have antecedent basis in the recitationof the components themselves. For example, the limitation “*the outer surface ofsaid sphere” would not require an antecedent recitation that the sphere has anouter surface*. See Bose Corp. v. JBL, Inc., 274 F.3d 1354, 1359, 61 USPQ2d 1216,1218-19 (Fed. Cir 2001) (holding that recitation of “an ellipse” providedantecedent basis for “an ellipse having a major diameter” because “[t]here can beno dispute that mathematically an inherent characteristic of an ellipse is amajor diameter”).

 
この部分では、説明された要素の固有の成分はその成分自体の説明において先行基礎を有する、としています。
たとえば、「該球体の外表面」という限定は球体が外表面を持つという先行する既述を必要としない。
さらに、判例の紹介部分では、数学的に楕円の固有の性質 は長径を有していることは争いのない事実なので
「楕円」という説明は「長径を有する楕円」という先行基礎を提供する、としています。

現在、審査官が拒絶の対照とする場合があるのは The thickness of the plate is greaterthan 5 cm. という文で 
thickness が初出の要素だから A thickness と補正すべきであるという趣旨のものです。
板が厚みを持つことは当業者にとって自明の事柄なので、この審査基準(判決のサポートがある)に照らし合わせれば、
A にする必要は全くないことになります。
通常の文法ではこれは定冠詞です。
従って、この条文を知らない審査官が出した拒絶理由ということになります。

このケースで不定冠詞の場合は次の様な場合に限られます。

①厚みが場所によって変化し、その内の一カ所を指す場合(従って、この文脈では複数もありうる)。
②厚みが時間とともに変化し、その内の1つを指す場合(複数もありうる)。
③If an equatorial hydrogen of cyclohexane is replaced by a methyl group, ~ のように限定であっても複数のものが存在する場合(equatorial hydrogens もありうる)。

結論から言えば、特許文法なるものは存在しないと言えるでしょう。
本当に重要な特許の場合は、審査官の指示に盲目的に従うのではなく、MPEPを引用した反論も必要ではないでしょうか?
実際に争われているケースもあるようです。

ただし、the thickness of the plate という書き方は別の意味で推奨できません。
クレームでは要素は独立して並べますが、穴、溝、面、突起など要素に付随する物(本当はこれも要素ですが)は
a/the plate having a hole のように目的格で表現するのが好ましいとされています。
thickness 等の寸法や性質を表す語も直接の要素ではないので目的格で表現する方が好ましいのです。
つまり、先ほどの例では The plate has a thickness (of) greaterthan 5 cm. とします。
目的格の場合は必ず不定冠詞の a/an をとります。そうすることによって、審査官の拒絶理由も回避することができます。

公報活用・検索のコツ

英語日本語特許ペアの作り方

1.はじめに

日英特許翻訳上達のコツは、いい英文を読むことです。実際にはいい英文明細書に出会うことは少ないのですが、
それでも英語を母国語とする人の書いた英文の表現は参考になる部分が数多くあります。
その際に有効になるのが英文明細書と対応する日本語明細書とのペアです。

PCT出願の普及に伴いこの特許ペアの作成が容易になりました。というのは、英語によるPCT出願は日本を指定国とする場合には、日本語翻訳文が提出されると公表公報として公開されるからです。

しかも、その翻訳文は原文に忠実な訳と言うことで、フォーマットも含めて原文と翻訳文の対比がつきやすいという利点もあります。ここでは、PCT出願と公表特許公報の特許ペアの作成手順を説明します。

 

2.作業内容

【1】 特許電子図書館「公報テキスト検索」にアクセスします。

【2】 作成する特許ペアの主題を決めます。ここでは「DNAチップ」を例に説明します。

【3】 1カラム目の【検索項目選択】で「発明の名称」を選択し、【検索キーワード】に
「DNAチップ」を入力します。

(注:「DNA」は全角で入力すること)

【4】 2カラム目の【検索項目選択】で「指定国」を選択し、【検索キーワード】に「JP」と入力します。

(注:「JP」は半角で入力すること)

【5】 「検索」ボタンをクリックします。

明細書翻訳における数と冠詞の概念

弊社代表・倉増一の寄稿論文を以下のURLにてお読みいただけます。

https://system.jpaa.or.jp/patents_files_old/201504/jpaapatent201504_083-092.pdf

目次

1.はじめに

2.日英翻訳における数と冠詞の概念

3.一般論の記載

4.数と種類の区別

5.ぎこちない「1または複数の」

6.単数扱いと複数扱いの問題点

7.a plurality of の意味

8.複数から単数への転換

9.単数から複数への転換

10.単数と複数の強調

11.定冠詞に対応する日本語

12.クレームにおける不定冠詞(a,an)

13.クレームにおける最小限の数とは

14.a number of の落とし穴

15.クレームにおける冠詞問題

16.日本語における数の表現

17.結論

「積層(体)」・「積層する」の訳し方

用語の使い方

日本語明細書には「積層体」「積層物」「積層品」「積層構造」「積層セラミックコンデンサ」「積層する」など「積層」という言葉が頻繁に出てきます。

ちなみに、特許電子図書館で平成5年以降に公開された特許のうち、「積層」で検索すると、2008年7月現在で、要約だけでも訳16万件、公報全文では、実に70万件を超えるヒットになります。1年に訳5万件ほどの特許にこの言葉が使用されていることになります。

しかも、「積層」はいろいろな意味で使用されています。
したがって、特許翻訳においては[積層]を正しく訳すために、関連する表現をしっかりマスターしておかなければなりません。

>> (1) はじめに (いろいろな「積層」)
>> (2) laminate [名詞] 積層体;積層品;積層物;積層板;張り合わせシート;ラミネート
>> (3) lamination [名詞] 積層;成層;貼り合わせ;一体化;積層方法;層;層状構造;単層;層状体
>> (4) laminate [他動詞] 積層する;貼り合わせる;一体化する
>> (5) laminated [形容詞] 積層の;積層された;貼り合わせの
>> (6) laminate [形容詞] 積層の;積層された;貼り合わせの
>> (7) laminar [形容詞]薄板[片、層]でできている
>> (8) interlaminar [形容詞]薄片間の[にはさんだ];層間の;積層内の
>> (9) stack [名詞]積層物、積層体
>> (10) stack [動詞]積層する、積み重ねる
>> (11) monolithic[形容詞]巨大な、一枚岩の、完全に統制された、モノリシック構造の、積層の
>> (12) deposit [他動詞]蒸着する、堆積させる、積もらせる
>> (13) 日本語明細書の訳例

 

(1) はじめに(いろいろな「積層」)

特許翻訳においては[積層]を正しく訳すために、関連する表現をしっかりマスターしておかなければなりません。

一方で、「積層」という言葉は「広辞苑」などにも収載されていない典型的な技術用語です。
そこで、いくつかの技術用語辞典で「積層」を引いてみました。
「積層」を含む語に対応する英語は凡そ次のようになります。

動詞

積層する:
laminate ( vt,vi ); stack ( vi,vt ); build up ( vi ); layer ( vt,vi ){ layering technique }

名詞

積層:
lamination { vacuum lamination };laminating; layer stack, buildup {buildup sequence:積層順序}

積層体(品):
laminate { molded laminate:積層成形品 }; stack {film stack:積層膜}

形容詞

積層~:
laminated { laminated product; laminated sheet; laminated composite; laminated plastic ( metal, wood ); laminated circuit board; laminated structure; laminated insulation }

積層~:
multilayer { multilayer ceramic chip capacitor; multilayer substrate; multilayer inductor }

積層~:
stacked {stacked module; stacked capacitor; stacked switch }

積層~:
layered { layered dry cell; layered structure }

積層セラミックコンデンサ:
monolithic ceramic capacitor

積層複合材:
laminar composite

積層内の:
interlaminar

積層の:
built-up

これを見ると、「積層」に対してはlaminate, stack,それにlayerから派生する語が主に使用されていることがよくわかります。
これらの具体例を英文および日本語明細書から抽出したものを順に説明します。

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(2) laminate[名詞]積層体;積層品;積層物;積層板;張り合わせシート;ラミネート

名詞のlaminateは基本的には2枚以上の板状体を重ねて一体化されたものを意味します。
一般には、laminateは2枚以上のシートを張り合わせたものに対して使用されます。
ただし、複数の層で構成された管のことを積層管(laminated tube)と呼ぶように、板状体は平板とは限らず、湾曲しているものも含みます。
また、laminateは1枚の板状体の上に液状物質を塗布し硬化させて層を順次形成して出来上がったものに対しても使用できます。

つまり、この言葉は形状や製造方法にかかわらず、薄い層状のものが重なり合って一体化されたものに広く適用されています。

【英文における用例】

(1)It appears that the viscosity of the phenolic laminates was not controlled as well as the polyester laminate. (USP. No. 6,133,403)

(フェノール樹脂積層体は,ポリエステル樹脂積層体ほどには粘度が制御されていなかったようである。)

(2)The laminate preferably contains alternating layers of low K material and etch stop layers, and could be applied by rolling the laminate onto the wafer. (USP.No. 6,869,893)

(好ましくは、この積層体は低K値の材料層とエッチストップ層を交互に積層したものを含み、圧延によりこの積層体をウェハに張り合わせることができる。)

(3)A flexible laminate includes a flexible support as a first layer and glass having a thickness in the range from 10mm to 500mm as a second layer and wherein the first or the second layer is a non-continuous, segmented layer. (USP.No.6,861,136)

(可撓性積層体は第1の層としての柔軟基板と第2の層としての厚さ10mmから500mmのガラスで構成されており、第1あるいは第2の層は区画化された不連続層である。)

(4) A mandrel assembly is provided for testing the peel strength between an outer layer and an adjacent inner layer of atubular laminate. (USP. No. 6,832,525)

管状積層体の外側の層とそれに隣接する内側の層との間の剥離強度をテストするためにマンドレル組立体が提供される。

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(3) lamination[名詞]①積層;成層;貼り合わせ;一体化;積層方法;層;層状構造;単層;層状体

lamination は2枚以上の板状体を積層する行為を意味します。板状体以外のものに板状体を積層する場合も含みます。

【英文における用例】

(1) The fabric layers are fixed to opposite surfaces of the foam layer by flame lamination, either in two passes or in one pass. (USP. No. 6,861,379)

(織物層は炎積層法により、2回あるいは1回炎を通過することで発泡層の両面に固定される。)

(2) The reinforcing composition allows laser trimming of the fired resistor and also eliminates cracking during laminationsteps of the invention. (USP. No. 6,860,000)

(この補強性組成物によれば焼成後のレジスターのレーザーによるトリミングが可能であり、また、本発明の積層工程におけるクラックの発生が起こらない。)

また、laminationは積層体の層状構造や層自身の意味でも使用されます。

(3) Dynamo-electric machine rotors formed of a stack of laminations having slots equally spaced from one another about the periphery of each lamination are known.(USP. No. 6,867,527)

(各層の周縁にそれぞれ等間隔に配置されたスロットを有する複数の層状体の積層物からなる発電電動機械の回転子は公知である。)

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(4) laminate[他動詞]積層する;貼り合わせる;一体化する

laminateは「積層する」「貼り合わせる」などの意味の他動詞としても使用されます。

【英文における用例

(1)Further, it should be understood that the MR sensor may be laminatedwith other layers to provide the desired transverse biasing of the MR sensor. (USP. No. 5,568,335)

(また、MRセンサーは他の層と一体化してMRセンサーに所望の横バイアスを付与することができる。)

(2) The reflecting surface 60 may be provided as a separate layer laminated onto the larger electrode 40 or the reflecting surface 60 may be provided as a unitary part of the larger electrode 40. (USP. No. 6,172,798)

(反射面60は大きい方の電極40の上に積層された別部材であってもよいし、あるいは大きい方の電極40自体の単一部材であってもよい。)

(3) The resulting textured nickel foil can, in turn, be laminated to a copper plate or roll. (USP. No. 5,245,454)

(このようにして得られた凹凸を有するニッケル箔は、次に銅板あるいは巻き銅板に貼りあわせてもよい。)

〔注〕laminateには「金属などをロールなどで薄板にする」「~を薄片に切る」「薄層にする」などの意味の他動詞用法と「薄片になる」という意味の自動詞用法もあるので、英日翻訳の際は注意が必要です。

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(5) laminated[形容詞]積層の;積層された;貼り合わせの

いうまでもなく、動詞laminateの過去分詞形による形容詞用法です。

【英文における用例】

(1) If desired, the membrane may be a laminated membrane of two polymers such as two highly fluorinated polymers having different ion exchange groups and/or different ion exchange capacities.USP. No. 5,919,583)

(必要なら、膜は、異なるイオン交換基および/または異なるイオン交換能を有する2種類の高フッ素化ポリマーのような、2種類のポリマーの積層膜であってもよい。)

(2) Pneumatic tire means a laminated mechanical device of generally toroidal shape (usually an open-torus) having beads and a tread and made of rubber, chemicals,fabric and steel or other materials. (USP. No. 5,327,952)

(「空気入りタイヤ」は、通常円環形状(開放円環)をしており、ビードとトレッドを有しゴム、化学薬品、繊維、およびスチールあるいは他の材料でできた積層機械装置のことである。)

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(6) laminate[形容詞]積層の;積層された;貼り合わせの

laminateは名詞・動詞に加えて形容詞としても使用されます。

【英文における用例】

(1) The first portion comprises cross-woven or cross-laminate material in the machine direction and in the transverse direction. Alternatively, the first portion of the present invention may becross-laminated, such as shown in FIGS. 3 and 4 withcross-laminatedprotective drainage wrap 20. (USP. No. 6,869,901)

(第一の部分は機械の方向と横方向に交差織りあるいは交差積層された材料からなる。・・・
あるいは、本発明の第一の部分は、交差積層された水抜き保護ラップ20を図3および4に例示したように、交差積層されていてもよい。)

上記の用例では、laminateとlaminatedの両方が使用されています。

(2) A method for forming the edge profile of a decorative laminate panel, wherein the decorative laminate panel includes a decorative surfacing layer, a backing layer and a substrate positioned between the decorative surfacing layer and the backing layer. (USP. No. 6,863,768)

(装飾積層パネルの端部断面を形成する方法であって、装飾積層パネルは装飾表面層、裏打ち層、および装飾表面層と裏打ち層の間に配設された基板を含む。)

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(7) laminar[形容詞]薄板[片、層]でできている

形容詞のlaminarは上記のような意味を持っています。
laminateやlaminatedが積層状態を全体で捉えているのに対し、laminarは個々の層に目が向けられています。
用例にもあるように、laminar flow(層流)は流体力学でよく用いられています。

【英文における用例】

(1) A bottom airfoil 24 is mounted above the front edge of bottom wall 22 and is configured to enhance laminar airflow over bottom wall 22. (USP. No. 6,871,170)

(下部翼24は低壁22の前端の上に装着され低壁22の上での層流を高めるように構成されている。)

(2) The safety conductor is in this case, for example, in laminar contact with the surface of the high-temperature superconductor material. (USP. No. 6,869,916)

(この場合、保護導体はたとえば高温超伝導材料の表面と面接触している。)

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(8) interlaminar[形容詞]薄片間の[にはさんだ];層間の;積層内の

interlaminarは層の間に起こる現象を述べるのに最適の言葉です。

【英文における用例】

(1) The organic interlaminar bonding consists of a luminescent layer (the luminescent compound is also, at the same time, an electron conductor) and a hole transport layer. (USP. No. 6,869,696)

(この有機層間接合は発光層(発光物質は同時に電子導体でもある)と正孔輸送層からなる。)

(2) It is generally believed that the low formability of conventional aluminum mill products, especially in the AA 2195 aluminum alloys, is due to
directionality of the grains and poor interlaminar strength. (USP. No. 6,865,919)

(従来のアルミ圧延品、特にAA2195アルミ合金の成形性が劣るのは結晶粒の配向と層間強度の低いことが原因と考えられている。)

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(9) stack[名詞]積層物、積層体

名詞のstackは積層されたものの意味で用いられますが、積層されたものは一体化している場合と単に重ねられている場合の両方を含みます。

【英文における用例】

(1) A canvas is then adhered onto the back surface of the poster or photograph and the resulting stack of layers cold pressed. After the pressing, the
structured laminate of paper poster or paper photograph and adhered canvas is then removed from the matrix, mounted under tension onto a frame, and sealed. (USP. No. 6,866,731)

(次に、ポスターあるいは写真の裏面にキャンバスを貼り付け、得られた積層物を常温で押圧する。押圧後、紙製ポスターあるいは写真と接着したキャンバスの積層構造体をマトリックスから取り除き、引っ張りながら額にはめ込み、シールする。)


(2)The stator includes a stator core, a first and second lamination stack, a flux tube extending therethrough,and windings on the stator core. (USP. No. 6,864,616)

(固定子は固定子磁芯、第1及び第2の積層物、それらを貫通する磁束管、それに固定子磁芯の周りの巻き線を含む。)


(3)The memory device of claim 1, wherein said plurality of planar memory arrays are arranged in a vertical stack. (USP. No. 6,882,553)

(前記複数の平坦メモリアレイは垂直に積層配列されている、クレーム1の記憶装置。)


(4) A cap layer 212 is generally formed overlying the control gate 207 to act as an insulator and barrier layer for the word line stack. (USP. No.6,882,560)

(キャップ層212は一般にコントロールゲート207の上に形成され、ワード線積層物のための絶縁体ならびに障壁層として機能する。)

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(10) stack[動詞]積層する、積み重ねる

動詞のstackは「きちんと積み重ねる」が原義ですが、「積層する」の意味で広く一般に用いられています。

【英文における用例】

(1) As shown in FIGS. 1 and 2a . . . 2d, the array architecture of the invention has a plurality of MRAM memory arrays 34 stacked one over another. (USP. No. 6,882,553)

(第1図、及び第2a、・・2d図に示すように、本発明の配列構造は順に積層された複数のMRAMメモリアレイを有する。)


(2) The polysilicon gate 21 can be a stacked gate or any other well-known gate architecture. (USP. No.6,881,672)

(ポリシリコンゲート21は積層ゲートあるいは他の周知のゲート構造であってもよい。)


(3) Thus, the array preferably comprises a plurality of vertically stacked, common gate CMOS transistors.(USP. No. 6,881,994)

(従って、好ましくはこのアレイは垂直に積み重ねた複数のコモンゲートCMOSトランジスタからなる。)


(4) Several microfluidic device assemblies may be stacked together, with a thin foil disposed between each device. (USP. No. 6,880,576)

(数個の微細流体装置組み立て体が、各装置の間に配置された薄片と一緒に積層されていてもよい。)

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(11) monolithic[形容詞]巨大な、一枚岩の、完全に統制された、モノリシック構造の、積層の

monolithicは「巨大な」「一枚岩の」「完全に統制された」「モノリシック構造」「積層の」などの意味を持つ形容詞です。
monolithicは単に複数のものが積層されているだけでなく一体化されている場合にのみ使用可能です。
下記用例の(2)及び(3)では、monolithic,stack, laminate の三つの語がうまく使い分けられています。


One method of improving device density is to arrange the devices in a monolithic three dimensional array of charge storage devices comprising a
plurality of device levels. The term monolithic means that layers of each level of the array were directly deposited on the layers of each underlying
level of the array. In contrast, two dimensional arrays may be formed separately and then packaged together to form a non-monolithic memory device. (USP. No. 6,881,994)

(素子密度を向上させる一つの方法は、素子を複数の素子水準からなる電荷蓄積素子の積層三次元配列にすることである。「積層」なる用語は配列の各水準の層がその配列の各下層にある水準の層の上に直接配置されていることを意味する。一方、二次元の配列が別々に形成され一緒にまとめられて、非積層メモリ素子を形成してもよい。)


A ceramic fabric and a resin are combined to form a fire protection sheet capable of being co-cured onto a parent laminate structure. The resulting
monolithic composite firewall shows fire protection ability comparable to that of the conventional titanium structure, without the problems associated
therewith, such as titanium panel separation and disbonding. The fire protection sheet easily conforms to the shape of the parent laminate and is also useful as a repair material for damaged conventionally protected firewalls. (USP. No. 6,863,980)

(セラミック織布と樹脂を一体化し、もとの積層構造の上に共架橋可能な耐火シートを形成する。得られた積層複合耐火壁は従来のチタニウム構造のそれに匹敵する耐火性能を有し、さらにチタニウムパネルの分離・脱離といったチタニウム構造に固有の問題をも解決する。この耐火シートはもとの積層体の形状に容易に適合し従来からの耐火壁の損傷を修理するための材料として有用である。)


FIG. 3 illustrates an embodiment of a multi-layer green sheet stack 314. Several green sheets 300 with corresponding metalized conductive paths (not shown) are stacked together in such a way as to ensurethat all conductive paths are established. The stacking of non-filled through-holes provides a
cavity 318 for accepting IC or other circuits. The multi-layer stack 314 islaminated at sufficient pressure and temperature to cause the binder to
evaporate and provide good intersheet bonding. Amonolithic structure is thus obtained which is then sintered at the temperature required to fire the
ceramic, thereby eliminating the organic components of the pastes and converting the conductive metalized paste to the metal state. Exposed though-
holes filled with metalized paste provide electrical attachment pads 322 for attaching IC leads. (USP. No. 6,865,804)

(第3図は多層未焼成シート積層体314の一実施例を示す。それぞれ金属化導電路(図不視)を有する数枚の未焼成シート300をすべての導電路が確立されるような方法で積層する。未充填の貫通孔が積み重なることでICあるいは他の回路を収納するための空洞が形成される。多層積層体314は十分な圧力と温度をかけて一体化されることで、バインダーが揮発しシート間の接合が良好になる。このようにして、積層構造体が得られ、ついでこの積層構造体はセラミックを焼成するに必要な温度で焼結される。その結果、ペースト中の有機成分は除去され導電性の金属含有ペーストが金属状態に変化する。金属化ペーストで埋まった露出貫通孔はIC配線を取り付けるための電気接続パッド322となる。)

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(12) deposit[他動詞]蒸着する、堆積させる、積もらせる

表記の意味を持つdepositは半導体プロセスなどで好んで使用されます。この語は形のない材料を用いてあるものの上に層を形成する場合にぴったりの言葉です。


Patterning can include use of standard photolithographic techniques. As an example, a layer of photoresist may be deposited, exposed with an energy
source, and developed to expose portions of the word line stack. (USP. No. 6,882,560)

(パターニングは標準のフォトリソグラフ法を用いてもよい。一例として、フォトレジストの層を積層しエネルギー源で露光・現像してワード線積層物の一部を露出してもよい。)

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(13) 日本語明細書の訳例

次に、日本語明細補に現れる「積層(体・する)」の訳例をいくつか挙げておきます。
(1)前記透過率角度依存性層(T1)は、具体的には、屈折率の異なる蒸着多層薄膜、屈折率の異なる樹脂材料の薄層多層積層体、屈折率の異なる樹脂材料の多層積層体の延伸体があげられる。(特許公開2005-79008)


Examples of the profiled-transmittance layer (T1) include a thin deposited film composed of multiple layers having different refractive indices, a thin laminate composed of multiple resin layers having different refractive indices, and a stretched laminate formed by stretching the thin laminate.

この場合の「積層体」にはlaminateがもっとも適切な言葉です。

(2)基材とハードコート層を含む積層体であって、少なくとも該基材のハードコート層側の面がアモルファスポリエチレンテレフタレートであることを特徴とする積層体。(特許公開2005-77879)


A laminate comprising a substrate and a hard coat layer, the substrate having a first surface composed of amorphous polyethylene terephthalate, the hard coat layer being in contact with the first surface of the substrate.

例(1)と同様「積層体」にはlaminateがもっとも適切です。

(3)そして、全体的には、冷媒チューブ51と半導体モジュール4の列とを交互に積層して上記主回路部10を構成した。(特許公開2005-73374)


The main circuit 1 has an overall structure including an alternate stackof coolant pipes 51 and arrays of semiconductor modules 4.

ここでは冷媒チューブ51と半導体モジュール4の列が交互に規則正しく配置されているのでstackを使用してみました。

(4)基板上(1)に、少なくともAlWGa1-WAsからなる第1上側クラッド層(5)に接して、GaAsからなる第2エッチング阻止層(6)、InvGa1-vPからなる第1エッチング阻止層(7)、及びAlYGa1-YAsからなる電流ブロック層(9)を順次積層してなる、InGaAs系材料からなる活性層(4)を有する半導体素子であって、
該電流ブロック層(9)の水平方向の一部、および該第1エッチング阻止層(7)の水平方向の一部が、垂直方向に完全に除去されて前記第2エッチング阻止層(6)が露出しており、該第2エッチング阻止層(6)露出部にAlTGa1-TAsからなる第2上側クラッド層(8)を積層してなり、かつ、
該電流ブロック層(9)を構成するAlYGa1-YAsのAl組成Yと、第2上側クラッド層(8)を構成するAlTGa1-TAsのAl組成Tとの関係において、Y>Tが成り立つことを特徴とする半導体素子。(特許公開2005-72623)

[注:各要素の参照番号は理解を容易にするために著者が加えたものです]


A semiconductor device comprising, in sequence:
a substrate (1);
an active layer (4) composed of anInGaAs-based material;
a first upper cladding layer (5) composed ofAlWGa1-WAs;
a second etching stopping layer (6) composed of GaAs in contact with the first
upper cladding layer (5);
a first etching stopping layer (7) composed ofInvGa1-vP;
a current blocking layer (9) composed of AlYGa1-YAs; the first etching stopping
layer (7) and thecurrent blocking layer (9) being partly provided above the
second etching stopping layer (6) such that the second etching stopping layer (6)
is exposed; and
a second upper cladding layer (8) composed of AlTGa1-TAs on the exposed portion
of the second etching stopping layer (6), wherein Y >T where Y represents the Al
content in the current blocking layer (9) and T represents the Al content in the
second upper cladding layer (8).

例(4)は構造が複雑であり、日本語の「順次積層してなり」をそのまま訳すと方法をクレー
ムしているように誤解されるおそれがあります。ここでは上記訳例のように、積層順に要素
を並べる書き方が最も単純明快です。

(5)複数の第1導体層と複数の第2導体層がセラミック層を介して交互に、且つ、対向して配された直方体形状の積層チップと、
積層チップの1つの面に設けられ、第1導体層と導通する少なくとも1つの第1電極部と、
積層チップの前記1つの面に第1電極部と非接触で設けられ、第2導体層と導通する少なくとも1つの第2電極部と、
積層チップの前記1つの面とは異なる少なくとも1つの面に設けられ、第1導体層と第2導体層の少なくとも一方と導通する少なくとも1つの放熱導体部とを備える、
ことを特徴とする積層セラミックコンデンサ。


A monolithic ceramic capacitor comprising:

a rectangular-parallelepiped laminated chipcomprising first conductive layers and
second conductive layers alternately stacked and separated by ceramic layers;

at least one first electrode on a first face of the laminated chip, the first
electrode being electrically connected to the first conductive layers;

at least one second electrode on the first face of thelaminated chip, the second
electrode being electrically connected to the second conductive layers and not
connected to the first electrode; and

at least one heat-dissipating conductor on a second face of the laminated chip,
the heat-dissipating conductor being connected to the first conductive layers and/
or the second conductive layers.

識別を容易にするために、「積層セラミックコンデンサ」をmonolithic ceramic capacitor、「積層チップ」をlaminated chipと、異なる訳語を当てはめました。

半導体基板を準備し、該半導体基板上に少なくとも1層以上のエピタキシャル層が積
層される半導体層を形成し、該半導体層にフォトダイオードを形成する工程と、
前記半導体層上面に絶縁層を積層し、少なくとも前記フォトダイオード形成領域の前記絶縁
層表面から、ドライエッチングにより前記絶縁層を除去し、開口部を形成する工程と、

前記開口部から露出する前記半導体層及び前記絶縁層を被覆するようにシリコン窒化膜層を形成する工程とを具備することを特徴とする光半導体集積回路装置の製造方法。(特許公開2005-109047)


A method for making an optoelectronics IC apparatus comprising the steps of:

providing a semiconductor substrate;

forming a semiconductor layer including at least one epitaxial layer on the
semiconductor substrate to form a photodiode in the semiconductor layer;

depositing an insulating layer on the semiconductor layer;

removing the insulating layer by dry etching in the region of the photodiode to
form an opening; and

forming a silicon nitride layer over the semiconductor layer exposed from the
opening and the insulating layer.

「エピタキシャル層が積層される」とありますが、この工程では「半導体層」の形成について述べています。
半導体層の中の各層の形成についてはクレームされていないため、「エピタキシャル層が積層される」は「エピタキシャル層を含む」の意味と解釈するのが妥当であ
りincludeを使用しました。
次の工程の「絶縁層を積層し」は文字通りdepositとしましたが、他の工程と同じformでもよいでしょう。

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「それぞれ」「各々」「各」の表現

用語の使い方

「それぞれ」 「各々」 「各」
(respective(ly), individual, corresponding, each, every)

これらの言葉は明細書で多用されていますが、必ずしも正確に使われているとは限りません。
これらの言葉が含まれている文章の場合は、日本語から英語への1対1の対応ではなく、タイトルに掲げた単語のどれを用いるべきかを、英文のレベルで判断して決めなければなりません。

たとえば、「それぞれ」を辞書で引くとrespectivelyが出てきますが、これをそのまま適用できない場合が数多くあります。

(1) respectiveとrespectively
(2) respectiveとrespectivelyの用法
(3) corredponding
(4) individual
(5) each
(6) every

(1) respectiveとrespectively

(例1-1) 第1および第2の内部導体はそれぞれ第1および第2の外部電極に接続されている。

(誤) The first and second internal conductors are connected to the first and second external electrodes.

この文章ですと、たとえばfirst internal conductorがどちらのexternal electrodeに接続されているのかが明確ではありません。
 

(正) The first and second internal conductors are connected to the first and
second external electrodes, respectively.

The first and second internal conductors, respectively, are connected to the
first and second external electrodes.


respectivelyを加えることによって、first internal conductorはfirst external
electrodeに、またsecond internal conductorはsecond external electrodeに接続していることが明確になります。
このように、respectivelyは2つ以上のものが並列に述べられていて、そのあとでそれに関連するものが同じ数でかつ同じ順序で並列に並べられている場合に、双方の対応関係を明確にする目的で用いられます。

したがって、この文章は次のように書き換えることができます。
 

(正) The first internal conductor is connected to the first external electrode and
the second internal conductor is connected to the second external electrode.

respectivelyを使用すると相互の関係がわかりづらくなる場合には、面倒でも上記のように文章を分けたほうが良いといわれています。

したがって、1:1の対応関係のない文章にrespectivelyを使用した次例は誤用です。

(誤) The first and second internal conductors are connected to the external electrodes, respectively.

ここでは外部電極が複数あることはわかりますが、複数の外部電極は同じ名称で呼ばれており、並列要素ではないのでrespectivelyは使用できません。
このような場合はrespectiveを用います。

(正) The first and second internal conductors are connected to (the) respective external electrodes.

これによって、first internal conductorが一つのexternal electrodeに、second internal conductorがもう一つのexternal electrodeに接続されていることがわかります。
また、この例に示すように、respectiveは複数名詞の前につけます。
単数名詞の場合は respective ではなくcorresponding を使用します。

(これについては、次号以降で詳細に説明します)。

米国特許のrespectiveの用例を調べた結果、実に多くの誤用があることがわかりました。
米国人にとってもrespectiveの使い方が難しいことを示しています。

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(2) respectiveとrespectivelyの用法

米国特許で見られるこれらの用法をいくつか拾い上げて、それが正しいか否かについて考察します。

(1) Manipulation of the delay times is accomplished through adjustment of analog
programming voltages applied to the respective delay elements. (USP. No. 6,326, 813)

delay timesに対してそれぞれdelay elementsが対応しているということで正しい用法です。

(2) The apparatus includes an interferometer, both the reference beam and
measurement beam of which are directed toward the object and reflected by respective reference and measurement sites thereof, such that axial motion of the object during measurement affects both beams equally. (USP. No. 6,307,634)

reference beamとmeasurement beam という2つの並列要素に、reference and measurement sitesという2つの並列要素が対応しているので、次のように書き換えることもできます。

The apparatus includes an interferometer, both the reference beam and measurement beam of which are directed toward the object and reflected by the reference and measurement sites, respectively, thereof .

(3) Each bag has at least one discrete region of weakness between each aperture and the inward side of the respective handle stack which can be broken for detachment of a bag from the dispenser. (USP. No. 6,325,214)

このケースでは、主語がeach bagと単数に還元されていて、handle stackも単数で表現されています。
したがって、respective ではなく corresponding を用いるべきです。

(正) Each bag has at least one discrete region of weakness between each aperture and the inward side of the corresponding handle stack which can be broken for detachment of a bag from the dispenser.

(4) The first and second voltage driver each include a respective series circuit of an npn transistor and a bidirectional impedance element coupled between a point of constant potential and the respective outputs of the first and second voltage drivers. (USP. No. 6,324,028)

このケースでは、主語は確かに2つのものが記載されています(主語の driver は drivers の間違い)が、eachで単数に還元されているので、a respective series circuit は a corresponding series circuit にすべきです。
the respective outputsはthe first and second voltage drivers のそれぞれのthe outputということで、このrespectiveは正しい用法です。

(正) The first and second voltage drivers each include a corresponding series circuit of an npn transistor and a bidirectional impedance element coupled between a point of constant potential and the respective outputs of the first and second voltage drivers.

(5) Selection of the resistance of each respective resistance devices is automatically controlled in accordance with predetermined programming. (USP. No.6,322,674)

これも単数 ( devices はdevice の誤り) の名詞に respective を用いた誤用です。
respective を取り除いても意味は通じますが、強いてrespectiveの代わりに何かを用いるとすれば individual が適切でしょう。

(正) Selection of the resistance of each individual resistance device is automatically controlled in accordance with predetermined programming. (USP. No. 6,322,674)

上記のように、respective や respectively は native writers にとっても、正しく使い分けるのが難しい言葉であると言えます。
(本稿の作成にあたっては、翻訳者マッカドール・ニールさんの助言をいただきました)

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(3) corresponding

corresponding は「対応する[一致する]」という意味を持つ形容詞です。
corresponding は上述したように、単数のものの対応関係を示す場合によく使用されます。

(3-1) The door identifier 146 is used to identify the corresponding door 162.
The gateway handler 168 is used to facilitate the transport of the remote object invocation request to the corresponding node. (USP. No. 6,151,639)

(ドア識別子146はそれに相当するドア162を確認するのに用いられる。
ゲートウェイ操作子168はリモートオブジェクト呼び出し要求を対応するノードにトランスポートするのを助けるのに用いられる。)

(3-2)
This modified silicon substrate is generally known as the heater die or heater chip, and can include not only the individual heaters or heating elements formed thereon but also driver transistors, each one connected to a corresponding heater, and electronic circuitry for controlling the selective actuation of each of the individual heaters. (USP. No. 5,742,307)

(一般に、この変性シリコン基板はヒーターダイあるいはヒーターチップとして知られており、その上に形成された個々のヒーターあるいはヒーター素子だけでなく、対応するヒーターに接続された各駆動トランジスタおよび個々のヒーターをそれぞれ選択的に作動するよう制御するための電子回路網をも含むことができる。)

この例では、individualがでてきますが、これについては次号で説明します。

correspondingは化学特許における化合物の例示によく使われます。この場合は、複数が一般的です。

(3-3) Particularly suitable organic film formers are polymers of acrylic acid and/or methacrylic acid which may optionally contain limited quantities of copolymers and the corresponding esters, nitriles and/or amides. (USP. No. 5,868,872)

(特に好適な有機フィルム形成材料はアクリル酸および/またはメタアクリル酸で、限定量の共重合体およびこれらの酸のエステル、ニトリル、および/またはアミドを任意に含んでもよい)

(3-3) Starting compounds which may optionally be used are the corresponding salts with volatile acids, such as acetates, basic acetates, basic lead acetate and formiate. (USP. No. 5,734,000)

(任意に用いることのできる出発化合物は揮発性の酸との対応する塩、たとえば酢酸塩、塩基性酢酸塩、塩基性酢酸鉛、および塩基性蟻酸鉛である)

この文章で、formiate は正しくは formate ですが、どういうわけかこのスペルが実際の特許や文献で少なからず見当たります。

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(4) individual

individual は「分けることのできない」という原義に由来し、「個々の」と言う意味を持っています。
したがって、respective や correspondingと 異なり、対応関係の意味はもっていません。

(4-1) These output signals may then be received by electronic circuitry designed for quantitative and/or qualitative detection of the flow of various substances including individual particles, particles flowing as a continuum, and non-turbulent fluids. [USP. No. 6,346,888]

(次いで、これらの出力信号は、個々の粒子、連続体として流れる粒子、および非乱流流体を含む種々の物質の流れを定量および/または定性的に検知するよう設計された電子回路によって受け入れられてもよい。)

(4-2) Communication with individual implants can also be enhanced through half-cycle amplitude modulation –a technique that allows bit rates up to twice the energizing frequency. [USP. No. 6,345,203]

(個々のインプラントとの通信も2分の1周期の振幅変調-付勢振動数の2倍にまでビットレートを上げる技術-によって亢進され得る。)

(4-3) Improved control over the thermal stability of each groat is provided by enhancing the removal of thermal energy from the individual groats during Maillard reactions. [USP. No. 6,284,299]

(各脱穀粒の熱安定性の制御はメイラード反応中に個々の脱穀粒から熱エネルギーの除去を強化することにで改善される)

以上のように、日本語はどうであれ、一つ一つを強調する場合にindividualを用います。

なお、individualには「個人の」という意味もあります。

(4-4) Through the Virtual Campus a learner can communicate with others, create and update an individual work plan, access required resources, store work, and be apprised of Virtual University announcements. [USP. No. 6,347,333]

(仮想キャンパスによって、学習者は他人と連絡をとったり、個人の学習計画を作成・更新したり、必要とする資源にアクセスしたり、課題を保存したり、仮想大学からの通知を受けたりすることができる)

次の例のindividualはsingleと同じ意味に用いられています。

The present invention is directed to a method of forming an electrically insulating layer on a steel article such as a stack of electrical steel
laminations or an individual, unstacked electrical steel lamination, comprising exposing the article to an oxidation atmosphere, and to a temperature (such as at least about 800.degree. F.) for a time sufficient to form on the article an electrically insulating layer comprising hematite. [USP. No. 6,284,388]

(本発明は複数の電気鋼ラミネートの積層物あるいは単一の非積層電気鋼ラミネートのような鋼物品の上に電気絶縁層を形成する方法であって、物品を酸化雰囲気と少なくとも華氏800度の温度に十分な時間さらすことでヘマタイトからなる電気絶縁層を物品の上に形成ことからなる方法に向けられている)

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(5) each

each と every を形容詞として使用する場合は、いずれも単数扱いですが、each は複数のものの集まりを個別に見るのに対して、everyは全体的に見るという違いがあります。
したがって、日本語に表現する場合も、each は「各々」の又は「めいめいの」と訳されていますが、every は「あらゆる」又は「すべての」などに訳されています。

では、each の用法を整理しておきます。
まず、代名詞としての each です。
each の用法として最も一般的なもので、each of the 複数名詞の形で用いられます。
これは複数から単数への繋ぎの役割を果たしています。
それまで複数で記述していたものを個々に記述する必要のある場合に、使用されます。

(5-1) Each of the heater dies 50 includes the electronic circuitry necessary to select and fire each of the individual resistors 34 located thereon as previously described. Each of the heater dies 50 also includes the appropriate connecting pads for connecting the various supply voltages and control signals as in one embodiment described with reference to FIG. 2. (米国特許 5,742,307号)

(各ヒーターダイ50は、前に述べたように、その上に設けられた個々の抵抗器34の各々を選択し通電するための電気回路を含んでいる。また、各ヒーターダイ50は種々の供給電圧に接続するための適切な接続パッドを含み、図2を参照して説明した実施形態と同様の方法で信号を制御する)

次は、形容詞としての each の用例です。each of the 複数名詞の代わりに each 単数名詞で表現することで同じ効果が得られます。

(5-2) Reactive substances suitable as partial cross linking agents, defined now as Reactant II, are polyfunctional compounds in the sense that each molecule contains at least two reactive sites for reaction with at least two secondary amine groups present in Reactant I. (米国特許5,912,306号)
(部分架橋剤に適した反応性物質(反応剤Ⅱとする)は、各分子が反応剤Ⅰにある少なくとも二つの二級アミン基と反応するための少なくとも二つの反応サイトを持っているという意味においては、多官能化合物である)

Claim (請求項) で each を用いる場合は、antecedent (先行詞) との関係で代名詞用法の方が無難です。

each には副詞としての用例もあります。be 動詞の場合は、each はbe 動詞の後に置きます。

(5-3) The solenoid valves 98 are each mounted on a PC (printed circuit) board 106 which contains a number of electrical terminals, e.g. two for each valve 98. 6,102,068号)

(ソレノイドバルブ98は各々プリント基板106に実装される。プリント基板106はいくつかの、例えば各バルブ98に対して2つの電気端子を含んでいる)

上記の文章の最後の each は(5-3)と同じ形容詞です。
助動詞のある場合は each はその後に置きます。

(5-4) The particles may be dispersed within a suspending fluid and may each contain a plurality of solid particles or a dye or both. (米国特許6,067,185号)

(粒子は懸濁流体に分散してもよく、また、粒子は各々複数の中実粒子及び/又は染料を含んでもよい)

一般動詞の場合は、each はその前に置かれます。

(5-5) The deposition chambers each have their own sample table.
(成長室はそれぞれ専用の試料台を備えている)

(5-3)から(5-5)の副詞用法では、主語は複数、それを受ける動詞も複数が原則です。

最後に、Claim などでよく出てくる each の用法をあげておきます。
複数のものの後にそれぞれを個別に記述するのに分子構文(each ~ing)を用います。

(5-6) Apparatus 10 includes a source register 12, which may, for example, contain sixteen bit locations, each containing one bit of data. (米国特許5,214,598号)

(装置10は、例えば、16ビットの記憶場所を含んでもよいソースレジスタ12を有し、各記憶場所は1ビットのデータを含む)

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(6) every

前回説明したように、each が複数のものの集まりを個別に見るのに対して、every は全体的に見ます。
したがって、日本語の明細書に出てくる「それぞれ」「各々」「各」という場合
にeveryが当てはまることはほとんどありません。

また、一般的にeachの場合は少数の場合に使用されるのに対して、everyの場合は少数に対してはあまり用いられません。
特許明細書の出現率で見ると、everyはせいぜい20%の特許にしか使用されず、しかも一つの特許にもわずか2度くらいしか使用されていません。
一方、eachは約80%の特許に見られ、一つの特許に平均15個使用されています。

(6-1) Finally, operating experience with autoclaves has indicated that results vary widely and biological testing must often be done on nearly every load to insure that no live virus enter the landfill and possibly drinking water. [USP.No. 5,427,738]

(最後にオートクレーブによる操作実験で分かったことは、結果が大きく変化するため、ほとんどあらゆる負荷に関して生物学的なテストをしばしば行ない、生きたウィルスが埋立地や飲み水に入らないことを確かめなければならない、ということであった)

(6-2) The IDLE command symbol is transmitted on every clock when there is no other command symbol or data packet to send. [USP. No. 6,151,689]

(送信される他のコマンド符号あるいはデータパケットがない場合には、全クロックごとにIDLEコマンド符号が転送される。)

every は数を表す言葉の前について、「・・・ごとに」を意味する副詞句を作ります。
この機能はeachにはありません。
everyを使うべきところに each を使っている翻訳者がたまにいますが気をつけてください。

(6-3) Red bags and boxes are normally picked up by contract medical waste haulers at intervals of from once per day to once every three days. [USP. No. 5,427,738] 

(赤い袋や箱は契約医療廃棄物運送業者によって、通常1日1回から3日に1回の間隔で回収される)

(6-4) Preferably, SKIP symbols are inserted approximately every 512 transmitter clocks. [USP. No. 6,151,689]

(好ましくは、SKIP符号が約512個のトランスミッタクロックごとに挿入される)

(6-5) In general, no more than about three non-hydrocarbon substituents or hetero atoms, and preferably no more than one, will be present for every 10 carbon atoms in the hydrocarbon or hydrocarbon based groups. [USP. No. 5,969,068]

(一般に、炭化水素基あるいは炭化水素系の基の中の炭素10個ごとに、約3つ以内、好ましくは1つの非炭化水素置換基あるいはヘテロアトムが存在する)

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特許翻訳研究会

トランスプライムでは、孤独になりがちな翻訳作業に横のつながりができるよう、
仲間の情報交換の場、勉強し合う場として研究会を開催しています。

会員数

50名 (2017.5現在)

開催の日程

偶数月の第1金曜日  14:00-17:00

開催場所

東京都内の会議室 (主に銀座)

内容

各回、2名の発表者が、悩んだこと、発見したこと、 調べたこと、企業や翻訳での経験などを発表します。

会費

新規会員9,000円/年、継続会員6,000円/年

※発表者には謝礼10,000円が出ます。

この会は様々な経歴・年代の会員で構成されているのが特徴です。会員は相互に技術に関する話題、翻訳に関する疑問点や、これまでの経験から得た知識などを自由に発表します。活発な質問や意見が飛び交い、技術・語学・法律の知識レベルを高める非常に充実した時間となっています。

一回2500円で見学も可能です。

参加ご希望の方は下記アドレスまでメールでご連絡ください。

tokkyohonyakukenkyukai★gmail.com

           (★を@にしてください。)

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